Girona、続きです。見れば見るほど楽しい天地創造の刺繍布。実物は想像していた以上に色彩が豊かで、11世紀〜12世紀の布とは思えない美しさ。
ガラス板のつなぎ目のせいで見づらいです。
私は展示場所の掲示にも、ミュージアムショップで購入したガイドブックにも、十分な解説は無いと思いました。そして、この本を読んでおいて良かった!と感じました。
金沢百枝 『ロマネスクの宇宙―ジローナの『天地創造の刺繍布』を読む』
こちらのページでご紹介しましたが、予備知識があると「ふむふむ、これがそうなの」などと感慨深いものがありました。この本は分かり易くて興味深い展開を楽しみながら読み進むのが「最高な一冊」ですので、ぜひ、ご一読をお勧めします。
なんてったって、実物が問答無用にかわいいから。一体なんなのか、知りたくなるってもんです。
「最高な一冊」に載っていた模式図です。今後、太字は引用部分です。
部分を拡大して見ます。まず、向かって左下から時計回りにいきます。
2月。下半分がありません。
日曜日。
3月。蛇みたいのやカエルみたいのをつかんで、のしのし。
4月。この人の表情、何とも味があって好きです。
5月。力を増す陽光を上目遣いでみてます。
6月。あらよっと。
向かって左上から右に、ギホン(GEON)、サムソン、夏(ESTAS)。GEON と ESTAS は何とか見えますが、SAMSON は不鮮明です。言われて初めて「へー」と思いました。
夏(ESTAS)、秋(AVTVNVS)、年(ANNVS)、冬。
冬、春、ヘラクレス?・・・そして右上の端は僅かな痕跡だけです。このへんからは「最高の一冊」がなければわかりませんでした。
右端はかなり失われています。7月?8月?
9月?
10月?ぶどうっぽいです。
右下は、月曜日?
下部には、聖十字架発見のストーリーが描かれているようです。左下には「ヘレナによるユダの尋問」
その右に「エルサレムとユダヤ人たち」
さらに右に「祈るユダと芳香」
右端には「十字架を掘るユダ」と「十字架の検証」
ここからは、実物を見て私が感じたことを書きます。
周囲を見てみると、素人目にも失われた部分があると想像できます。例えば、左側で2月は確認できますが1月が見あたりません。2月の下にあったのかも。そして右側は恐らく2月に対応する位置に11月があったことが予想できます。12月がその下にあったのかも知れません。
さらに、左上端のギホンは『創世記』2章13節に登場する第二の川で、川は全部で四つあるはずです。
2:10 エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた
2:11 第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。
2:12 その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。
2:13 第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。
2:14 第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川はユーフラテスであった。
私が聖書を参照する際は一般財団法人日本聖書協会の新共同訳を使っています。
左上端に第二の川のギホンがあるなら、右上端にもう一つあって下の両端に残り二つあったっぽい、と考えるのが自然です。
もとの刺繍布はどんな形で、どんな図が描かれていたのか、考えるとわくわくします。
次回、中央の円形部分を見ます。
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