2023年4月27日(木)、三番目の訪問地は Añes。Iglesia de San Vicente です。
ここは、南扉口が素晴らしいです。
南扉口は、増築された建物に覆い隠されています。南扉口をみるためには、鍵を開けてもらう必要があります。私は村人に頼んで、鍵を開けてもらいました。
目次
Añes へ
夫と私はレスパルディサ(Respaldiza)から西に約14km、18分ほど運転して、山里の小さな村に着きました。12:30頃のことです。
急峻な細い道を抜けて、目の前にこの風景が広がったとき、楽園に思えました。
半円アーチの開口部の上に、片流れ屋根のある建物がみえます。Iglesia de San Vicente です。
概要
現地に案内掲示がありました。Románico Digital による概要とあわせて、自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
Añes
– Araba / Álava –
Añesの村は、ブルゴス県との境に位置し、サルバダ山地(Sierra Salvada)の麓にある。Ayala渓谷の中でも最も険しく、一見するとアクセスしにくい場所であるが、ブルゴスを通ってカスティーリャに抜けるNervión川とCadagua川の近くに位置しているため、先史時代から往来と定住の地であった。
1049年、カスティーリャ伯爵don Diego Porcelosによって、San Félix de Oca修道院に寄贈されたSan Vicente修道院(あるいは教会)の存在が記録されている。
また、1128年から1130年にかけて、司教don Sanchoによって奉献された独自の教会の建立も記録されている。この情報は、Micaela Portillaが1961年に、当時の司祭による1766年の文書から得たもので、彼は、主祭壇を解体した際に箱が発見され、その中に羊皮紙があったことを報告している。その羊皮紙の中には、教会の献堂日が記されていた。
San Bizente eliza / Iglesia de San Vicente
現在の教会は18世紀に再建されたもので、元々あったロマネスク様式の教会の形や配置が変更された。教会へのアクセスは、19世紀のポルティコで守られた東側の扉口となり、祭壇は西側に置かれた。
1982年7月、Micaela Portillaがフィールドワークの一環として村を訪れた際、教会の南壁の漆喰を剥がしたところ、県内最古のロマネスク・アンサンブルのひとつが発見された。装飾の施された上部アーチを持つ扉口である。
この後も、案内板やRománico Digital を引用するときは太字で書きます。
さっそく、見学です。
北側外観
雄大な背景の中に佇む教会。
正面の鐘楼の下は、片流れ屋根のポルティコ。19世紀のものです。
鐘楼の右の建物には、ロマネスク様式の装飾が残っています。
幾何学的な簡素な模様です。
東側外観
通りに面した東側に、主扉口が設けられたようです。
鐘楼に上る階段の向こうに、南扉口を隠している建物があります。
南側外観
南扉口を隠している建物が届かない部分に、ロマネスク様式の装飾が残っています。
軒下です。
教会の南側は広場になっています。
私はロマネスク様式の扉口を探しまわりました。
(後で知ったのですが、ロマネスク様式の扉口は外からは見えません。下の写真の、青い◯の扉から入ると、その中にあります。)
でも、なにも手がかりが見つからないので、仕方なく、隣の家の呼び鈴を鳴らしました。
上の写真で、左端の、赤い車が停まっている家です。
スペイン語が不自由な私ですが、こうなったら、YouTube動画で学習した成果を試すしかありません。
優しそうな婦人は「鍵の管理人の家は、この家の並びの南端にある、この家と同じような階段の上の家です。私も一緒に行ってあげたいけれど、私は脚が悪いものだから、ごめんなさい。」と言いました。
良かった、スペイン語で話せた!鍵の場所も教えてもらえた!と喜び勇んで、私は鍵を求めて鍵守りの家へ行きました。
でも、広場の南西端の階段の上の家は、不在でした。
私は、絶望しかけましたが、あきらめられません。
広場の南から南へとのびる道を歩いていき、何やら作業していた婦人に声をかけました。
親切な婦人は作業を中断し、広場の南西端の階段の上の家に私たちと一緒に行ってくれました。やはり不在。。。
すると、婦人は、夫と私に「ここ(広場)で待っていてください」と言いました。彼女は、一人で教会の北側に行ったのです。
婦人は、わずか数分で、鍵を手に戻ってきました!
南扉口
婦人が、教会の南側に増築された建物の扉を開けると、物置の中に、素晴らしい彫刻がありました。
1128年から1130年頃に建てられたロマネスク様式の教会のもので、1982年に発見されました。
この扉口で最も興味深いのは、Zambranaの一つ、Armentiaの二つと合わせて、Álavaに現存する四つのうちの一つである、ティンパヌムである。
ちなみに、私はÁlavaに現存する四つ(Zambranaの一つ、Armentiaの二つと、Añesの一つ)のティンパヌムを全部みました。私が一番好きなのが、ここAñesのティンパヌムです。牧歌的で心を打たれます。
原罪の場面を描いており、右側のアダムと左側のエバは裸で、その裸体を葉で覆っている。
中央には生命の樹があり、柱状の幹に根元があり、枝から実がぶら下がっている。悪魔である蛇は幹に巻きつき、口にリンゴをくわえてエバに渡し、エバは左手でリンゴを持ち、右手では性器を覆う葉を持っている。
エバの姿は素朴で原始的、つまりこの作品の古さを示しており、頭頂部にはボリュームたっぷりの髪があるが、背景には輪郭が描かれているだけで、概略的な顔、長い腕、大きな手、非常に強調された乳房、短い脚を持つ。
アダムの姿も同様で、右手に葉を持ち、左手は喉に当てている。飲み込みにくさと犯した罪の自覚を表している。
これらの像と配置、そして半円アーチなどから、このアンサンブルは12世紀前半のものと推定される。
実に、県内で最も古いロマネスク様式の建築物は、この建築物を含め、まだイスラム教徒の脅威から完全に解放されていなかった時代に、通行は困難だが安全な場所に建てられたのである。
あっちにも、こっちにも花がいっぱいです。
上部には、ヒナギクのような四つの大きい花があります。そして、アーチ部分にも肉厚の花が咲き誇っているし、さらに、アーチの根本にも、七つの花弁を持つ花がびっしりと並んでいます。
そして、花たちに囲まれた5人の天使たち。翼を広げ、真剣な仕草で、大きな手を胸に当てています。
天使は、恩寵に満ちて、すごく幸福そう。
Iglesia de San Vicente 。南扉口が素晴らしいです。
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