サンタ・コロマ(Santa Coloma)

2019年9月の旅行九日目、四番目の目的地はSanta Coloma。エンカム(Encamp)から南西に約10km、車で約13分の道のりです。

ここでの目的は、Espai Columba(博物館)とSanta Coloma d’Andorra(教会)。

もともと教会の後陣に描かれた12世紀のロマネスク様式の壁画のオリジナルが、現在は隣の博物館にあるんです。そして壁画が剥がされた教会では、プロジェクション・マッピングを上映するという、盛り沢山な内容がセットになっているわけで。

アンドラに来てロマネスクを見学するなら、どちらも必見。

教会の南側

まず教会に行ったところ、主扉口前の椅子に座る女性が流暢な英語で「見学は博物館とセットになっているからチケットを博物館で買ってください」とのこと。

教会の主扉口(南扉口)

黒い鳩の上に Espai Columba というロゴの表示された近代的な建物に行き、一階の受付で見学料を払います。一人あたり€7。見学は二階へ。

博物館内は写真撮影禁止です。

つかず離れず、職員が静かに寄り添い、見学する私たちを見守ります(いや、どう考えても、彼女が見守っていたのは貴重な展示物のほうですな)。

オリジナルのロマネスク壁画は、近寄ってじっくりと見ることができ、のびやかな線と神々しさが素晴らしい作品です。ちなみに、Sant Romà de les Bons のロマネスク壁画と同じ工房が手がけたらしく、聖ペテロが同じ顔です。

カタルーニャ美術館に移設されている Sant Romà de les Bons壁画(12世紀)、部分

Espai Columba のHP(← クリックするとリンクが開きます)では、Santa Coloma d’Andorra のオリジナル壁画の画像が詳細に見られるほか、動画があり、

壁画のオリジナルが移設された時の様子や博物館内の様子、

ストラッポ(壁画を剥がして保存する方法)の案内、

アンドラのロマネスク教会の紹介などがあります。

アンドラのロマネスク教会の紹介動画は、博物館内では別枠で教会の名前が表示されるんです。私は動画を二回見てメモをとりました。絶対いつか行こうと思って。(← この日の終わりに、訪問する教会を急遽ひとつ追加したのは、この動画のせいです。がまんできなかった。)

ま、そんなこんなで Espai Columba の見学を終えると、西隣にある Santa Coloma d’Andorra へ。

教会の東側
教会の北側

教会の南側へ来たとき(これまで見学した教会にも同じ棒があって、ずっと、教会の名前が書いてあるだけと思っていた)棒に目がとまり、、、

教会の名前が書いてあるだけと思ってた棒

反対側から見ると、これ、フロアプラン付き案内だった!

教会のフロアプラン付き案内

上の写真の案内によると、教会は9/2003法によってアンドラの文化遺産の記念物に認定されています。初期ロマネスクの構造を持ちます。鐘楼は円柱形という特殊性を持ち、多色装飾の跡と屋根の軒下には人間の顔の彫刻があります。建物の内部では、サンタ・コロマの親方のロマネスク壁画の遺構で飾られた馬蹄形の勝利アーチが注目に値します。また、多色装飾の彫刻レメディオの聖母や、サンタ・コロマに捧げられた18世紀半ばのバロック様式の祭壇画を見ることができます。

フロアプランを拡大。

棒の裏に見つけたフロアプラン

満を持して、南扉口へ。

教会の南側

先ほど「博物館でチケットを買って来てください」と言った主扉口前の椅子に座る女性にチケットを見せると、早速プロジェクション・マッピングの上映開始です。

うれしい独占見学。

さらに、写真撮影オッケーと、いいことづくめ。

西側を背にして後陣を向く。プロジェクション・マッピングで壁画が再現されています。

「どうぞ、お好きな場所で撮影してください」まで言ってもらい、たくさん撮影。

プロジェクション・マッピングは、まず、壁画が描かれた当時の再現イメージ。極彩色。

馬蹄形の勝利アーチの向こうに、後陣。
後陣の正面には、向かって左から聖コルンバヌス、聖母マリア、聖ペトロ、聖パウロ
後陣の北壁には、イエスとそれを取り巻く四福音書記者のシンボル
教会の南壁には、使徒たち

プロジェクション・マッピングは、次に、オリジナルの現在の様子を映し出します。

後陣の正面

描かれた当時の再現イメージに比べると、色が薄い。

後陣の北壁
後陣の南壁

プロジェクション・マッピングが終わってから、後陣の中を見ると、まっしろけ。

壁画は、あとかたも、ありません。

私が熱心にまっしろけの後陣を見ているのを、職員の女性が不思議そうに見ていたので「さっき博物館でオリジナルを見たとき『通常は後陣の正面にある荘厳のイエスが北壁にあるんだな、変なの』と思ったけれど、ここで後陣を見て気付きました。東南の壁に、窓があったんですね。だから一番かがやく光が、荘厳のイエスを照らしてたのかなと思って。」と話しました。

すると、女性は「そうなんです。今は塞がれていますが、ここには窓がありました。。。」

そこから話が弾んで、色々教えて教えてくれました。

壁画は1933年から2007年までベルリンにあって、2007年にアンドラに返還されたあと、元通りに教会に設置することも検討したけれど、この教会は修築で後陣の形状が変わっていたし、剥がされた壁画も元通りではなかったから、博物館に設置することにしたんです。

でも、剥がされなかったオリジナルのロマネスク壁画も教会には残っているんですよ。馬蹄形アーチの上の壁画は、12世紀のオリジナルです。

西側を背にして後陣を向く。馬蹄形アーチの上にある壁画は12世紀のオリジナル。

壁画が剥がされた20世紀初めには、この壁画は祭壇画の後ろにあったから、壁画があると気づかなかったんでしょう。

その祭壇画は、今はあそこに置かれてる、あれです。

後陣を背にして西側を向く。オリジナルのロマネスク壁画を守ってくれた18世紀の祭壇画。

あの祭壇画の後ろだったから、ロマネスク壁画は退色も少なく、色あざやかに残ったんです。

12世紀のロマネスク壁画のオリジナル

オリジナルのロマネスク壁画を守ってくれた18世紀の祭壇画、よしっ、でかした!

確か、タウイ(Taüll)の有名なロマネスク壁画も、後世の祭壇画に覆われていたから、破壊や退色を免れることができたと記憶しています。16世紀以降に大流行したのか、スペインのあちこちの教会で、どすんと鎮座してるキラキラ豪華巨大祭壇画。個人的には邪魔だなあと思っていたんですが(ごめんなさい)、役に立っていたのです。

巨大祭壇画に守られて美しい状態で残っているこちらの壁画。羊に見えないけど、きっと、神の仔羊。隣の天使の翼の色も鮮やかに残っています。そして、天使の手指のなんと繊細なこと。

すっかり満足して外に出ようとする私に女性は、

これも、ロマネスク様式のオリジナルですよ。

へ?どれ?

聖母子像

おおっと、うっかり、よく見ないで帰るところでしたわ。

聖母子像、花に包まれて大切にされています。

教会は今でも、毎週日曜の10時〜11時に聖ミサが行われているそう。

職員の女性にお礼を言って外に出ると、この辺りにも彩色の跡があるんですよ、とのこと。

分かりづらいですが、確かに彩色の跡。

最後に、Sant Miquel d’Engolasters の見学でイツィアル(Itziar)から「サンタ・コロマにもありますよ」と教えてもらった、鐘楼の屋根の下にあるはずの人の顔はどこだ?と見上げましたが、

鐘楼

まるで分からない。

望遠レンズでがんばって、やっと分かりました。

鐘楼(部分)

画像を編集しちゃう。

〇部分に人の顔

暗くて分かりにくいですが、人の顔があります。

さらに、こちらの鐘楼には多色装飾の跡があります。□部分。

教会内だけでなく、外壁や鐘楼にも多色装飾の跡が確認できるなんて、全体が彩られていたのかも。

ここまで残っているのは、奇跡的なことと思います。

Santa Coloma d’Andorra。アンドラ最古のカトリック教会です。8世紀に遡る建物には12世紀に素晴らしいフレスコ画が描かれました。後陣のオリジナルは隣の Espai Columba にありますが、教会ではプロジェクション・マッピングが楽しめる上、教会には今も一部のオリジナルが鮮やかに残っています。

 

 

 

 

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