2023年4月30日(日)、最初の訪問地は Yermo。Iglesia de Santa María です。
ここは、南側ファサード、後陣、内陣の彫刻が素晴らしいです。
日曜に、聖ミサのために10時頃に開きます。(その他の日にも開いているかもしれませんが、私はよく知りません。)
私はこの教会に2回行きました。4月30日と、その4日後の5月4日です。
最初に行った4月30日10時頃は雨が降っていました。晴れた日に外観をもう一度みたかったのと、この日は急いでいたので、5月4日15時頃に再訪しました。中を見学できた4月30日の訪問として書きますが、外観の写真の多くは5月4日に撮影したものです。
目次
Yermo へ .
概要 .
平面図 . .
南側外観(持ち送り).
南側外観(浮き彫りパネル) .
南側外観(南扉口の彫刻と碑文) .
南扉口(ティンパヌム) . .
内観(全体、勝利アーチの柱頭彫刻) . .
東側外観(後陣) .
Yermo へ
夫と私はAirbnbから南西に約38km、30分ほど運転して、小さな村に着きました。9:40頃のことです。
私は、教会の鍵を管理していると聞いた家に行き、鍵を開けてくださるようにお願いしてみました。上品な婦人は「私は、もう鍵を管理していませんが、もうすぐ聖ミサだから、教会は開きますよ」と教えてくれました。
概要
教会の外に案内板がありました。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
Iglesia de Santa María de Yermoは、1203年にPedro Quintanaによって、9世紀の旧修道院の跡地に建てられた。
教会の彫刻とColegiata de Santillana del Marの彫刻、特に回廊の彫刻の類似性を強調する必要がある。
小さく荘厳な現在の建物は、単一の身廊と半円形の後陣と内陣を持ち、明確なロマネスク様式である。鐘楼や聖具室など、17~18世紀に様々な増築が行われた。
この後も、案内板を引用するときは太字で書きます。
平面図
現地には平面図が見当たりませんでした。Románico Digital による平面図です。東が右です。
さっそく、見学です。
南側外観(持ち送り)
上にある持ち送りからみます。
持ち送りは、全部で22個あります。
1から3は、太陽を表すのかもしれません。ギザギザの、ノコギリの歯のような幾何学模様があります。
4はウサギを捕まえる鳥。
6は笛を吹く男性と、動物。動物は熊のようです。動物がよく見える角度の写真を載せます。
7は弓を構える男性。8は音楽家。
11は右手を顎に、左手を股間に置く男性。12は人を食う悪魔かなと思います。
15は股間を見せる女性。18は蛇に両胸を噛まれる女性と悪魔。
19は首に財布を持つ男性と悪魔。20は性交する男女。
私は、悪魔のユーモラスな表情が好きです。
南側外観(浮き彫りパネル)
持ち送りの下に、浮き彫りのパネルがふたつあります。
こちらの浮き彫りは、ふたつのアーチの下に、それぞれ女性がいます。別の教会にあったものがこちらに運ばれたのか、元々こちらの教会にあったものか、よくわかりません。浮き彫りの上に碑文があり、大きく「SANTA MARINA」と書いてあります。
こちらの浮き彫りは、アーチの下に幼子と女性がいます。Santillana del Mar でみた浮き彫りとよく似ています。
Santillana del Mar の浮き彫りについては、現地の案内掲示に「幼い聖母と聖アンナ」で11世紀のロマネスク様式と書いてありました。ここYermoの浮き彫りも同時期のものでしょう。
その場合、1203年(教会が再建された年)より、100年以上も前に作られたことになります。
私は、教会再建のとき「これ、良いから、目立つところに置いちゃおう」ってことだったのかな?などと想像します。
南側外観(南扉口の彫刻と碑文)
アーチの頂部が少し尖っている扉口です。
左右に彫刻があります。幾何学模様、人、天使、動物などが繊細に描かれています。
南扉口には、碑文があります。
ERA MCCXLI /
DE SANTA MARIA /
ESTA IGLESIA /
PETRO QUINTA /
NA ME FECIT /
PATER NOSTE /
R POR SU ALMA
これを解読して「1203年にPedro Quintanaによって建てられた」と考えられています。
さて、10時になり、教区司祭が来て、教会を開けました。
私が「おはようございます。教会の写真を撮って良いですか?」と尋ねると、司祭は温かい笑顔で快く許してくれました。
教会の中に入ります。
南扉口(ティンパヌム)
面白いことに、南扉口のティンパヌムは、外側と内側の両面に、よく似た浮き彫りがあります。
外側では、騎士は、右手に持った剣を構えて、ドラゴンと戦っているようです。
内側では、騎士は、右手に持った剣を突き立てて、怪物を仕留めたようです。
この扉口の装飾は、善(兜、盾、槍、短剣を身につけた勇敢なキリスト教徒の騎士の姿で、聖ゲオルギウスと同一視する人もいる)と悪(ライオンの頭と脚、鷲の翼、蛇の尾を持つ獰猛で野蛮なドラゴン)の間で繰り返される戦いを表現した壮麗な浮き彫りによって強調されている。この対決の連続性は、内部、裏面に見ることができ、そこでは、勇敢な騎士が致命傷を与えることによって怪物を倒している。
善の勝利の図だ、というわけですな。
内観(全体、勝利アーチの柱頭彫刻)
東側をみます。
勝利アーチに柱頭彫刻があります。
中央に祝福するイエス、その周りに四福音書記者の象徴が描かれています。
こちらは、子を抱く女性の周りに男性たちがいます。
三博士礼拝かも。
東側外観(後陣)
教会を出て、最後に東側をみます。
後陣は、持ち送りと柱頭に注目です。
持ち送りを二つだけご紹介。
ハープを奏でる動物と、性交する男女だと思います。
柱頭彫刻は、向かって左に5人の人物、向かって右に植物が描かれています。
向かって左の柱頭彫刻は、左端に、抱き合って頬を寄せ合っている2人がいます。
大きな目と手が印象的です。
Iglesia de Santa María。南側ファサード、後陣、内陣の彫刻が素晴らしいです。
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