2024年9月6日(金)、四番目に訪れたのはCarrión de los Condes、サンタ・マリア・デル・カミーノ教会(Iglesia de Santa María del Camino)です。
ここは、南扉口が素晴らしいです。また、ロマネスク様式の西扉口と南小後陣が残っています。
私は15:30頃に行きましたので教会は閉まっていました。私は教会に入りませんでした。
2024年7月13日から9月7日、教会は火曜から日曜11:00~13:30と17:00~20:00に開いていました。
Carrión de los Condes では、3か所に行きました。以下のように3回に分けて書きます。
<1> Iglesia de Santa María del Camino
<2> Iglesia de Santiago
<3> Monasterio de San Zoilo
目次
1. Carrión de los Condes へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 内観 .
5. 外観(南小後陣) .
6. 外観(南扉口) .
7. 外観(西扉口) .
1. Carrión de los Condes へ
カリオン・デ・ロス・コンデス(Carrión de los Condes)は、カスティーリャ・イ・レオン州パレンシア県にある町で、県都パレンシアの約35km北にあります。
教会は、町の南東にあります。
教会の東隣には、中世の町を囲んでいた城壁の跡があります。

役場(Αyuntamiento)のウェブサイトによると、この城壁は、12世紀にアラゴン王アルフォンソ1世とその妻だったカスティーリャ女王ウラカとの戦いの際に築かれたものです。1110年、アルフォンソ1世はこの町を占領し、その1年後に城壁を築きました。
城壁は、中世にはフロミスタ(Frómista)からサアグン(Sahagún)へと向かうサンティアゴ巡礼者がその門を通って町に入りました。
町には今も数多くの巡礼者が行き交い、巡礼者用の宿泊施設や巡礼者用の物品を販売する商店が軒を連ねています。
2. 概要
教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この教会は12世紀(1126年から1157年)にロマネスク様式で建てられた。百人の乙女の伝説にちなみ、当時はサンタ・マリア・デ・ラス・ビクトリアス(Santa María de las Victorias)と呼ばれていたが、現在はサンティアゴ巡礼路沿いにあることからサンタ・マリア・デル・カミーノ(Santa María del Camino)と呼ばれる。
南側の主扉口は、1130年頃に作られたフランスの影響を受けた彫刻が施されている。この南側には、教会の元々の後陣も残っている。その他の大部分は17世紀に改築され、新しい主祭室が建てられた。
この後は、Románico Digital を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
Románico Digital による平面図です。東が右です。

北小後陣は、聖具室への通路として明らかに改造されているものの、そのプランは残っている。一方、主後陣は、ルネサンス期に、より大きな祭室に取って代わられた。
4. 内観
私は教会の中に入っていません。Románico Digital による画像です。
教会内部唯一の装飾は、アーチの基部に集中しており、植物をモチーフとしたものが主流である。
5. 外観(南小後陣)
三後陣のうち、ただひとつ残っているのが南小後陣です。
半円形の典型的なロマネスク様式で、ほぼ完全な形で残っています。

6. 外観(南扉口)
この教会の主扉口は、南側にあります。

扉口の上部には持ち送りとメトープ(浮彫石板)があります。持ち送りは、九つが元の位置にあり、二つはポルティコの外壁で再利用されています。これらの持ち送りには、動物、幻想的な生き物や人物(樽を運ぶ男性、音楽家、曲芸師、顔)が彫られています。
持ち送りとメトープの下には11枚のパネルで構成される帯状の浮き彫りがあります。帯状の浮き彫りには「東方三博士の礼拝」(『マタイによる福音書』2章)に関連する場面が彫られています。

「東方三博士の礼拝」の右(東)隣には、馬に乗った3人の人物がいます。東方三博士でしょう。

馬に乗った3人の人物の右(東)隣には、玉座に座る男性がいます。

玉座に座る男性の右(東)隣には、3人の人物がいます。東方三博士がヘロデ王に謁見する場面かもしれません。
3人の人物の右(東)隣には、再度、玉座に座る男性が登場します。玉座に座る男性は、右手に剣を持ち、左手で別の人物に命令を下しているようです。これは「幼児虐殺」(『マタイによる福音書』2章)の場面かもしれません。

帯状の浮き彫りの下には、二つの浮き彫りがあります。これらの浮き彫りの頭部分は、南壁を支える補強工事によって失われました。
ひとつは、上半身裸の男性が、ライオンのような特徴を持つ動物に乗っています。

もうひとつは、立派な服装をした騎士が、馬の前脚で、しゃがんでいる小さな人物を攻撃しているようです。

アーキヴォルトのひとつは、多様な人物、幻想的な生き物や動物を描いた37個の迫石で構成されています。
人物には、音楽家や狩人などの日常生活をテーマにしたもの、首から財布をぶら下げた守銭奴や腹をさする大食いなどの罪をテーマにしたものなどがあります。

アーキヴォルトを支えている柱頭にも彫刻があります。
左(西)側の柱頭には、並ぶ人物たちが彫られています。

右(東)側の柱頭には、向かい合うグリフォン、「獅子を裂くサムソン」(『士師記』14章)が彫られています。

アーキヴォルトの下にアーチがあります。
アーチを支えている石は、不自然なくらい突出しています。

アーチを支えている石には、牛が彫られています。

アーチを支えている石をよく見ると、二つの石を並べて使っているようです。

もしかすると、もともとは軒下の持ち送りとして作られたのかもしれません。
7. 外観(西扉口)
西に行きます。

西扉口をみます。
扉口の上には、福音書側の後陣内に保存されている像の複製である、聖母子像が置かれている。

左(北)側の柱頭にはライオンたちが彫られ、右(南)側の柱頭にはハルピュイアたちが彫られています。
サンタ・マリア・デル・カミーノ教会(Iglesia de Santa María del Camino)。南扉口が素晴らしいです。また、ロマネスク様式の西扉口と南小後陣が残っています。
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