クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)<1>

2022年8月13日(土)に訪れたのは Clermont-Ferrand だけ。Basilique Notre-Dame du Port とCathédrale Notre-Dame-de-l’Assomption です。

クレルモン=フェランについては、以下のとおり、2回に分けて書きます。

クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)<1>
Basilique Notre-Dame du Port について。
この教会には8月13日と8月21日の2回行きましたが、あわせて8月13日の記録として書きます。

クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)<2>
Cathédrale Notre-Dame-de-l’Assomption と、その近くのグラ広場(Place des Gras)の角の建物の壁に埋め込まれているロマネスク様式のまぐさについて。

Clermont-Ferrand へ

この日の夜遅くに、夫がクレルモン=フェランに到着の予定です。

私は宿をチェックアウトし、南に31分ほど車を運転して、クレルモン=フェラン空港のレンタカー会社に着きました。11時頃のことです。オートマ車を返却して、マニュアル車を借りるため。

マニュアル車

私はあまりマニュアル車を運転したことがありません。最初に取得したのがオートマ限定免許で、限定を解除するために自動車教習所内で運転した程度です。

マニュアル車を練習してみようと思い、運転好きな夫が旅に合流するのに合わせて借りました。9月1日に返却するまで練習を重ねましたが、、、今後はオートマ車だけをレンタルしようと心に決めました。

Basilique Notre-Dame du Port へ

ここは、オーヴェルニュ地方のロマネスク芸術を象徴する、主要な五つの教会のひとつです。

イソワール、クレルモン、オルシヴァル、サン=ネクテール、サン=サテュルナンの5か所にある五つのロマネスク教会は、ほぼ同時期に建築され多くの共通点を持つ、姉妹教会。

オーヴェルニュの都の中心にあるこの教会は、特に潤沢な資金が注がれてきた印象です。

Basilique Notre-Dame du Port(南側外観)

道端に案内板がありました。

Basilique Notre-Dame du Port の概要

道端にあった案内板の一部を抜粋して太字で和訳しつつ、私が撮った写真を載せます。

この場所には、かつて古い宗教的聖地があった。それを引き継いで、571年から574年頃にクレルモン司教の聖アウィトゥスによって教会が建てられ、さらに12世紀になるとロマネスク様式の建物が建てられた。
1185年、クレルモン司教 Ponce de Polignac は、聖職者と信徒に工事の完成資金を調達するよう奨励。
1881年、小バシリカに昇格。
1998年、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の道」の一部としてユネスコ世界遺産に登録された。修復工事が行われ、タイルや以前の装飾を取り戻した。

世界遺産となれば、修復工事にもちからが入りますよね。

ポール(Port)についても、親切に書いてありました。

ポール(Port)街は、都市の表玄関として、常に商業の中心であった。この地域には旅館や宿屋が多くあり、教会と通りを隔てるように墓地があった。

この界隈は、今も昔もにぎやかだったらしい。

ロマネスク様式の建物はラテン十字型のプランで建てられた。
16世紀のポーチが、教会の西側扉を保護している。

Basilique Notre-Dame du Port(西側外観)

外形は、長さ52m、最も広いところで26m。身廊の高さは18mである。

鐘楼
もともと西側の壁は、二つの鐘楼を支えていた。これらの塔は1490年の地震で倒れ、交差部の尖塔も倒れてしまった。
1823年から1825年にかけて、技師 Ratoin が時代錯誤のヴォルヴィック石の鐘楼を建設した。
1843年、建築家 Gilbert-Aymond Mallay は、交差部に八角形の鐘楼を建てた。

19世紀の改築は、ときどき、微妙な方向にいっちゃうんです。

南側
教会全体は、明るい色の砂岩であるアルコースでつくられている。五つの半円形アーチは、身廊の五つの柱間を表している。上部には五つの三連アーチの装飾がある。

Basilique Notre-Dame du Port(南側外観)

ヴォルヴィック石で作られた南小扉口は、15世紀の改築である。

翼廊の横断面には、黄金比のペディメント(切妻屋根の三角形の部分)とアブラハムの犠牲に関する柱頭が見られる。

Basilique Notre-Dame du Port(南側外観、アブラハムの犠牲に関する柱頭

南大扉口のまぐさは左から、威厳に満ちた聖母を前にした東方三博士礼拝、神殿での奉納、キリストの洗礼を表している。

聖マルコの獅子と聖ルカの牛の上に、栄光のキリストの玉座が乗っている。『イザヤ書』に基づく。その脇には2人の熾天使(6枚の翼を持つ天使)と二つのギリシャ文字が描かれている。アルファとオメガ、始まりと終わりのシンボルである。

ちなみに、2人の熾天使の両脇には、それぞれ受胎告知とご生誕のレリーフがあります。

扉の両脇には、イザヤと洗礼者ヨハネが立っている。

後陣
後陣は、最も完成度の高い部分である。住宅が密集しているこの教会は、一点から全体が見えるように設計されていない。

しかし、ベルヴェデーレからの眺めは、そのプロポーションを十分に把握し、装飾(市松模様、ビレットコード、持ち送り、多色石のロゼット)を観察することができる。

Basilique Notre-Dame du Port(東側外観、ベルヴェデーレからの眺め

ベルヴェデーレ

後陣をよくみるための場所があります。無料です。

住所は「1 Rue Robertus」、ここ↓から階段をのぼります。

目の前に荘厳な装飾が広がるので、おすすめです。

フロアプラン

道端にあった案内板に図がありました。

道端にあった案内板の図

教会の中に入ります。

教会へのアクセス

教会へは、教会の南側にある通り(Rue du Port)のこちらの門から入ります。

私は、西扉口から入ろうとして、施錠されていたからショックを受けました。

これから訪れる人が心おだやかでありますように、この門のことをお知らせしたい。

Basilique Notre-Dame du Port の内観:全体

教会の中の、全体の様子。

Basilique Notre-Dame du Port(内観、身廊にて東を向く)

かなり明るい。

地下聖堂に行きます。

地下聖堂

踊り場のような場所を通って、さらに低い場所があります。

Basilique Notre-Dame du Port(内観、地下聖堂にて北西を向く)

柱頭彫刻が美しい。

Basilique Notre-Dame du Port(内観、踊り場にて東を向く)

中央の一番上に大切に置かれているのは、黒い聖母(18世紀)の彫像。

地上に戻ります。

クワイヤの柱頭彫刻

立派な柱頭彫刻がならびます。

Basilique Notre-Dame du Port(内観、交差部にて東を向く)

「ご生誕」、「新しいエルサレム(『ヨハネの黙示録』3章と21章)」や「聖母被昇天」などがテーマです。

Basilique Notre-Dame du Port(内観、交差部にて東を向く)

いくつかをズームインします。

ご生誕:受胎告知

ご生誕の柱頭彫刻

ご生誕:もの思いのヨセフと天使

ご生誕の柱頭彫刻

新しいエルサレム:音楽を奏でる天使

新しいエルサレムの柱頭彫刻

実に、立派な作品です。

最後に身廊の柱頭彫刻をみます。

身廊の柱頭彫刻

気になったものを二つだけ。

「キリストの誘惑」
新約聖書、『マタイによる福音書』4章、『マルコによる福音書』1章、『ルカによる福音書』4章)

身廊の柱頭彫刻

二つの盾のあいだにいる人、頭がたこさんウインナみたいです。

身廊の柱頭彫刻

かわいい。

Basilique Notre-Dame du Port。後陣と南大扉口の装飾、地下聖堂、クワイヤと身廊の柱頭彫刻が素晴らしい。

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