ソリタ・デル・パラモ(Zorita del Páramo)

2024年9月8日(日)、三番目に訪れたのはZorita del Páramo、サン・ロレンソ教会(Iglesia de San Lorenzo)です。

ここは、外観では持ち送り、南扉口の上に残された使徒像と西扉口、内観では洗礼盤、交差部の柱頭と聖母子像や内陣の盲アーケードが興味深いです。

2024年7月12日から9月8日、教会は火曜から日曜の11:00〜13:30と17:00〜19:00に開いていました。有料(€1)でした。

目次

1. Zorita del Páramo へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(東側) .
5. 外観(南側) .
6. 外観(西側) .
7. 内観 .

1. Zorita del Páramo へ

ソリタ・デル・パラモ(Zorita del Páramo)は、カスティーリャ・イ・レオン州パレンシア県にある村で、県都パレンシアの約67km北にあります。

教会は、村の中心部、やや北東に位置しています。

周囲に建物がないので、教会の建物全体を撮影しやすいです。

北西側外観

2. 概要

Románico Digital による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

ソリタ・デル・パラモ(Zorita del Páramo)は、11世紀から有力なララ(Lara)家が支配していた領地で、その支配は13世紀の初めまで続いた。

サン・ロレンソ教会(Iglesia de San Lorenzo)の建物は、レオポルド・トーレス・バルバス(Leopoldo Torres Balbás)の先駆的な研究により、20世紀初頭からパレンシアで研究されてきた数少ない建物のひとつである。ロマネスク様式の堅固な建物であるが、様々な建築段階を分析した結果、その独特の外観を特徴づける近代的な増築が明らかになった。この建物は、レビージャ・デ・サントゥジャン(Revilla de Santullánと同様、近隣のサン・アンドレス・デ・アロヨ(San Andrés de Arroyo)修道院やサンタ・エウフェミア・デ・コスエロス(Santa Eufemia de Cozuelos)修道院との明確なつながりがあるため、州北部のロマネスク建築を理解する上で欠かせない遺跡である。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

Románico Digital による平面図です。東が右です。

Románico Digital より

西側の四角い塔と、ポルティコに面した大きな半円アーチの南側の最上部の装飾は、17世紀のものである(ナヴァロは1642年としている)。

最近の修復工事で、クワイヤの下にあった聖具室が解体され、ロマネスク様式の螺旋階段を通って元の塔や鐘楼に行けることが明らかになった。

南翼廊とポルティコとの間には、リブ・ヴォールトで覆われた礼拝室が建てられており、これは南扉口と同じ時代、16世紀初頭頃のものである。

これらの改築は、12世紀の最後の20年頃に着工され、13世紀に入ってから完成したロマネスク様式の教会に、実質的な変更を加えるものではなかった。後陣と交差部が身廊に対して中心からずれていることは、中世の間に二つの異なる建設段階が存在したことを裏付けている。

4. 外観(東側)

東に行きます。この教会の最も古い部分です。

南東側外観

外壁の一連の持ち送りは、12世紀後半の最も注目すべき彫刻の傾向を際立たせている。

持ち送りは、複数の工房が手がけたようで、特徴の異なる彫刻が施されています。

南翼廊の持ち送りには、アギラール・デ・カンポーのサンタ・マリア・ラ・レアル修道院(Monasterio de Santa Maria la Real)の作品を思い出すような彫刻があります。

持ち送り
持ち送り
持ち送り

また、後陣中央の窓の柱頭にも、アギラール・デ・カンポーのサンタ・マリア・ラ・レアル修道院(Monasterio de Santa Maria la Real)の作品を思い出すような彫刻があります。

後陣中央窓

5. 外観(南側)

南に行きます。

南側外観

出入口は南扉口である。プラテレスク期のもので、扉口全体は1833年に粗雑に塗り直された。

この扉口は、サンティアゴ・デ・カリオン(Santiago de Carrión)やモアルベス・デ・オヘダ(Moarves de Ojeda)に保存されているものと同じような、使徒を描いた帯状彫刻を上部に持つロマネスク様式のものに取って代わった。

使徒像は、ルネサンス様式のニッチに再利用され、まだ残っている。

使徒像(東側)

枠、台座、天蓋、王冠はプラテレスク様式だが、使徒を区切るロマネスク様式の柱が保存されている。ロマネスク彫刻は、カリオン(Carrión)の輝きとはかけ離れており、マレス美術館(Museo Marès)に保存されているエスピノサ・デ・ビジャゴンザロ(Espinosa de Villagonzalo)の二人の使徒を彷彿とさせる。

使徒像(西側)

6. 外観(西側)

西に行きます。

南西側外観

もうひとつの扉口が、西側にあります。

13世紀の最初の数十年間と年代を特定できるような、サン・アンドレス・デ・アロヨ(San Andrés de Arroyo)修道院の類型である。非常に質の高いもので、七つのアーキヴォルトとひさし(guardapolvo)で構成されている。アーキヴォルトを支える柱頭のうち、右側の二つは向かい合うグリフィンと向かい合うハルピュイアであり、レビージャ・デ・サントゥジャン(Revilla de Santullán)の扉口に匹敵する。

西扉口

7. 内観

教会の中に入ります。

身廊にて東を向く

洗礼盤は、北側の四角形の窪みに設置され、低い天井で覆われています。

後期ロマネスク様式で、直径130cm、高さ92cm。イスラム風の繊細な装飾が施されている。

洗礼盤

交差部左(北)側の柱頭は、騎士とグリフォンの戦いが彫られています。

戦士は槍、兜、鎖帷子、盾で武装しています。

交差部左(北)側の柱頭

交差部右(南)側の柱頭は、「獅子の穴の中のダニエル」(旧約聖書『ダニエル書』6章)が彫られています。

交差部右(南)側の柱頭


サン・ロレンソ教会で最も興味深い彫刻的要素のひとつは、内陣の南北の壁を占める、二つの三つ葉アーチからなる盲アーケードである。

内陣北壁

この配置は、バジェスピノソ・デ・アギラル(Vallespinoso de Aguilar)、ラ・アスンシオン・デ・ペラサンカス(La Asunción de Perazancas)、ビジャベルムド(Villabermudo)、ビジャヌエバ・デル・リオ(Villanueva del Río)、サンタ・マリア・デ・ピアスカ(Santa María de Piasca)の三葉の盲アーケードと明らかに関連している。

内陣南壁

交差部東壁の北側に、聖母子像があります。

これは13世紀初頭に彫られたものである。マントのひだは、この作品を外側の使徒像と比較することを可能にしている。

身廊にて北東を向く

サン・ロレンソ教会(Iglesia de San Lorenzo)。外観では持ち送り、南扉口の上に残された使徒像と西扉口、内観では洗礼盤、交差部の柱頭と聖母子像と内陣の盲アーケードが興味深いです。

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