2025年4月26日(土)、最初に訪れたのはSaint-Martin-de-Boscherville、Église catholique abbatiale Saint-Georges à Boschervilleです。
ここは、その建築がため息ものの美しさです。一方、彫刻はかわいいです。
2025年、教会は以下の日程で開いていました。
4月1日から10月31日は9:00〜18:30、11月2日から3月31日は14:00〜17:00
ただし、1月1日、5月1日、11月1日、11月11日と12月25日は閉まりました。
目次
1. Saint-Martin-de-Boscherville .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観 .
5. 内観(全景) .
6. 内観(彫刻) .
1. Saint-Martin-de-Boscherville
サン=マルタン=ド=ボッシェヴィル(Saint-Martin-de-Boscherville)は、ノルマンディー地域圏セーヌ=マリティーム県にある村で、県都ルーアンの約9km西、首都パリの約120km北西にあります。
ところで、車でノルマンディー地域圏を移動するときは、フリーフローの有料道路(2025年現在はΑ13とΑ14)にご注意ください。料金所がなく、オンラインで支払います。
さて、教会は、村の中心にあります。

2. 概要
教会の中に案内シートとリーフレットがありました。リーフレットによる概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
サン=マルタン=ド=ボッシェヴィル(Saint-Martin-de-Boscherville)へようこそ。
ここは、ルーアンからル・アーヴルまでセーヌ川沿いに続く観光ルート「修道院街道」にあり、ノルマンディーの歴史の重要な場所を巡ることができる。
サン・ジョルジュ修道院(L’ABBAYE SAINT-GEORGES)
7世紀、廃墟となったガロ・ローマ時代の神殿の跡地に、騎士たちの守護聖人である聖ゲオルギウス(仏:saint Georges)に捧げられた葬祭用礼拝堂が建てられた。11世紀、この礼拝堂は教区教会に改築された。
12世紀(1113年から1114年頃)、参事会教会を運営していた聖職者共同体は、その所有者であるアンリ1世ボークレール公(duc-roi Henri 1er Beauclerc)の侍従長ギヨーム・ド・タンカルヴィル(Guillaume de Tancarville)が寄贈したベネディクト会修道士の共同体に取って代わられた。あらかじめ決められた設計図に基づいて、水平方向に段階的に建設されたこの修道院教会は、おそらく30年ほどの年月をかけて建てられたもので、ノルマンディーのロマネスク様式という、非常に統一感のある様式を特徴としている。
1235年頃、ノルマンディー地方で一般的な、軽量であるため側壁に大きな窓を開けることができたシンプルな木製のアーチは、今日でも見られるゴシック様式の尖頭アーチに取って代わられた。正面塔の頂上にある尖塔も、この時代に建てられたものである。
この修道院は、建物は損傷を受けたものの、その本来の目的を決して失うことなく、激動の歴史を経験してきた。
17世紀、この修道院は、改革ベネディクト会であるモーリスト会に委託され、1789年のフランス革命で閉鎖されるまで、修復と維持が行われた。
1791年12月26日、この修道院教会は、サン・マルタン教会の代わりに、教区教会として再開された。
1982年、大聖堂に隣接する土地の所有者である県が、1170年頃に建てられた壮麗な修道院会議室を修復するため、発掘調査を行った。この調査により、紀元前1世紀にさかのぼる異教の神殿の痕跡が発見された。
今日、祈りと瞑想の場としての使命を忠実に果たすこの修道院教会は、教区生活の一環として毎日開かれている。2000年9月17日以降、11の村で構成されるサン=マルタン=ド=ボッシェヴィル=アン=ルマール(Saint-Georges-de-Boscherville-en-Roumare)教区の中心となっている。ミサは毎週日曜日と祝日に執り行われる。
この後は、案内シートを引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
教会の中にあった案内シートによる平面図です。東が上です。

4. 外観
ファサードには、二つの対称的な塔があります。立派な姿です。
そして、西扉口の両側に印象的な盲アーチがあります。ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏のアングモワ(Angoumois)地方やサントンジュ(Saintonge)地方のファサードを思い出します。
ノルマンディー地域圏では、こうした盲アーチの例は少ないと思います。ムヴェーヌ(Meuvaines)、Port-en-Bessin-Huppain、Étréham などに限られます。これらは全てアンリ1世ボークレール公(duc-roi Henri 1er Beauclerc)にゆかりのある教会です。
このため、このファサードは、12世紀に遡ると思います。

西扉口をみます。

アーキヴォルトには、幾何学模様が彫られています。
アーキヴォルトを支える柱頭には、物語性のある場面が彫られています。
左(北)側には、植物、鳥を食う2匹の四足獣、「エジプトへの逃避」(『マタイによる福音書』2章)、3人の聖人、が彫られていると思います。

「エジプトへの逃避」(『マタイによる福音書』2章)を拡大します。(案内シートによる平面図には「聖家族(La Sainte Famille)」と示されています。)

右(南)側には、「アダムとエバ」(『創世記』3章)、「楽園からの追放」(『創世記』3章)、剣士と幻想的な生き物との戦い、聖職者と悪魔、が彫られていると思います。

「アダムとエバ」(『創世記』3章)を拡大します。

盲アーチの柱頭には、弓を引くケンタウロスやドラゴンなどの幻想的な生き物が彫られていると思います。
5. 内観(全景)
教会の中に入ります。
わお。
均整のとれた姿が美しい。

クワイヤの美しさときたら、言葉を失います。

6. 内観(彫刻)
こんな美しく立派な建築を展開しているのに、彫刻がかわいらしいことに驚きます。
リーフレットには「ノルマン人は建築家としては優れている一方、彫刻家としてはあまり優秀ではないが、柱頭彫刻は興味深い。」と書いてありました。
柱頭と石板に彫られた10の彫刻をご紹介します。
彫刻1
開いた耳(L’oreille ouverte)
左耳は閉じている。
右耳(より明るい側)は、ロバの耳のように長く水平に開いている。
ほのかな微笑みが、従順さによる幸福を伝えている。

彫刻2
馬と鳥(Le cheval et l’oiseau)
内なる二面性
鳥の精霊が枝の上に舞い上がる。
馬は、人間による高貴な征服の象徴であり、衝動的な自我を表している。

彫刻3
大水?(Les grandes eaux ?)
雲から雨粒が落ちているようである。
それは、人物たちに落ちているのであろうか?
聖書の象徴では、水は生命の源であり、豊穣と浄化をもたらす。

彫刻4
三つ編みの少女(La fillette aux nattes)
彼女は陽気に祭壇に向かって歩いている。
左の三つ編みに二つの結び目、半影の中。
右の三つ編みに一つの結び目、光の中。
結び目は内面を象徴している。
彼女の平らな胸は、キリスト教徒の信仰がまだ幼いことを示している。
彼女は内面の結び目をほどくことに成功した。
彼女は回心の道を歩んでいる。

彫刻5
アブラハムとイサク(Abraham et Isaac)
神への従順から、アブラハムは山に登り、息子イサクを犠牲に捧げようとした。
天使は、ナイフを手に持ったアブラハムの腕を止めた。
アブラハムとイサクは、従順の象徴である帯を身につけている。
彼らは、神を信頼したことの幸せの証である笑みを浮かべている。
彫刻6
イエスと二人の修道士(Jésus et les deux moines)
イエスはロバに乗り、両手を十字に広げ、右手に葡萄の木を持っている。その枝は、エルサレムでの歓迎を思い出させる。
従順な修道士は微笑み、実をつけた葡萄の枝を持っている。
もう一人の修道士は枯れた枝を持っている。
帯=従順
杖=師の教え
『ヨハネによる福音書15章5節
わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ。

彫刻7
救世主キリスト王(Le Messie Christ Roi)
王冠を戴き、玉座に座り、両足を二つの頭の上に置いている人物。
『詩編』110編
主の御言葉。「わたしの右の座に就くがよい。わたしはあなたの敵をあなたの足台としよう。」
『コリントの信徒への手紙一』15章25節
キリストはすべての敵を御自分の足の下に置くまで、国を支配されることになっているからです。
「(修道院長は)修道院においてキリストの代わりを務めるものと固く信じられている」(聖ベネディクトの規則)

彫刻8
騎士の決闘(Le duel des chevaliers)
2人の騎士が戦っている。
馬は、彼らの本能や考えを征服することを表している。
馬は、それぞれ前脚を後ろに回している。
この動きは、回心(かいしん)の象徴であり、霊的に成長したいと願うすべての人の内なる戦いである。

彫刻9
バシリスクとイタチ(Le basilic et la belette)
バシリスク(悪の誘惑者)は、想像上の動物で、頭頂部、つまり意識を攻撃する。
イタチ:アイルランドのケルトの愛情と警戒の象徴。
左側の人物は抵抗している。長い首を空に向かって伸ばし、イタチのように警戒を怠らない。キリストのように両腕を広げる。危険なナイフをはじく。バジリスクに向かって嘲笑の舌を出す。空に向かって立ち上がる(足を見よ)。

右側の人物は首も腕も動かせず、足を挟まれ、歯を食いしばっている。イタチのように警戒すべきだったのだ。

彫刻10
怪物と鳥(Le monstre et l’oiseau)
内なる二面性
怪物は鳥の翼に足を置いている。
鳥は怪物の上の頭にくちばしを置く。
これが人生のバランスである。
鳥は霊、怪物は本能すなわち肉の欲望を表している。
『ガラテヤの信徒への手紙』05章 16節
霊の導きに従って歩みなさい。そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。

Église catholique abbatiale Saint-Georges à Boscherville。その建築がため息ものの美しさです。一方、彫刻はかわいいです。
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