ドゥーロ(Durro)<1>

2019年9月の旅行五日目、四番目の目的地はDurro。コーイ(Cóll)から北東に約12km、車で約20分の道のりです。

最初の目指すのは、Ermita de Sant Quirc de Durro 。

Durro 山を1,500メートルほど登ったところです。

ハイキングコースの標識を横目に見ながら、細い山道を車で進みました。道を間違ってないかと心配で、ドキドキしながら。

ドキドキしている行きの道では写真なんて撮る余裕はなく、見学を終えてポヨ~ンと気が緩んでいる帰りの道で撮った写真が、こちら。

帰りの下り坂で撮った写真

のどかな山道でした。こんな細い道を進むと、素晴らしい場所にたどり着くんです。

着いた時には、わお!と大喜び。

開放的で美しくて、吹く風が爽やか。

教会の西側に駐車スペースがあります。

教会の西側

近づきます。

教会の南西

主扉口は南にあります。

でも、閉まっていました。

案内板は見当たりません。

Centre del Romànic de la Vall de Boí のサイトによると、教会は12世紀のロマネスク様式。その後、一部、バロック様式が追加されました。内部には聖キリクスと聖ユリッタ のロマネスク様式の祭壇前面画のコピー、ゴシック様式の聖キリクスと聖ユリッタのイメージ、バロック様式の祭壇画があります。

教会で祭壇の正面を飾っていたロマネスク様式の祭壇前面画のオリジナルは、バルセロナのカタロニア国立美術館に移設展示されています。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona で、2019年9月5日に撮った写真がこちら。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されているオリジナル(12世紀)

教会は、名前(Ermita de Sant Quirc de Durro)が示す通り、聖キリクスに捧げられています。聖キリクスと、その母親の聖ユリッタは3世紀に殉教した聖人。聖キリクスは殉教したとき、たった3歳だったそうで、最も若い殉教者と言われています。

中央のアーモンド型の中にいる母子が、聖ユリッタと聖キリクス。

ちなみに上の絵の場合は、ちゃんと名前が書いてあるから聖母子(聖母マリアとイエス・キリスト)像じゃないことは明らか。でも、もし名前が見当たらないときの見分け方は、光輪の十字架。通常、イエス・キリストの光輪には十字架が描かれます。

中央のアーモンド型を取り囲む四つは拷問の場面。

体の線、手足、火や血の形、全ての表現が簡素でありながら、たいへん豊かです。例えば左上の、のこぎりを持つ二人の反らした背中。勢いよく動いている感じが伝わってきます(よく考えると、怖いけど)。

そして聖ユリッタの大きな瞳とキリっと両角の上がった口元。強く優しく美しい。

こんな見事な美術品が、数百年のあいだ、山の上の小さな教会にあったんです。

Ermita de Sant Quirc de Durro 。素晴らしいロマネスク様式の祭壇前面画はバルセロナのカタロニア国立美術館に移設展示されています。ただ、素朴で小さなロマネスク教会と美しい山々が、訪問者を迎えてくれます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です