ヴォルヴィック(Volvic)<2>

Église Saint-Priest、続きです。教会の内部を見ます。

フロアプラン

教会内部に案内シートがあり、フロアプランがありました(画像はクリックで拡大します)。

フロアプラン(上が東)

身廊と交差部の一部は19世紀に再建されました。クワイヤは12 世紀からのロマネスク様式の建築を維持しています。

身廊

ファサードから教会の中に入ると、聖域のあるあたりが輝いていました。

Église Saint-Priest内観(東を向く)

静かな教会の中に私の足音だけが響くなか、明るい東にむかって歩きます。

クワイヤ

クワイヤには、12 世紀からのロマネスク様式の建築が残ります。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)

カロリング朝時代にさかのぼる遺物

向かって右奥には、古い石が壁に埋め込まれていました。

教会前の掲示にあった「カロリング朝時代にさかのぼる遺物や彫像などの注目すべき調度品があります。」というのはこれでしょう。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、カロリング朝時代にさかのぼる遺物

おそらく、ロマネスク様式で再建する以前の教会にあった浮き彫りで、聖域を装飾していたものと思います。これも、

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、カロリング朝時代にさかのぼる遺物

これも。(画像はクリックで拡大できます)

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、カロリング朝時代にさかのぼる遺物

たいへん味わい深い彫り物です。

さらに、柱頭彫刻がたいへん興味深いです。

順に見ていきます。

二股人魚の柱頭

向かって右には、二股人魚のような柱頭彫刻。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)

拡大します。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)

植物の柱頭

植物モチーフの繊細な柱頭彫刻もあります。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)

4人の福音書記者たちの柱頭

植物モチーフの柱頭の隣では、4人の福音書記者たちが自分の名札をひろげています。

名札の文字の字体に注目すると、「E」が半円に横棒だったり、「A」の横棒が曲がっていたりと、魅力的です。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、マタイとルカ

また、図像に目をやると、面白いんです。

マタイはいつも有翼の人(天使)として表されますが、

通常は、ルカは有翼の雄牛、ヨハネは鷲、マルコは有翼の獅子として描かれます。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、ルカとヨハネとマルコ

でも、この柱頭は、他の福音書記者たち(ルカ、ヨハネ、マルコ)も、全員が有翼の人として表されているんです。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、ヨハネとマルコ

余談ですが、同様の柱頭がひとつロンドンにあり、それはかつてモザック(Mozac)修道院にあったものだそうです。モザック修道院といえば、1095年にヴォルヴィック修道院はモザック修道院の監督下にあったことがわかっていますから、深いつながりのあった修道院。私が2022年8月11日にモザック修道院を訪れた際、現地で購入した小冊子にこのように↓書いてありました。

モザック修道院にて購入した小冊子より

4人の福音書記者たち。上↑の写真では2人しか写っていませんが、2人とも有翼の人(天使)として表されています。

文字が彫られている(4人の男の)柱頭

さて、その隣の柱頭には、4人の男が彫刻されています。

1:盾と槍を持つ男
2:槍と天秤を持つ男
3:短剣と剣を持つ男
4:何か(植物?)と本を持つ男

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)

その柱頭には、FORTITVDO と彫られた文字が読めます。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、本を持つ男、盾と槍を持つ男

FORTITVDOといえば、4つの枢要徳のひとつ。

4つの枢要徳は剛毅(fortitvdo)、節制(temperantia)、正義(ivstitia)、賢明(sapientiaまたはprvdentia)です。

左横にはTEMPERANTIAと書いてあるようです。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、盾と槍を持つ男

左手に槍を持っている人は、右手に天秤を持っています。文字は読めませんが、天秤が正義(ivstitia)を表しているのかも。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、槍と天秤を持つ男、短剣と剣を持つ男

その左横を見ると、、、

あれ?

きっと賢明(sapientiaまたはprvdentia)と書いてあると思ったのに、違うようです。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、剣を持つ男、何か(植物?)と本を持つ男

「これは美徳の一つである、謙虚(humilitas)である」とするウェブページもありましたが、私にはよくわかりません。

文字が彫られている(寄付者の)柱頭

文字が彫られている柱頭は、もう一つありました。

でも、字体が違うんです。

こちらの字体の方は、福音書記者たちの名札の文字と似ています。「M」の上部が曲線になっていたり、「E」が半円に横棒だったり、「A」の横棒が曲がっていたり。かわいいんです。

ほら↓ かわいい。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、祝福を与える天使

“INCIPIT DONALIA SANCT PRECTI ; QVE FECIT ; GVILELMES ; DE BEZAC ; PRO ANIMA SVA ET CON”

こう読めるように思います。

「ギヨーム・ド・ベザックが自分と妻の魂の救済のために聖プラエジェクタスに捧げた寄付がここに始まる。」

この柱頭には、天使が二人と、人が二人います。

前掲↑の天使は祝福を与えていて、もう一人の天使↓は振り香炉のようなものを持っています。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、振り香炉のようなものを持つ天使

この柱頭には、天使が二人と、人が二人います。

二人の人は、柱頭のついた柱をともに持っています。一人は聖職者、もう一人は信者のようです。

二人とも、自慢げな表情で、いばっています。手の表現も良いですよね。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、柱頭のついた柱をともに持つ二人

丈の短い衣装を着ている人が、きっと、寄付をしたギヨーム・ド・ベザックでしょう。

Église Saint-Priest内観(クワイヤ)、丈の短い衣装を着ている人

文字が彫られている二つの柱頭

最後に掲載した写真↑の文字に注目すると、”BEZAC”のうち、”BEZ” まではかわいい字体(福音書記者たちの柱頭の名札に似ている)ですが、”AC”は後から付け足したように見えます。私の個人的な印象では、”AC”の文字は4人の男の柱頭の文字に似ています。

文字が彫られている二つの柱頭の彫刻は、共通の特徴があるので、おそらく同じ職人の手によるものでしょう。

Église Saint-Priest

Église Saint-Priest、クワイヤは12 世紀からのロマネスク様式の建築を維持していて、見ごたえのある柱頭彫刻が迎えてくれます。

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