レッジェッロ(Reggello)

2019年GWの旅行三日目、最初の目的地はReggello。フィレンツェ(Firenze)から南東に約36km、車で約45分の道のりです。

4月26日(金)に訪問したのは三箇所。
3. レッジェッロ(Reggello)
4. ピアン・ディ・スコ(Pian di Scò)
5. グロピナ(Gropina)

グーグルマップを編集して訪問番号を加えました。

3〜5はアルノ川沿いの渓谷に位置していて、この辺りをヴァルダルノ(Valdarno)と呼びます。

私は、この日金曜から一人でアレッツォに二泊。夫はアレッツォまで一緒に行きますが、電車でフィレンツェに日帰りして翌日(土)からスペインでサッカー観戦、月曜にイタリアに戻ってきます。

朝起きると、荷物をまとめました。そして、SIMを入手するために9:30の開店を待ってTIM(通信会社)の店に行ったんです。前日は休業していましたが、この日は開店(ただ店が開くだけでこんなにうれしいのは初体験♪)し、SIMを二枚、手に入れることができました!

一枚はモバイル・ルーターに、もう一枚は夫のスマホに装着。

その後、歩いてフィレンツェSMN駅の近くのレンタカーの営業所に行き、予約していたオートマのコンパクト・カーを受け取りました。車でホテルに戻り、スーツケースを積み込むと、Regelloに向かって出発です。

ここでネット問題その2が起きました。

モバイル・ルーターがネットにつながりません。夫のスマホはつながったので、そのグーグルマップにナビしてもらい、何とかRegelloにたどり着きました。

でも、このままでは明日から一人で運転する私はナビ無しになってしまう。simを私のiPhoneに挿入しようと考えましたが、そのための道具(細いピン📍みたいな形のアレです)を持っていません。

夫のスマホで調べてアレッツォにTIM店がある事を確認し、その店で道具📍を貸してもらう事に決め、ひとまず Regello に集中です。

カシャのサン・ピエトロ教会(Pieve di San Pietro a Cascia)。

「教会」をイタリア語で言うとキエーザ(chiesa)ですが、宗教上の区分によって名称がいくつかあります。カトリック聖堂の名称と、どう違うのかを簡単に。

●カッテドラーレ(cattedrale)司教座教会。「大聖堂」と和訳する事が多いです。内陣に司教が座る椅子(cattedra)を持ちます。司教が長を務めて担当司教区の式典を行う教会です。

●バシリカ(basilica)ローマ教皇から特権を付与された教会。「大聖堂」や「教会」と和訳する事が多いです。特権は具体的には「一般の教会堂より上位の教会堂として扱われる権利」「オンブレリーノ(教皇専用の傘で主祭壇の右手に置く)を備える権利」「ティンタナバラム(教皇を象徴する鈴)を備える権利」「聖務において聖堂参事会員がカッパ・マグナ(格式が高いとされる儀式用の衣装)を着る権利」の四つ。

●コッレジャータ(collegiata)参事会の組織教会。「参事会教会」と和訳する事が多いです。カッテドラーレと同じような機能を持ちますが、司教座はありません。参事会員(canonico)は、カトリック教会における聖職者の階位で「大聖堂に付属して運営を務める司祭」です。参事会員(canonico)は聖アウグスティヌス戒律を採用するなど律修化して使徒的生活を実践する場合には律修司祭とも呼ばれます。司祭は司教を補助します。

●キエーザ・パッロッキアーレ(chiesa parrocchiale)教区司祭(parrocco)が治める教会。「教区教会」や「教会」と和訳する事が多いです。教区司祭の権限は司教に従属します。

●ピエヴェ(pieve)洗礼の儀式を行う権限を持つ教会。「教会」と和訳する事が多いです。

つまり、ここカシャのサン・ピエトロ教会(Pieve di San Pietro a Cascia)は洗礼の儀式を行う権限を持っているんですな!

なお、ドゥオーモ(Duomo)はカトリック教での区分ではなく、その町いちばんの聖堂をそう呼びます。

さて、目当ての Pieve di San Pietro a Cascia の扉が開いていたので、ひと安心。まずは昼食に。隣の魚介料理の店に行きたかったのですが「今日は18時開店」と書いてあったので、こちらの店に行きました。

Borroncino
Via Dante Alighieri, 106, 50066 Reggello
Tel. +39 055 869 5573

いただいたのは、こちら。

私はウサギの煮込み、夫は肉の揚げ物

美味しく食べて、教会に戻りました。

下調べした時、Reggelloのコムーネ(自治体役場)の公式HPがこの教会を紹介していたので問い合わせると、教区司祭ドン・ロベルトの電話番号を教えてくれました。お、これは携帯電話の番号だ、と思ったので WhatsApp に入力すると神父さんたらユーザーでした。4月26日(金)に教会を訪問していいか、何時から何時まで開いているかを問い合わせると

Sì.  Volentieri.
Troverai la chiesa aperta, dalle 7.30 alle 21 circa.
Dalle 17.30 alle 18.15 c’è la santa Messa e forse è meglio evitare quell’ora per la visita.

(はい、どうぞ。教会はおよそ7:30から21:00まで開いています。17:30から18:15までは聖ミサがありますので、おそらく訪問はその時間を避けるのが良いでしょう。)

イマドキは神父さんもWhatsApp。ドン・ロベルトから即レスをもらえた時、うれしくて小躍りしました🎶

さて、教会見学です。

現地で案内がみあたらなかったので、教会に関する情報はゾディアック(Zodiaque)の la nuit des temps を参考にしました。私が抜粋抄訳した文は太字で書きます。

教会に関する文書での言及は12世紀初め。フィレンツェの田園地帯であるピアン・ディ・スコや、教区はアレッツォに属すがグロピナといった、ヴァルダルノ地域のロマネスク様式に共通する特徴を持ち、その最も代表的なものの一つと見なすことができる。

教会の右の鐘楼は防御塔として造られた可能性がある。

内部は17世紀に改築されたが、その後、最近の修復によって(柱のベースを高い位置に移動させるなどして教会全体の床は上げてあるが)ほぼ完全に元の状態に戻された。

ゾディアック(Zodiaque)の la nuit des temps によるフロアプラン

では、中に入ります。

façadeを背にして内陣をみる

石、イシ、いし!って感じ。厳かな気持ちになれる整った姿です。

南側廊
北側廊
後陣を背にして façade をみる

柱頭も素晴らしい。

植物モチーフと思ったけど、よく見ると、おちゃめな顔がありました
二人乗り
同じ柱頭の別面。手は腰っ。

私が見学しているあいだも、何人かの女性が掃除や手入れをしていました。大切にされてるんですねえ。

教会を出て、裏手に回ってみました。

マサッチオ美術館。もともとは教会の中に描かれていた作品が再発見されてこちらにおさめられています。

上の写真の建物の左(教会の東)は崖。樹木が生い茂っていてこの位置からは見えませんが、崖の下には小さな川が流れています。対岸には、斜面を縫うようにセッテ・ポンティ(「七つの橋」の意)という名の道が走り、くねくねと続くこの道を南に向かうと、ピアン・ディ・スコ、グロピナを経由して、アレッツォに至ります。

教会に目を戻すと

あら、うしろ姿も良いじゃないの。

Pieve di San Pietro a Cascia、ヴァルダルノ・ロマネスクを代表する教会の一つです。

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