ランガスト(Langast)

2025年5月5日(月)、最初に訪れたのはLangast、Église Saint-Gal de Langastです。

ここは、プレ・ロマネスクのフレスコ画が素晴らしいです。

目次

1. Langast .
2. 概要 .
3. 内観(身廊上部の石積み) .
4. 内観(北側第1アーチ) .
5. 内観(北側第3アーチ) .
6. 内観(南側第3アーチ) .
7. 内観(南側第2アーチ) .

1. Langast

ランガスト(Langast)は、ブルターニュ地域圏コート=ダルモール県にある集落で、県都サン=ブリユーの約25km南にあります。

教会は、集落の中心にあります。

外観では、この教会が長い歴史を持っているとは、わかりません。

2. 概要

教会の中に案内掲示と訪問案内のファイルがありました。案内掲示による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

起源
8世紀:カロリング朝時代にプレ・ロマネスク様式で建てられた教会である。しかし長い間、1508年のステンドグラスと同時代の16世紀に遡る教会と見なされていた。

主な改修
14世紀:鐘楼の建設。
15世紀:クワイヤの改築。半円形の後陣が平らな後陣に変えられた。
16世紀:側廊の外壁が引き上げられ、開口部が設けられた。
1982年から1995年:最後の修復。教会は12年間閉鎖された。フランス建築遺産保護機構(Bâtiments de France)は、この教会を歴史的建造物に指定し、約900万フランの費用をかけて大規模な修復工事を行った。
柱は補強され、屋根と骨組みは新しく作り直され、クワイヤの床も新しくされた。15世紀の祭壇は撤去され、元の祭壇が設置された。
漆喰を削ると、オプス・スピカトゥム(opus spicatum)と呼ばれる魚のニシンの骨(ヘリンボーン)のような石積みと、建設当時に教会を照らしていた窓が発見された。
最も重要な発見は、10世紀、16世紀、18世紀のフレスコ画であった。これらは、ルーマニアの専門家、ヴァレンティン・スカルラテスク(Valentin Scarlatescu)によって修復された。
10世紀のフレスコ画:最も数が多い。大天使ミカエルと、メルキゼデク。天使たちは皆、左手に閉じた本を持ち、右の手のひらを上に向けている。
16世紀のフレスコ画:地上世界を表す蔦の模様。当時人気があったアレクサンドリアの聖カタリナ。マルセイユでのマグダラのマリアの生涯の場面。オーセールの聖ゲルマヌス。
18世紀のフレスコ画:葉飾りの残骸、十字架が頂上に立つ地球儀、ユリの花と十字架。

この後は、訪問案内のファイルを引用する時に太字で書きます。

3. 内観(身廊上部の石積み)

教会の中に入ります。

身廊にて東を向く

1982年から1995年にかけて行われた修復工事で、漆喰の下にあったオプス・スピカトゥム(opus spicatum)と呼ばれる魚のニシンの骨(ヘリンボーン)のような石積みと、建設当時に教会を照らしていた窓が発見されました。

身廊にて北東を向く

4. 内観(北側第1アーチ)

1982年から1995年にかけて行われた修復工事での最大の再発見は、フレスコ画でした。

フレスコ画の大半は10世紀のものである。

これらの絵画は17世紀に漆喰で覆われた。消毒とペストの流行対策のためである。この慣行は19世紀まで続き、結核対策として家庭でも行われていた。

カロリング・ルネサンス期(896-930年)の初期、美しい写本制作を専門とする画家たちがイタリアのラヴェンナ(Ravenna)から招かれた。アイルランドやウェールズから熟練のラテン語学者たちも加わった。その結果、これらのフレスコ画には東方とケルトの影響が混在している。

修復画家ヴァレンティン・スカルラテスク(Valentin Scarlatescu)は、再発見された下絵の要素を修復し、時には線を追加して作品を完成させた。

これらのフレスコ画は、旧約聖書、より具体的にはエノク書から引用した教会の典礼を表している。アーチの下にある絵画要素のほとんどは、地上の世界と神の世界とを結びつけるものである。

フレスコ画の配置には意味がある。教会の入口の両側にある絡み合う模様は地上世界を表し、クワイヤに近づくほど天界を彷彿とさせる。クワイヤは神の世界である。

北側第1アーチには、絡み合う模様で地上世界が描かれています。

北側第1アーチ

アーチの基部には、幾何学模様が彫られています。

この教会が建築された当初(8世紀)の彫刻かもしれません。

北側第1アーチ

5. 内観(北側第3アーチ)

北側第3アーチには、天使たちが描かれています。

北側廊にて南を向く(北側第3アーチ)

クワイヤに近い、左(東)側の天使は、祭服を着ています。

北側第3アーチ

右(西)側の天使は、祭服を着ていません。

北側第3アーチ

右(西)側の天使の下には、ニンブスのある男性が描かれています。右手を立て、左手で閉じられた本を持つ両手の仕草は、天使たちと同じです。

北側第3アーチ

6. 内観(南側第3アーチ)

南側第3アーチにも、天使たちが描かれています。

天使たちが地と天をつなぐ存在として描かれている。これほど多くの天使たちが描かれている教会は少ない。

南側廊にて北を向く(南側第3アーチ)

旧約聖書では、ヘブライ人は神に直接話しかけるのではなく、仲介役である天使たちに話しかけていた。

天使の衣服がおしゃれ。

南側第3アーチの天使

天使は使者である。ギリシャ語の「アゲロス(angelus)」はヘブライ語の「マルアク(Mal’ak)」の翻訳であり、これは「メッセージ」を意味する。

南側第3アーチの天使

7. 内観(南側第2アーチ)

南側第2アーチには、大天使ミカエルとメルキゼデクが描かれています。

南側廊にて北を向く(南側第2アーチ)

キリスト教美術では、大天使ミカエルは天秤を持ち、竜に対して剣を振るう。大天使ミカエルは地上の魂の守護者であり、魂を天国に導き、魂の重さを量る。

大天使ミカエル

このフレスコ画には、天秤も竜も描かれていない。魂は、9世紀後半からの伝統に従って、両手を合わせ、布に包まれた子供として表現されている。この表現は、12世紀にイギリスのイーリー大聖堂の司教の墓や、15世紀にアイルランドのジャーポイント修道院の墓石にも見られる。9世紀以前は、魂は鳩で表現されていた。

美川憲一さんに似ていますが、魂です。

その向かいには、サレムの王であり神の祭司であるメルキゼデクがいます。

メルキゼデクはパンとぶどう酒を最初に捧げた(『創世記』14章)人物で、これは聖体拝領の予見と考えられています。また、聖書に「イエスはメルキゼデクと同じような大祭司」と記されています(『ヘブライ人への手紙』5章、6章)。

メルキゼデク

大天使ミカエルとメルキゼデクが一緒に描かれていることは、外典に由来するようです。

このフレスコ画の描写はエノク書に由来し、大天使ミカエルとメルキゼデクの関係が明らかにされている。大洪水の前、主はミカエルにこう言ったという。「お前は地上に降り、ネルの住まいに赴き、そこで生後40日の彼の子メルキゼデクを連れ去れ。私が地上に水を降らせる前に、彼をエデンの楽園へ連れて行け」。大洪水の後、メルキゼデクは地上に戻り、祭司たちは彼の姿に倣うことになる。

メルキゼデクとミカエル、祭司と大天使は、地上の世界と天上の世界をつなぐ存在なのである。

この教会には、多くの天使も描かれています。よほど念入りに、執り成しをお願いしたかったようです。

Église Saint-Gal de Langast。プレ・ロマネスクのフレスコ画が素晴らしいです。

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