2018年9月の旅行七日目、最初の目的地はGourdon。泊まっているAirbnb(Montceau-les-Mines)から南東に約8km、車でわずか約8分の道のりです。
七日目(土)の訪問予定は四箇所。
30. グールドン(Gourdon)
31. モン=サン=ヴァンサン(Mont-Saint-Vincent)
32. サン=ロマン=ス=グルドン(Saint-Romain-sous-Gourdon)
33. ペレシー=レ=フォルジュ(Perrecy-les-Forges)
グーグルマップを編集して訪問番号を加えました。
この日、夫が帰国の途につき、入れ違いに姉が旅行に加わりました。
まず、訪問番号30〜32の教会を訪ねて、昼食。
次に、上の画像の中で北の方にあるル・クルーゾ(Le Creusot)という町にある、高速特急電車(TGV)の駅に行きます。夫はここからパリ行きのTGVに乗車。夫が乗車するTGVは、リヨンから乗車した姉をル・クルーゾに運んで来ます。姉はスペインのバルセロナ在住。この日の朝スペインを出発し、フランスに来ます。
最後に、ル・クルーゾで夫を送って姉を迎えた後、姉と二人で訪問番号33の教会を見て、Airbnbにチェックインします。そのAirbnbは、上の画像の中で南の方にあるシャロル(Charolles)からさらに南に12kmくらいの場所です。
つまり私にとっては大移動のドタバタの日。ロマネスク見学は四箇所に限定です。
さてさて。
朝、モンソー=レ=ミーヌのAirbnbをチェックアウトして最初の目的地グールドンへ。小高い丘を登り、教会の近くに路上駐車しました。
ここの目的は、ノートル=ダム=ドゥ=ラソンプシオン教会(Eglise Notre-Dame-de-l’Assomption)。
すごかったです。みどころが満載で。
西側 façade は、こうなっています。
上の写真にも向かって右端(教会の南側)に墓が写っていますが、教会の南と東は墓地です。
教会の東側。
この場所で東を振り向くと、ここは丘の上ですから、すばらしい絶景が広がっています。
教会の身廊や鐘楼の持ち送りには、ロマネスク彫刻が残っています。一部をご紹介。
大きい目玉の、おもしろ顔。
シンプルで美しい。
愛嬌もたっぷり。うひょひょひょ、という声が聞こえてきそう。
教会の中に入ります。
中に入ると、後陣の輝き、三層の身廊のアーチ、トリフォリウム(triforium)、高窓や、柱頭彫刻の調和があまりにも素晴らしくて、息をのみました。
声にならない、うれしい悲鳴がとまりません。こんな場所があったんだ。
三廊式です。北側廊。
南側廊。柱頭彫刻がかわいいですよね~、後でまとめてご紹介します。
西扉口を入ってすぐの辺りに、こんなものが置いてありました。
あら、オーベルジュか役場で、本が売られてるって。これは買いでしょう。
教会を出て、すぐ南西にオーベルジュがあります。
この Auberge de Gourdon で、その本を買いました。€12。
教会の中に戻り、案内掲示を見つけました。
案内掲示によれば、この地には古くから宗教施設があったようですが、6世紀にはベネディクト会の礼拝堂の存在が記録されています。
ロマネスク教会の建設は12世紀のこと。三層式の構造はクリュニーIIIを彷彿とさせるものです。その後、数々の工事が行われました。
1632年 – 1638年:主に北側廊
1848年:北祭室の屋根と側廊の屋根
1862年:屋根。この年、白しっくいが塗られました。
1889年:鐘楼の崩壊とそれに続く再建
1947年:開口部を閉鎖
1971年:交差部と身廊の屋根、内装塗装
案内表示にあった、フロアプランです。
この教会にも、高橋久雄氏の功績があります。
オーベルジュで買った本によれば、1940年に破片が落下してキリストの足が見つかり、 長い間しっくいによって覆い隠されていたフレスコ画が再発見されました。最初の修復キャンペーンは1971年にラフィン氏によって行われ、黙示録の動物たちに囲まれた威厳のあるキリストが明らかになりました。2番目の修復キャンペーンは、1987~88年にデラバル氏によって行われ、その後、1991年に高橋氏によって引き継がれたそうです。
そのフレスコ画がこちら。
正面上部、後陣の半球部分(Cul-de-four)には荘厳のキリスト。
イエス・キリストの目がロック歌手のようだと思ってしまうのは、私だけ?それはさておき、イエスを囲んでいるマンドルラの表現が独創的だし、その周りの翼の形状が妖精の羽のように感じます。興味深い。
南の壁です。
南の壁の上を見上げます。
オーベルジュで買った本によれば、上部には12使徒のうちの6人がイエスの方に進んでいて、聖パウロが先頭です。円の中に描かれているのは預言者。もともとは、それぞれの使徒の名前が明記してあったそうで、黒髪がユダだそうです。今では判別が難しい。
使徒たちの下に描かれているのは「エマオの晩餐」『ルカによる福音書』24章。
復活したイエスがエマオという村に向かう二人の弟子と会ったのに、二人はイエスと分かりません。一緒に食事の席に着いたとき、イエスがパンを裂いてお渡しになると、二人の目が開け、イエスだと分かった、という場面。預言者の言葉を信じない人に、イエスがちくりときついことを言います。
親指と人差し指で、ちっちゃいパン切れをつまんでるイエスが、すごく良い。
北の壁です。
北の壁の上を見上げます。
上部には12使徒のうちの6人がイエスの方に進んでいて、聖ペトロが先頭です。
「受胎告知」(『マタイによる福音書』1章、『ルカによる福音書』1章)
天使ガブリエルの「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」 を言う場面と思いますが、このビシッとした指が強烈。
「ご生誕」(『マタイによる福音書』2章、『ルカによる福音書』2章 )
ヨセフの衣装やマリアの布団、けっこうおしゃれな模様っぽい。
そして北壁には、私が大好きな象が描かれています。
この鼻、この目、足、どこをとっても好きです。
さて、柱頭彫刻はその数90ほどもあるんですが、私が大好きなものを選りすぐってご紹介します。
拡大
中央の変顔も愛嬌たっぷりですが、注目したいのは、その下の猫足っぽい足です。肉球がありそう。
拡大
顔をくっつけあって、へらへら笑ってます。怪しい。
胸を蛇にかまれる女性。三頭身。
拡大。
向かって左から「闘争」、「向かい合うライオン」、「貪欲、無秩序」。
葉模様。
マスク
この、なんとも言えない表情と花が好きです。
変顔と、臀部をくっつけあう動物。ハート型のたらこ唇も目が離せないし、怪しすぎる。
教会内には、多色装飾の跡があります。
柱のベースにも。
色鮮やかな教会だったんでしょうねえ。
12世紀のロマネスク建築が残るその構造もさることながら、柱頭や持ち送りの彫刻、フレスコ画、これら全てがこれほどまで残ったことは奇跡じゃないかと思います。
ノートル=ダム=ドゥ=ラソンプシオン教会教会(Eglise Notre Dame de l’Assomption) 、偉大なブルゴーニュ・ロマネスク芸術の殿堂です。
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