カリオン・デ・ロス・コンデス(Carrión de los Condes)<2>

2024年9月6日(金)、五番目に訪れたのはCarrión de los Condes、サンティアゴ教会(Iglesia de Santiago)です。

ここは、ファサードが素晴らしいです。イベリア半島におけるロマネスク彫刻の傑作のひとつです。

私は16:00頃に行きましたので教会は閉まっていました。私は教会に入りませんでした。
2024年、教会は以下の日程で開いていました。有料(€3)でした。

4月1日から9月30日:火曜から土曜の10:30~14:00と16:45~20:30、日曜の10:30~14:00
10月1日から3月31日:木曜から土曜の10:30~14:00と15:30~18:30、日曜の10:30~14:00

Carrión de los Condes では、3か所に行きました。以下のように3回に分けて書きます。
<1> Iglesia de Santa María del Camino
<2> Iglesia de Santiago
<3> Monasterio de San Zoilo

目次

1. Carrión de los Condes へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. ファサード .

1. Carrión de los Condes へ

カリオン・デ・ロス・コンデス(Carrión de los Condes)は、カスティーリャ・イ・レオン州パレンシア県にある町で、県都パレンシアの約35km北にあります。

サンティアゴ教会(Iglesia de Santiago)は、サンティアゴに向かう巡礼者が今も通る大通り沿いにあり、サンタ・マリア・デル・カミーノ教会(Iglesia de Santa María del Camino)とサン・ソイロ修道院(Monasterio de San Zoilo)を結んでいます。

南西側外観

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

12世紀末(1180年から1190年)に建設された。もともと3つの身廊があったが、15世紀に崩壊した。19世紀初頭には、スペインとフランスが戦った独立戦争の際に火災で焼失した。
1849年に再建され、その際に現在見られるレンガ造りの塔が追加された。

この建物で最も興味深く、最も保存状態の良い部分は、ロマネスク様式のファサードである。そこには、テトラモルフと十二使徒(両端に6人ずつ)に囲まれた、パンクラトールの見事な像が見られる。アーキヴォルトには、鍛冶屋、音楽家、戦士、貨幣を鋳造する人々、さらには曲芸師まで、中世の様々な人物や職業が表現されており、これも非常に興味深い。

この後は、Románico Digital を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

Románico Digital による平面図です。東が右です。

Románico Digital より

現在の建物は複雑な構造である。12世紀前半のロマネスク様式の身廊の残骸が見られ、それは後の後期ゴシック様式の建築に再利用された。この身廊は三つの半円形の後陣、そして南小後陣に隣接する現代的な長方形の聖具室で構成されている。元の平面図は三身廊と交差部があったと思われるが、現在は、いくつかの祭室がバットレスの間に配置された、大きな単一の身廊となっている。

4. ファサード

ファサードをみます。

西側外観

ファサードは、イベリア半島におけるロマネスク彫刻の傑作のひとつである。古くから知られ、高く評価されており、中世スペイン美術の歴史において欠かせないランドマークとなっている。

上部の帯状彫刻の様式を理解するには、ロアレ城(castillo de Loarre)、レイレ(Leyre)、ウンカスティージョ(Uncastillo)の教会の扉口を参考にすると良い。しかし、サンタ・マリア・デル・カミーノ教会(Iglesia de Santa María del Camino)が近くにあり、そこにも帯状彫刻と放射状のアーキヴォルトが見られることから、より可能性が高いのは、カリオン(Carrión)の教会が着想の源ということである。このファサードは、君主制の強化と、サンティアゴ巡礼路の発展に傾倒していた当時の考え方を凝縮している。

上部の帯状彫刻の中央には、見事な彫りで、パントクラトルとテトラモルフ(人間の体と動物の頭を持つ4人の福音書記者)が描かれています。

そして、パントクラトルとテトラモルフの両側には、十二使徒が彫られています。

パントクラトルとテトラモルフ

西扉口のアーキヴォルトには24の迫石があり、22人の人物たちと2頭のライオンが彫られています。

西扉口(部分)

22人の人物たちは、いろいろなことをしているようです。

こちらは、鋳造工が様々な作業をしている様子だと思います。

西扉口(部分)

他には、貨幣を鋳造する人、布を商う人、鍛冶屋、吟遊詩人、戦う戦士、書く人、裁判官などが彫られています。

西扉口(部分)

細部に至るまで精巧に描かれています。

西扉口(部分)

貪欲、色欲、暴力といった行為を戒めているのかもしれません。

西扉口(部分)

アーキヴォルトを支えている柱頭には、人物たちや動物たちが彫られています。

西扉口(部分)

どんな意味があるのかについては、さまざまな説が論じられています。

西扉口(部分)

サンティアゴ教会(Iglesia de Santiago)。ファサードが素晴らしいです。イベリア半島におけるロマネスク彫刻の傑作のひとつです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です