2019年12月の旅行六日目、二番目に目指すはBardone。ベルチェト(Berceto)から北東に約24km、車で約31分の道のりです。Bardone での目的は Pieve di Santa Maria Assunta 。
国道62号(SS62)を外れて、東にのびる田舎道(Str. Terenzo – Bardone)を進むと、小さな集落と鐘楼が見えてきます。
Bardoneです。
中世にこの地を横切っていたローマへの道は、その後に西へ移動し、村は孤立してしまいました。今は、住民は約30人で、家は10数軒だけの、小さな村です。
こんな小さな村に、驚くような古い教会の跡と、ロマネスク彫刻が残されています。
まさかの大遅刻
村に着いた私は教会の近くに車を停め、教会まで歩きました。
目指す教会 Pieve di Santa Maria Assunta は通常は閉まっているので、私は予め役場に頼んで、内部見学を約束してありました。
私が教会に着いたとき、時刻は10:20でした。
約束の10分前に着いた(と思っていた)私は、これから中を見られるぞとワクワクして、たくさん写真撮らなきゃなあ、なんて、のんきに考えながら、予定表に目を落としたんです。
びっくりしました。
いったい私は何を勘違いしたのでしょう。約束の時刻は10:30と思っていたのに、記録を見直すと、きっかり10:00に約束していたのです。
うわあ!20分も大遅刻!
バクバクと脈うつ心臓を押さえながら、役場に電話しました。電話に出てくれた女性がとても親切で「鍵を持っている人にすぐに連絡するので、そのまま教会の前で待っていてください」とのことでした。
涙が出るほどありがたく感じました。
このあと鍵を持っている人が来てくれたのですが、大急ぎで見学しなければなりませんでした(←遅刻した私が完全に悪い)。それについては、また、次回に書きます。
教会の概要
外部を見学しながら、鍵を持っている人が来るのを待つことにしました。
まずは、教会の概要を。
教会の門のところに、案内が掲示してありました。
案内掲示によると、
バルドーネの教会は、ローマ時代にパルマとルーニ(Luni)を結んでいた古道に建っています。 ロンゴバルド時代にはポー渓谷とトスカーナ地方を結ぶ主要な道路となり、フランチジェーナ街道(Via Francigena)と呼ばれていた中世には、ローマへの主要な巡礼路のひとつとなりました。
バルドーネの教会は、今日では建築的な観点から解釈することが難しい建物となっています。様々な歴史的段階の痕跡が組み込まれた建物は、1640年から1670年にかけて、反宗教改革の典礼上の必要性に適合させるために大規模な改築が行われ、両側に四つの礼拝堂を持つ現在の形になりました。
最近の考古学的な発掘調査により、バルドーネの教会の起源が非常に古いことが判明しました。
17世紀の改築の基礎となった13世紀の教会は、現在の教会よりも小さく、ポルティコを前にした三つの後陣を持つものでしたが、9世紀に遡ると思われる、四角い石でできた大きな後陣を持つ以前の教会を元にして建てられました。
9世紀に作られた後陣は、6世紀に作られた古代教会のものと一致しています。おそらく、ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会のように、中央にプランがあり、東側に後陣があったのでしょう。
教会の初期のレイアウトがパルマ・アペニン山脈におけるキリスト教普及の最初の段階を思い起こさせるならば、ロマネスク様式の彫刻は、フランチジェーナ街道が最も華やかだった時期につながります。
教会の中には、設置場所が不明な彫刻が保管されています。そのうちのいくつか(いずれも13世紀前半の20年間に作られたもの)は、フォルノヴォの教区教会にあったもので、これらは16世紀末に解体された説教壇の一部でした。
外観
外観を眺めます。
17世紀の大改築のため、ロマネスク様式の遺構は期待できません。
南扉口はロマネスク様式を意識したつくりになっています。
扉の上の半円形部分の彫刻は素朴な造形の聖母子像です。
聖母マリアの脚は、これで良いのかしら?ぐにゃりと曲がって見えます。いや、それより注目はイエスの足です。やわらかそうで愛らしくて、赤ちゃんの足をよく知っている人が彫ったように思います。
東側、北側の外観は特に見るべきところはないです。
ただ、北側の眺望が美しかったです。
私は写真を撮り忘れたのですが、上の写真のゴミ箱がある場所の近くに、巡礼者を描いた浮き彫りがあります。いい感じのやつです。次回はきっと写真を撮ろう。
西側に行ってみます。
中央の窓の上に彫刻があります。
階段状のアーチの下に、動物たちや狩りをする人たちなどが、生き生きと描かれています。
狩人は3人で、1人は槍を持って馬に乗り、もう1人は弓をひき、3人目は角笛を鳴らしています。その下の、三葉形アーチの内側で花が縁取っている様子など、ゴシック様式っぽいです。
外観を眺め終わった頃、鍵を持っている人が来てくれました。
次回、教会の中を訪問します。
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