2024年9月5日(木)、最初に訪れたのはJaramillo de la Fuente、Iglesia de la Asunción de Nuestra Señoraです。
ここは、ポルティコと後陣窓の柱頭に傑出した職人による精巧な彫刻があります。一方、内陣、後陣と南扉口の全体には作りは粗雑ですがたいへん魅力のある彫刻があります。
教会は閉まっていました。私は教会の中に入りませんでした。(私が行ったとき、2024年7月から8月の聖ミサの予定が掲示してあり、こちらの教会では8月15日(祝日)11:00と8月27日(日)12:00の2回だけが予定されていました。)
目次
1. Jaramillo de la Fuente へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 内観 .
5. 外観(内陣と後陣の軒下) .
6. 外観(後陣の窓) .
7. 外観(ポルティコ) .
8. 外観(南扉口) .
1. Jaramillo de la Fuente へ
ハラミージョ・デ・ラ・フエンテ(Jaramillo de la Fuente)は、カスティーリャ・イ・レオン州ブルゴス県にある村で、県都ブルゴスの約40km南東にあります。
教会は、村の西側にあり、近くの小川に隣接しています。

2. 概要
Románico Digital による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この地は、982年の文書に言及されている。サン・ペドロ・デ・アルランサ(San Pedro de Arlanza)で司祭を務めていたディエゴ(Diego)が、その財産を同ベネディクト会修道院に譲渡したときのことである。1037年にはロドリゴ・テレス(Rodrigo Téllez)が同修道院に自分の所有地を寄贈した際に言及されている。1119年にはウラカ(Urraca)女王がアルランサ(Arlanza)にこの地の所有を認めた際に言及されている。
この後も、Románico Digital を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
Románico Digital による平面図です。東が右です。

教会の内部は16世紀に改修され、星形のヴォールトが追加された。これは北壁の外側に4基、南壁にも4基の大型の角柱状のバットレスによって補強されている。
4. 内観
教会は閉まっていました。私は教会の中に入りませんでした。
Románico Digital による画像です。

勝利アーチにロマネスク様式の柱頭彫刻が残っているようです。

5. 外観(内陣と後陣の軒下)
東に行きます。

内陣と後陣の軒下には、彫刻された持ち送りや柱頭があります。これらの彫刻は、4. 内観でご紹介した勝利アーチの柱頭を作った工房の作品だと思います。
持ち送り22個と柱頭2個をすべてご紹介します。
内陣南側の持ち送り6個(持ち送り1〜6)
1: 両手で両足を上げる女性、2: 2人の聖職者、3: 書物を手にする修道士、だと思います。
4: 豚、5: 山羊、6: 熊、だと思います。
後陣の持ち送り10個(持ち送り7〜16)
7: 裸の女性、8: 大きく口を開けた顔、9: 子熊、だと思います。
10: 幾何学模様、11: 様式化された植物、12: 様式化された植物?だと思います。
13: 出産する女性、14: 動物の頭、15: 両手を腹部にあてる女性、16: 何かを口にする動物の頭、だと思います。
後陣の柱頭2個
柱頭1: 2頭の四足獣を従える男性、柱頭2: 様式化された植物、だと思います。

内陣北側の持ち送り6個(持ち送り17〜22)
17: 裸の男性、18: 円筒形、19: 楽器(または樽)、だと思います。
20: 果実、21: 山羊の頭、22: ロープと樽、だと思います。
内陣と後陣の持ち送りや柱頭の彫刻は、作りは粗雑ですが、たいへん魅力のある彫刻です。
テーマや図像が近隣の他の12世紀の教会に共通していますので、これらは12世紀の作品だと思います。
6. 外観(後陣の窓)
一方、後陣窓の柱頭は、別の工房による13世紀の作品のようです。

後陣窓の柱頭には幻想的な動物たちが彫られています。
後陣窓の柱頭1: 2体のグリフォン、後陣窓の柱頭2: 2体のハルピュイア、だと思います。
これらは傑出した職人による砂岩の精巧な作品であり、おそらくハラミージョ(Jaramillo)から遠く離れた工房で発注・制作されたものだろう。
7. 外観(ポルティコ)
南側に行きます。

ポルティコの柱頭彫刻を三つご紹介します。
ポルティコの柱頭1: 2体の幻想的な生き物、ポルティコの柱頭2: 2体のハルピュイア、だと思います。
ポルティコの柱頭3: 王冠をつけた男女、だと思います。

ポルティコの柱頭はすべて、白っぽい他の地域の石で彫られており、後陣窓の柱頭と同様、この地域以外の職人が関与した可能性がある。彼らは13世紀初頭、出身地の工房で注文を受けて制作したのであろう。

8. 外観(南扉口)
最後に、ポルティコの中にある、南扉口をみます。

南扉口には六つの持ち送りが残っています。
1: 四足獣、2: 樽から飲む男性、3: 葉に包まれた丸い果実のような形、だと思います。
4: 下半身を見せる男性、5: アクロバット、6: 円筒形、だと思います。
アーキボルトを四つの柱頭が支えています。
柱頭1: 二股人魚、柱頭2: 2体の怪物に食われる男性、だと思います。
荒々しい姿が大迫力。
柱頭3: 獅子を裂くサムソン(『士師記』14章)、柱頭4: 向かい合う幻想的な生き物、だと思います。
素朴なつくりで、ちからづよいです。
Iglesia de la Asunción de Nuestra Señora。ポルティコと後陣窓の柱頭に傑出した職人による精巧な彫刻があります。一方、内陣、後陣と南扉口の全体には作りは粗雑ですがたいへん魅力のある彫刻があります。
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