ビロン(Biron)

2024年4月29日(月)、三番目に訪れたのはBiron、Église Saint-Eutropeです。

ここは、ファサードがいいです。教会の中にも、身廊と交差部にいきいきとした柱頭彫刻があります。

目次

1. Biron へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観 .
5. 内観 .

1. Biron へ

ビロン(Biron)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏シャラント=マリティーム県の村です。同県のあたりはサントンジュ(Saintonge)地方と呼ばれます。この村は、同地方の最大都市サント(Saintes)の約23km南東にあります。

この村は、前回にご紹介したアヴィ(Avy)から3km、次回にご紹介するエシュブリューヌ(Échebrune)まで2.5kmの至近距離にあります。

12世紀ごろ、このあたりの村々は、いっせいに教会を建て替えたのでしょう。

南西側外観

当然のように、ビロン(Biron)の教会もファサードに豊かな彫刻があります。

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

12世紀末に建てられたこの教会のファサードは、サントンジュ・ロマネスク様式の中でも特に装飾が豊かで、驚くほど新鮮な状態で私たちに伝わっている。

側壁は、宗教戦争中に、建物の周囲に銃眼を備えた通路を設けて要塞化するため、ロマネスク期に持ち送りがあった位置より高くされた。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

案内板による平面図です。東が上です。

案内板より

四つの柱間を持つ単身廊は、八角形の鐘楼を頂く交差部を通じて、放射状に広がる尖頭アーチを持つ正方形のクワイヤへとつながっています。

クワイヤから、南に面したリブ・ヴォールトの聖母マリア礼拝室(chapelle de la vierge)に行くことができる。

4. 外観

ファサードをみます。

切妻の下に11のアーチがあり、その下に持ち送りがあります。

西側外観

持ち送りの下には主扉口があり、主扉口の両側にはやや尖った盲アーチがあります。

ファサード

ファサード北側の彫刻の帯は、道具を持った男性を追う女性、大きな頭、木々の中で鹿を追いかけるケンタウロス、鳥たち四足獣たちや植物が描かれているようです。

ファサード北側

ファサード南側も鳥たち四足獣たちに植物が描かれています。さらに、逆さになった男性と四足獣たち、四足獣に挟まれている男性、幻想的な生き物、大きな顔、四足獣にまたがる男性が描かれています。

四足獣に挟まれている男性は、「獅子の穴の中のダニエル」(旧約聖書『ダニエル書』6章)かもしれません。

ファサード南側

彫刻は素晴らしく、生命力にあふれています。

5. 内観

教会の中に入ります。

西扉口にて東を向く

身廊と交差部にロマネスク彫刻が残っています。

交差部の柱頭彫刻をみます。

交差部北西側には、座る男性、立つ男性と生き物たち。

どんな意味があるのか、分かりません。

交差部北西側の柱頭

先に飾りがついた尻尾を持つ四足獣たちと、鳥たち。

交差部北西側の柱頭(別角度)

交差部南西側には、鳥たちと四足獣たち。

交差部南西側の柱頭

鳥たちがとても生き生きしています。

身廊には、ひとつ、不思議な柱頭彫刻があります。

身廊の柱頭

司教杖を持つ男性が立っていて、その周囲に恐ろしげな生き物たちがいます。

ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps『Saintonge romane』によると:「おそらく地元の信仰を表しているのであろう。司教が、自分の横を這うワニを手なずけているように見えるが、この動物は悪魔の表象のひとつである。」

悪徳に対する勝利を描いているのかもしれません。

Église Saint-Eutrope。ファサードがいいです。教会の中にも、身廊と交差部にいきいきとした柱頭彫刻があります。

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