2022年8月5日(金)の最後、四番目に訪れたのは Chantelle 。Abbaye Saint-Vincent です。
ここは、現役の修道院です。尼僧たちのしとやかな聖歌のしらべが響きます。
見学者や巡礼者は、礼拝に参加することができますが、立ち入ることができるのは身廊だけです。でも、身廊だけでも、ぜひ見たい柱頭彫刻があります。
Chantelle へ
私はベール(Bert)から西に49分ほど車を運転し、大きな町につきました。17時頃のことです。町外れの修道院の前で車を停め、歩いて向かいます。
外観をみます。
Abbaye Saint-Vincent の外観:全体
ファサードも鐘楼も新しいです。
南側
南翼廊
教会の中に入ります。
Abbaye Saint-Vincentの時程表
教会の中に尼僧の様子の紹介と時程表が掲示してありました。
これによると、見学者や巡礼者が礼拝に参加できる(身廊に入ることができる)のは、日曜はLaudes (6:30), Eucharistie (9:00), Heure médiane (12:00), Vêpres (17:15) 、その他の日はLaudes (6:20), Eucharistie (8:15), Heure médiane (12:00), Vêpres (17:30) のようです。
Abbaye Saint-Vincentの概要
教会の中に案内掲示がありました。一部を抜粋して太字で和訳します。
修道院は、ブブル(Bouble)川の深い森の渓谷を見下ろす岩山の上に建てられており、その恵まれた土地に稀に見る調和を与えている。
修道院の起源は、937年に遡る。
この年の贈与証書には、所有者夫妻がエヴォー(Évaux)の町の修道院に、修道院を設立するためにこの地を提供することが記されている。
なお、その証書には、当時すでに殉教者サン=ヴァンサンに捧げられた教会があったことが記されている。
また、シドワーヌ・アポリネール(Sidoine Apollinaire)が書いた文章には、5世紀からシャンテルにキリスト教徒が住んでいたことが記されている。これはおそらくブルボンヌで最も古い時期である。
教会は、12世紀にロマネスク様式で再建された。
17世紀初頭、衰退した修道院はイエズス会の支配下に置かれ、すでに一部が解体されていた城はルイ13世の命により破壊された。フランス革命の際、修道士は追放され、建物は1794年に国有財産として売却され、貯蔵庫として使用された。
1853年10月、プラディーヌ(Pradines)修道院のベネディクト派修道女の小集団が勇気を持って修復に取り組み、1891年7月に修道院(Abbaye)に格上げされたのである。
現在、約15人のベネディクト会の修道女がこの場所で祈りと仕事の生活を送っている。
教会は、オーヴェルニュのロマネスク様式と多くの点で結びついた建物である。
平均的な大きさのこの建物は、東向きに建てられており、三つの柱間からなる身廊と、それを挟む側廊、突き出た交差部、そしてクワイヤから構成されている。
内部の造形美と優れた音響効果により、瞑想や平和、祈りに適している。
クワイヤは、放射状に広がる三つの祭室につながる周歩廊に囲まれ、美しい祝祭の空間であると同時に、静寂と内面への誘いとなる。回廊は15世紀に建てられた。
フロアプラン
教会の外の案内板にフロアプランがありました。東が上です。
Abbaye Saint-Vincent の内観:全体
教会の中の、全体の様子。
身廊には、礼拝を待つ訪問者や巡礼者が着席しています。(その奥は、聖職者だけが許される領域。)
北側廊は立ち入りできません。
南側廊も、訪問者や巡礼者が立ち入りを許されるのは西側の一部だけ。
向こうの、周歩廊や翼廊のあたりに、良い柱頭があるんだが、なあ。
もしかすると、文化遺産の日(journées du patrimoine)には見せてもらえるかもしれないです。2022年は9月17日と18日でしたから、私の旅程では再訪が難しかったんですが。
Abbaye Saint-Vincent の内観:柱頭彫刻
撮影できたものについて書きます。
現地には、こんな案内が掲示してありました。
チュニックを着た男が立っている。ウエストを幅広のベルトで締め、そこから二つの鍵が吊り下げられている。右手には教会の設計図か修道院の設立趣意書と思われる巻物を持っている。左手にはハンマーあるいは斧のようなものを持っている。この人物は教会の建設者であろう。
その隣をみます。
別角度から。
チュニックを着た男が立っていて、両腕をあげています。
さらに、その隣をみます。
別角度から。
現地には、こんな案内が掲示してありました。
半身裸の男。両腕をあげ、頭上の二つの鐘をあやつる綱を持っている。おそらく、教会の竣工の発表?
ファサード裏、南側廊の西端を見上げると、キレがありつつ繊細な植物装飾があります。
上の写真の、一番左の柱頭です。別角度から。
北側廊の柱頭です。植物の中にたたずむ人。男性か女性かも、わかりません。
何やら物憂げな表情で、気になります。
Abbaye Saint-Vincent。柱頭彫刻に魅せられます。
ホテルに3泊
この日の見学をすべて終えた私は、シャンテル(Chantelle)の町の中心にある Maison Porte-Bonheur というホテルにチェックインしました。このあたりでは、Airbnbもアパートメントタイプのホテルも見つけられなかったんです。
洗濯機と衣類乾燥機があると書いてあったのですが、結局、使わず。
プールに入り放題なのが売りらしいのですが、私は、使わず。
シャワー、トイレ、寝室という間取りの部屋で、無料の駐車場つき。素泊まり3泊で38,808円でした。
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