フノヤール(Fenollar)

2018年3月の旅行六日目。四番目に向かったのはサン・マルタン・ドゥ・フノヤール礼拝堂。フランス語で Chapelle Saint-Martin-de-Fenollar、カタルーニャ語だと Capella de Sant Martí de Fonollar と言うそうです。

ル・ブル(Le Boulou)からフノヤール(Fenollar)へは南西へ3km、車で7分の道のりです。

実は、この移動でカーナビのガーミン(Garmin)が役目を終えつつあることを実感しました。数年前に3万円くらいで買って、昔はとても役に立ってくれたんです。輝かしい栄光の時代、四年前の写真がこちら。

追加料金までかけてデータをアップデートして使っていましたが、スマホの方が便利になっちゃいました。

以前から、電話番号を入力しても、郵便番号と通りの名前を入力しても、認識してくれないことが時々ありました。田舎の小さな飲食店とか、教会とか。そういう時は目的地近くの目立つものの情報を Garmin に入力して、近くまで行ったら後は自分で探していました。

今回、スマホのグーグルマップで見たら移動は3kmだけ。でも Garmin ときたら、ぐるぐる変な所に案内するんです。再確認したら目的地は20km先とか言ってるし。。。

もう仕方ないのでスマホのグーグルマップのナビを使いました。すると、分かり易い上に、あっという間に着きました。スマホ、すごい。

さて、サン・マルタン・ドゥ・フノヤール礼拝堂です。隣に大きな駐車場がありますから、そこに停めて受付に行きました。受付は下の写真で言うと右下です。

ここでもpassが使えて割引してもらえます。そして、受付の女性にトイレはありますか?と尋ねると、受付の女性は「どうぞ。その間に鍵をあけておきますね」とのこと。広くて清潔なトイレでした、ありがたく使わせていただきました。

いよいよ chapel に行きます。高さの違うオレンジ色の屋根が chapel で、手前がapse、奥が nave です。

受付の女性が扉を開けておいてくれました。奥に bell tower が見えます。

中に入ると、思った以上に小さい空間だと感じました。

そして、私、気づいてしまったんです。入ってすぐ右、apseの手前にこんな表示があったの。

「PHOTOS NON AUTORISÉE MERCI」

写真撮影禁止なんだそうです。いつの間にそんなことになったんだか。残念。

この表示の近くに各国語の案内シートが置いてありました。同じ内容が書いてあるわけじゃなくて案内シートごとに扱っている内容が違います。フランス語、英語、ドイツ語、日本語など、色々ありました。

chapelの概要を書きます。

最も古い文書記録は844年7月25日だそうです。なんでも、シャルルマーニュ(カール大帝)の孫のシャルル2世(禿頭王のシャルル)がアルル・シュル・テクの聖マリア修道院などについての所有を宣言した中に、アルル・シュル・テクの聖マリア修道院に帰属する小さな修道院として記載されているとか。

9世紀〜11世紀頃に造られた chapel の中は馬蹄形のアーチによってapse と nave に分かれていて、apse は聖職者のための空間、nave は信者のための空間です。こうした空間の分け方は西ゴートの影響を受けていて、この地域の初期ロマネスク建築に見られるそうです。

案内シートにフロアプランがありました。かなり小さいchapelです。

さらに、この案内シートには別の図もありました。
フロアプラン内のAAの位置から西側を見た図です。

フロアプラン内のBBの位置から東側を見た図です。

東側の奥にあるapseは、naveよりも床が高く天井が低くなっています。

apseの狭い空間には左右、正面、天井にドバッ!と12世紀のロマネスク様式のフレスコ画が残っています。案内シートに載っていた図が、こちら。

① 受胎告知
② 降誕
③ 羊飼いへのお告げ
④ 東方三博士の礼拝
⑤ 東方三博士の帰還
⑥ 二十四人の長老
⑦ 栄光のキリスト
⑧ 聖ヨハネ
⑨ 聖ルカ
⑩ 聖マタイ
⑪ 聖マルコ
⑫ 聖母マリア

ドバッ!と描いてある12世紀のフレスコ画は、この chapel に来る前に見学した Les Cluses のフレスコ画に似ています。

私は、長老たちのつぶらな瞳が気に入りました!ものすごく楽しそうなんです。

近代に農家として使われたり、東側の壁にドアが作られたりして、多くのフレスコ画が失われました。apse だけでなく、nave の壁にも動物の体や脚が鮮明に残っている部分があります。12世紀には chapel 全体の壁がフレスコ画で覆われていたそうで。その頃、見たかったなあ。。。

でも、20世紀に歴史的モニュメントに指定されてからは大切に保存されています。これ以上、失われないと良いと思います。

最後にもう一度、楽しげな長老たちを見て、サン・マルタン・ドゥ・フノヤール礼拝堂を出発しました。

“フノヤール(Fenollar)” への2件の返信

  1. ワタシも5年前に訪問しました。
    ペルピニャンからル・ブルまでバス、ル・ブルのインフォメーションからタクシーを呼んでもらいました。ノーフォトは辛いですよね。そういう時は目に焼きつけるしかないですよね。
    建造物に関する詳しい記述、勉強になります。

    1. なるほど、タクシーも便利そうですね!
      私自身の理解のために、建造物に関してなるべく多くの資料を確かめています。現地で手に入れた情報を一番参考にしていますが、ウィキペディアのフランス語版やカタルーニャ語版とかのウェブ情報にも目を通します。正確な情報を、と努めていますがもし間違いがあったら。。。ご指摘、大歓迎です。

ニイガタノタナカ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です