2019年9月の旅行七日目、最初の目的地はBossòst。ボイ谷の宿から北に約65km、車で約60分の道のりです。
この日に訪ねる場所は、アラン谷の、七つ。
七日目、9月10日(火)アラン谷
22. ボソスト(Bossòst)
23. ゴサック(Gausac)
24. ビエジャ(Vielha)
25. エスクニャウ(Escunhau)
26. ウンア(Unha)
27. サラルドゥ(Salardú)
28. トレドス(Tredos)
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昨日までいたボイ谷と、今日訪ねるアラン谷とは、似ているようで、違います。
まず、訪問者に対する扱い。
ざっくり言うと、ボイ谷は観光客大歓迎なのに対して、アラン谷は今だに閉ざされた村という印象。アラン谷の場合、多くの教会は9月の上旬には閉まってるし、なんとか開けてもらえないかと観光案内所や役場に問い合わせてもほとんど返事をもらえない。返事がもらえても「9月10日はガイドしません」とそっけない。
この日に訪ねた教会、七つのうち五つは中を見られませんでした。ごめんなさい。
次に、言葉と気候風土。
アラン谷ではカタルーニャ語やカスティーリャ語に加えてアラン語が使われます。
アラン語はアラン谷で使われるオクシタン語(オック語)。ロマンス語の系統です。カタルーニャ州の公用語の一つで、(州内の地名表記は基本的にカタルーニャ語名が公式名ですが)アラン谷の地名についてはアラン語名が公式名。町かどでみかける案内表示もアラン語が使われています。例えば「教会」はカタルーニャ語でesglésia、アラン語でglèisaと、似てますが、違う。
さらに、言葉について調べてて面白いなと思ったのは、この辺りでは昔バスク語とロマンス語が話されていて、アラン谷(アラン語で「Val d’Aran」)の「Aran」はバスク語から来たもので「谷」って意味なんですと。谷でバスク語を使う人がいなくなると、ロマンス語で谷を意味する「val」をつけて「Val d’Aran」と呼ぶようになったそう。
よっぽど「谷!」って地形なんですな、何語でも、もれなくそう呼びたいってことは。
この、言葉と気候風土の違いについて、現地に入るなり強く実感。
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山が険しくて、9月初旬というのに、みぞれ。
この寒くてどんよりした空気は、最初の目的地ボソスト(Bossòst)でも。
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うううっ。まだ9月というのに、ひどく寒かったです。
元気を振り絞って、広場を進むと、右側に目的の教会。
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Glèisa romanica dera Mair de Diu dera Purificacion です。
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アラン語、カタルーニャ語、カスティーリャ語、フランス語と英語で書いてあり、欠損部分があって読みづらいものの、11世紀から12世紀頃に建てられたアラン谷のロマネスク様式がよく残る教会って書いてある気がします。
この教会は開いていた(うれしい!)ので、まず、中を見ます。
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教会は三身廊のバシリカ・プラン。身廊には太めの柱が六つあります。
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使われている石は暗い灰色で、内部は重厚に感じます。
外を見ます。
南扉口は広場に面した主扉口。ティンパヌムにはクリスモンがあります。
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持ち送りが多様。
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後陣にはロンバルディア帯など豊かな装飾
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後陣のある東から、反対側の西へ。
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この、北扉口が、すばらしい。
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持ち送り、統一感はありませんが、個性的で魅力があります。
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さらに、柱頭彫刻。
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柱頭彫刻に焦点を当てます。
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組ひも模様や植物模様が、強烈なちからで人をひきつけます。
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そして、何と言ってもティンパヌム。
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荘厳のイエスと四福音書記者のシンボル。イエスの両肩の上の方にあるのは太陽と月のシンボルと思います。
衣などの線はひどく荒々しいようでいて、イエスの表情はとても繊細。素晴らしい。
Glèisa romanica dera Mair de Diu dera Purificacion、教会広場にたたずむロマネスク教会です。南扉口、後陣、持ち送りも素晴らしいのですが、何と言っても、北扉口を見逃してはなりません。
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