Santillana del Mar、続きです。前回に博物館を見学したので、今回はColegiata de Santa Julianaに行きます。
ここは、回廊が素晴らしいです。また、外観では後陣と南扉口、内観では身廊の柱頭と後陣の浮き彫りが良いです。
有料(€3)です。2023年4月は、火曜から日曜の10:00~13:00と16:00~18:00に開いていました。
Santillana del Mar では2か所を見学しました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Museo Diocesano Regina Coeli
<2> Colegiata de Santa Juliana
目次
Colegiata de Santa Juliana へ .
概要 .
平面図 . .
内観(全体) .
内観(柱頭彫刻) . .
内観(浮き彫り) . .
内観(回廊) . .
東側外観(後陣) . .
南側外観(南扉口). .
Colegiata de Santa Juliana へ
私は Museo Diocesano Regina Coeli から北東に約450m、石畳の道を6分ほど歩いて、大きな教会に着きました。17:10頃のことです。

南側が人通りの多い道に面しているせいか、南側がファサードになっています。
概要
教会の外に案内板がありました。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この教会堂の歴史は6世紀に始まり、3世紀末にBitiniaのNicomediaで殉教したJulianaという名の聖人の聖遺物がこの地に運ばれ、現在の教会堂の中央に位置する埋葬用礼拝堂に納められた。
8世紀には、ベネディクト派の修道士が住んでいたであろうモサラべ様式あるいは西ゴート様式のプレ・ロマネスク建築の教会があったことは確かなようだ。
現在の教会は11世紀に着工されたもので、ロマネスク以前の教会の基礎の上に建てられており、ロマネスク様式での再建である。12世紀に回廊を獲得した。
鐘楼は13世紀に増築された(平面図には茶色の縦縞で描かれている)。ひとつの礼拝堂(capilla)が16世紀に増築された。17世紀には聖具室(sacristía)が増築され、17世紀から18世紀への移行期にチャプターの広間(sala capitular)が増築された。
11世紀に聖堂参事会が形成されると、ベネディクト会の規則はなくなり、教会は参事会員によって占められるようになった。8世紀には20人いたはずの修道士は、19世紀中頃には9人になった。
Santa Julianaの聖遺物を納めるために6世紀に建てられた葬儀用の礼拝堂はどうなったのだろうか?さて、その礼拝堂は破壊されることなく、それどころか15世紀まで時代を超えて存続した。1453年、当時のブルゴス大司教がSantillanaを訪れ、Santa Julianaの墓を開くよう命じ、聖人の遺物が存在することを自らの目で確認し、主祭壇に移すよう命じた。そして、教会の中央に、現在見ることのできる墓碑を建立した。
この後も、案内掲示を引用するときは太字で書きます。
平面図
現地の案内掲示に平面図がありました。東が上です。

さっそく、中に入ります。
内観(全体)
身廊に柱間が四つあります。なぜだか、それぞれの柱間の大きさが少しずつ異なっているんです。現地で歩きながら見ていると、手作り感があって、味わい深く感じます。
壁石の表面が清潔に白く整っています。これは修復されたからじゃありません。別の理由があります。
1761年、勅令により、教会は衛生上の理由から白塗りされた。この白塗りは、18世紀に流行した伝染病と闘うために行われた。
1927年、教会の哀れな姿を見た歴史美術アカデミーは、20世紀には白塗りは何の役にも立たないとして、石灰の撤去を命じた。石灰を取り除くと、教会の壁に付着していたであろう汚れや湿気は石灰に付着し吸収されており、石灰とともに取り除かれたことが観察された。
白塗りは、保存に効用があるんですねえ。
内観(柱頭彫刻)
身廊の柱頭彫刻をみます。
ペリカンが胸をつついている。彼らの間には羽があり、その上には大きな渦巻きがある。渦巻きの間に置かれた人間の頭が舌を出している。

「くちばしで自分の胸を傷つけて、流れる血を子に飲ませるペリカン」、キリストの象徴として教会に描かれることがあります。
こちらは、渦巻き状の植物と、その上に顔が描かれています。

渦巻きが美しい。
身廊の柱頭には、他にも、アダムとエバ、教会建築の様子、騎馬兵たち、歩兵たちなどの具象的な図像の彫刻がありましたが、割愛します。
内観(浮き彫り)
二つの小後陣と主祭壇には、一つずつ浮き彫りがあります。
<北小後陣>

幼い聖母と聖アンナ
11世紀のロマネスク様式である。
幼子は聖母マリアで、彼女を抱いているのは聖アンナ(聖母マリアのお母さん)なんですね。興味深いです。
浮き彫りの近くに案内が置いてありました。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
浮き彫りは、正面性の法則の下に示されている。彫像は半円形の下に保護されており、その頂点には、天の象徴であると同時に、数秘術を通して完全性と神と人間の関係(3と4の和)を想起させる七芒星が彫られている。小さい建物の側面には、高い柱頭を持つ柱に支えられた、垂直な窓を持つ塔があり、中央には蔓の房と玉のフリーズを持つ。このような建築様式は、イェルモ(Yermo)の教会の浮き彫りに似た、天上のエルサレムの表現である。聖アンナの衣装は、ビザンチン様式の頭飾りと先の尖った草履である。聖母は王冠をかぶり、膝の上に開いた本を置いて読書をしている。チュニックは特徴的な襞があり、聖母のチュニックに施された刺繍と、聖アンナの膝に施された襞が、豊かな衣服の中で際立っている。これは、ビザンチンのテオトコスのロマネスク表現に完全に沿ったアンサンブルである。
<南小後陣>

悪魔を御する聖ユリアナ(Santa Juliana)
11世紀のロマネスク様式である。教会の献堂のために課された図像に従い、直立し、荒縄で悪魔を御する聖ユリアナを表現している。天の雲からは、翼を広げ、執り成しの手を持つ天使が降りてくる。
Santa Juliana、たくましくて頼もしいです。
<主祭壇>

祭壇の正面
11世紀のロマネスク様式である。右から2番目が聖ペトロで、向かって右の手に鍵を持っている。向かって左の手に持っている本には「使徒ペトロ:教え」と書かれている。
優しい表情の使徒たちが、良いです。
実は、もうふたつ、浮き彫りがあるんですが、私は見るのを忘れました。案内掲示によると:
パントクラトール
このレリーフは鐘楼(torre de campanas)にある。11世紀のロマネスク様式である。(写真16)
洗礼盤
このレリーフは鐘楼(torre de campanas)にある。11世紀のロマネスク様式である。
浸礼のための洗礼盤として考案されたため、巨大なサイズになっている。正面には、ライオンの檻の中にいるダニエルの場面が彫られている。(写真17)

再訪する機会があれば、みたいです。
内観(回廊)
回廊に行きます。
わお。

時間を忘れて眺めていたいところですが、18時に閉まるので、あまり呑気にしていられません。
急いで、でもなるべく丁寧に、写真を撮りました。
「十字架降架」だと思います。天使の翼がかわいい。
冠をつけて動物にまたがっている人。動物には立派なたてがみがあります。
東側外観(後陣)
外に出ます。

後陣の装飾が美しいです。

よくみると、持ち送りや柱頭に奇妙な彫刻が並んでいて、面白いです。
南側外観(南扉口)
アーチの上に、人物像が並んでいます。

中央は、十字ニンブスなので、イエスです。

イエスは少し険しい表情。
Colegiata de Santa Juliana。回廊が素晴らしいです。また、外観では後陣と南扉口、内観では身廊の柱頭と後陣の浮き彫りが良いです。
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