ビジャカンティー(Villacantid)

2023年5月2日(火)、唯一の訪問地は Villacantid。Iglesia de Santa María la Mayor です。

ここは、後陣が素晴らしいです。また、教会内に「Centro de Interpretación del Románico en Cantabria(カンタブリアのロマネスク解説センター)」があり、周辺のロマネスク情報を含め、興味深い展示が豊富です。

2023年5月は、火曜〜金曜の9:30~14:00と15:00~18:30に開きました。日曜は10:00~15:00だけ開きます。月曜は閉まります。有料(€1.5)です。

目次

Villacantid へ .
概要 .
平面図 . .
Centro de Interpretación del Románico en Cantabria .
内観(勝利アーチ)  .
外観(主扉口).  
外観(後陣)

Villacantid へ

冒頭で「5月2日(火)、唯一の訪問地は Villacantid」と書きましたが、実は、他に3ヶ所に行きました。3ヶ所とも閉まっていました。それらについては、再訪して教会の中を見学できた以下の日の記録として書きます。

レトルティージョ(Retortillo):5月5日
リオセコ(Rioseco):5月3日
セルバトス(Cervatos):5月3日

ところで、5月2日から5日の4日間は、私ひとりでロマネスク巡りです。夫は泊まりがけでサッカー観戦に出かけました。夫とは、5月5日(金)の夕方にVitoria-Gasteizで再会します。

さて、私はリオセコ(Rioseco)から南西に約18km、18分ほど運転して、小高い丘の上にある教会に着きました。12:00頃のことです。

東側外観

ロマネスク様式の扉口と後陣が見えます。

でも、扉口が後陣の隣に並んでいる、変な配置です。

概要

教会の外に案内板がありました。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。

Iglesia de Santa María la Mayor は、12世紀末にロマネスク様式で建てられた。当初は扉口が一つで、南にあった。

教会の外にあった案内板より

そうです、ロマネスク様式の一般的な配置はこんな感じです。通常、扉口は後陣の隣に並びません。

第二段階では、北側に礼拝堂が増築された。

17世紀の決定的な改築では、ロマネスク様式の身廊が解体された一方、オリジナルの後陣が保存された。そして、現在見られる廊式の建物が作られた。教会はまた、ロマネスク様式の扉口も残しているが、これは元の位置から移されている。この細心のロマネスク様式の作品は、持ち送りや柱頭に優雅な彫刻が施され、社会的に楽しめるように丁寧に修復されている。

現在は、ロマネスク解説センターとなっている。

平面図

現地では動画で建物の変遷が紹介されました。その画像は手元にないので、Románico Digital による平面図です。東が右です。

Románico Digital による平面図

さっそく、見学です。

Centro de Interpretación del Románico en Cantabria

展示が充実していて、驚きました。

ロマネスク教会のつくり方
身廊にて西を向く

7世紀〜10世紀のプレ・ロマネスク作品、カンタブリアのロマネスクが域外とどのように影響しあっていたのかの解説、ロマネスク教会のつくり方のサンプルと動画、洗礼盤の装飾の多様性、周辺のロマネスク教会の紹介。。。

周辺のロマネスク教会の紹介
周辺のロマネスク教会の紹介

とても興味深い内容が、工夫を凝らして展示してあります。おすすめです。

内観(勝利アーチ)

17世紀の決定的な改築では、ロマネスク様式の身廊が解体された一方、オリジナルの後陣が保存された。

幸い、勝利アーチの柱頭彫刻が遺っています。

身廊にて東を向く

向かって左の柱頭は、2人の騎士が審判のような人を挟んで対面しています。

勝利アーチ
勝利アーチ
勝利アーチ

向かって右の柱頭は、幻想的な生き物たちです。グリフォンとアンフィスバエナかもしれません。

勝利アーチ
勝利アーチ
勝利アーチ

どちらの柱頭の彫刻も、そして柱頭の上のアバクスとそれに続くフリーズの彫刻も、精緻に彫られています。

外観(主扉口)

外に出て、まず、主扉口をみます。

東側外観

主扉口は、12世紀末に南扉口としてつくられ、17世紀に現在の位置に移設されました。

主扉口

残念ながらかなり摩滅しています。

外観(後陣)

後陣をみます。

まず、持ち送りです。イェルモ(Yermo)バルセナ・デ・ピエ・デ・コンチャ(Bárcena de Pie de Concha)など、近くの教会で見たような形が並んでいます。

後陣
後陣
後陣

次に、軒下の二つの柱頭です。

こちらは、動物と人が入り乱れています。狩りをしているようです。

後陣軒下の柱頭
後陣軒下の柱頭
後陣軒下の柱頭

こちらは、獅子を裂くサムソン(旧約聖書の『士師記』14章)だと思います。「主の霊が激しく彼に降ったので、彼は手に何も持たなくても、子山羊を裂くように獅子を裂いた。」

後陣軒下の柱頭
後陣軒下の柱頭
後陣軒下の柱頭

背後には、ハサミで髪を切ろうとしている人がいます。サムソンの髪を切るデリラ(旧約聖書の『士師記』16章)かもしれません。その隣では、2人の騎士が戦っています。

最後に、窓です。

ノコギリの歯のようなジグザグが柱身にあります。

後陣の窓

柱頭彫刻は、向かい合う動物たち。

私は、向かって左の柱頭の大きな目も好きですし、向かって右の柱頭のハート型も好きです。

後陣の窓の柱頭
後陣の窓の柱頭

Iglesia de Santa María la Mayor。後陣が素晴らしいです。

また、教会内に「Centro de Interpretación del Románico en Cantabria(カンタブリアのロマネスク解説センター)」があり、周辺のロマネスク情報を含め、興味深い展示が豊富です。

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