2024年9月15日(日)の最後、三番目に訪れたのはZamora、サン・クラウディオ・デ・オリバレス教会(Iglesia de San Claudio de Olivares)です。
ここは、内陣(内観)の柱頭彫刻が素晴らしいです。
教会が開く日程について、2022年版が教会に掲示されていました。
1月7日から4月10日:金曜と土曜10:00〜14:00と17:00〜19:00、日曜10:00〜14:00
4月11日から4月20日:火曜から土曜10:00〜14:00と17:00〜20:00、日曜10:00〜14:00
4月21日から6月19日:金曜と土曜10:00〜14:00と17:00〜20:00、日曜10:00〜14:00
6月20日から9月25日:火曜から土曜10:00〜14:00と17:00〜20:00、日曜10:00〜14:00
9月26日から10月9日:金曜と土曜10:00〜14:00と17:00〜20:00、日曜10:00〜14:00
10月10日から12月18日:金曜と土曜10:00〜14:00と17:00〜19:00、日曜10:00〜14:00
Zamora では、6か所に行きました。以下のように6回に分けて書きます。
<1> Iglesia de San Claudio de Olivares
<2> Iglesia de Santo Tomé (Museo Diocesano)
<3> Iglesia de Santa María la Nueva
<4> Iglesia de Santa María Magdalena
<5> Iglesia de San Cipriano
<6> Iglesia de Santiago el Viejo o de los Caballeros
目次
1. Zamora .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(後陣) .
5. 外観(北扉口) .
6. 内観 .
1. Zamora
サモラ(Zamora)は、カスティーリャ・イ・レオン州サモラ県の県都で、首都マドリードの約210km北西にあります。
教会は、ドゥエロ(Duero)川の北岸、町の中心から西に外れたところにあります。

2. 概要
教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
トラスカスティージョ(Trascastillo)の麓、オリバレス(Olivares)の郊外に位置し、かつて皮なめし工場や陶器工房が立ち並び、定期的に川の氾濫に見舞われていたこの地には、単身廊式の魅力的なロマネスク様式の教区教会が残されている。聖域には直線的な内陣と半円形の後陣があり、内陣は盲アーケードで装飾されている。
この教会に関する最初の記録は1176年にさかのぼるが、その興味深い具象的な柱頭(聖杯から飲むグリフォン、ケンタウロス、人魚、ハルピュイア、ネコ科動物、そして獅子を裂くサムソンなど)は、12世紀末に活動していたパレンシア北部とカンタブリア南部の工房と関連があるかもしれない。関連については、アストゥリアス地方テベルガ(Teverga)のサンタ・マリア・デ・ビジャヌエバ(Santa María de Villanueva)教会にも見られる。
北扉口には、摩滅しているが、典礼暦が描かれている。これは、7月の収穫や8月の脱穀といった日常的な場面が描かれていることから、ロマネスク後期に作られた、スペイン風の貴重な作品である。アーチの頂点には復活祭の羊が、石積みに1259年の銘が刻まれている。また、農作業を象った持ち送りが後陣の軒下にある。
この後は、Románico Digital を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
Románico Digital による平面図です。東が右です。

4. 外観(後陣)
東に行きます。

内陣と後陣の軒下に34の持ち送りがあります。

持ち送りは、幾何学模様や様式化された植物のほか、農作業の様子が彫られているようです。

5. 外観(北扉口)
北扉口をみます。

柱は1980年代半ばの修復によるものである。柱頭は著しく摩滅しており、右側の外側に、枝葉の間に向かい合う2頭の四足獣が彫られていたことだけが推測できる。残りの柱頭は植物で、左側中央にはアカンサスの列があった。
内側のアーキヴォルトは、図像的に最も興味深い。14個の迫石には、12ヶ月の農作業が興味深い農業暦として刻まれており、両端の2個には、例えばサンティアゴ・デ・カリオン・デ・ロス・コンデス(Santiago de Carrión de los Condes)の扉口のように、ネコ科の動物が表現されている。ひどく傷んだ浮き彫りは、右から左へと読む必要があり、1月は、テーブルの前に座って豪華な衣装をまとった2人の人物が食事をしている様子で表現されている。2月は、火で暖を取る2人の農民が、1人は火の前に座り、もう1人は慣習通り上着を脱いでいる様子で表現されている。3月を表すと思われる3番目の表現は解読が難しいが、水差しを持った男と、腰をかがめて農民の服を着て、鍬や鋤を持った別の男と思われる。4月の図はより明確で、種を蒔く人と、2本の枝を持ち肩に鳥を乗せた男(いわゆる「春の神」)が描かれている。

続いて5月は、狩りに出かける騎士が、馬に猟犬を乗せ、鷹を連れて行く姿で象徴されている。6月と7月に対応する迫石は、非常に風化が進んでおり、農作業を表しているとはほとんど推測できない。6月の迫石では、ひざまずいた人物が、何であるかはわからない物(枝、果実、蜂の巣)を持ち上げている。一方、その仲間は、腰をかがめた姿勢から、刈り取りや剪定の動作をしているように見える。7月の迫石には、地面にひざまずいて背中に俵(小麦の束?)を背負った人物と、その前に、左手を上げてコップや杯を持っている(喉の渇き)人物が刻まれている。8月の(喉の渇き)には、動物の後ろに立つ人物が、脱穀の作業をしているように見える。9月は、例年通り、葡萄の収穫の月であり、ここでは、絡み合った葡萄の樹の両側に、しゃがみこんだ2人の人物が座っている姿で表現されている。続いて、10月を象徴するワインの移し替えが、2人の小さな人物、1人は大きな樽の上に、もう1人はその前に立っている姿で表現されている。11月は、伝統的に豚の図柄で表現される。この場合は、2人の豚飼いが2頭の動物の間にいる。12月は、木を運ぶ様子で表現される。木は、ラバの背中に重い束で積まれ、1人の人物が同行している。農業に関連する作業によって月を象徴するモチーフの順序は、当然のことながら、各地域の緯度や気候によって異なる。この場合、テーマに関して最も類似点が多いのは、サン・マルティン・デ・サラマンカ(San Martín de Salamanca)、ベレニャ・デ・ソルベ(Beleña de Sorbe)、エル・フラゴ(El Frago )、サン・イシドロ・デ・レオン(San Isidoro de León)の農業暦である。
6. 内観(北壁)
教会の中に入ります。

内陣の柱頭彫刻が素晴らしいです。
内陣の北側の柱頭
まず、内陣の北側をみます。

勝利アーチ北側の柱頭は、向かい合い同じ杯から飲むグリフォンが彫られています。

樽型ヴォールトを支える石には、アトラスが彫られています。
飛び出すような大きな目と下膨れの顔が特徴的です。

盲アーケードの柱頭には、様式化された植物、幻想的な生き物や顔が彫られています。
両側には、様式化された植物と顔。
中央の二重柱頭には、ハルピュイアや動物たちが彫られています。

内陣の南側の柱頭
次に、内陣の南側をみます。

勝利アーチ南側の柱頭には、「獅子を裂くサムソン」(『士師記』14章)が彫られています。

獅子の前後には、翼を広げた鷲が彫られています。

樽型ヴォールトを支える石には、アトラスが彫られています。

盲アーケードの柱頭には、様式化された植物、幻想的な生き物や顔が彫られています。
両端には、様式化された植物。葉に包まれた丸い果実のような形もあります。
中央の二重柱頭には、幻想的な生き物たちが彫られています。
彫りに、立体感があります。

正面では、2体のケンタウロスが戦っているようです。

西面では、人魚が髪をすきながら体をくねらせています。

建物全体の評価に関しては、コメス・モレノ(Cómez-Moreno)が、建築的に、内陣と後陣がアビラ(Ávila)のサン・アンドレス教会(San Andrés)やアストゥリアスの建築物と類似していることを指摘している。グラナダの歴史家は、内陣と後陣の彫刻にレオン地方の影響を見出し、「フロミスタ(Frómista)やサンティジャーナ(Santillana)と類似点がある」と述べた。この関連性は、前述のように、これらの彫刻とアストゥリアスのサンタ・マリア・デ・ビジャヌエバ(Santa María de Villanueva)の彫刻との驚くべき類似性によってさらに強められている。こうしたことから、サン・クラウディオ・デ・オリバレス(San Claudio de Olivares)の最初の改修は12世紀半ば頃、身廊の改修はそれより後の、12世紀の最後の20年間に行われたものと思われる。
サン・クラウディオ・デ・オリバレス教会(Iglesia de San Claudio de Olivares)。内陣(内観)の柱頭彫刻が素晴らしいです。
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