2024年8月30日(金)、最初に訪れたのはSepúlveda、Iglesia de los Santos Justo y Pastor (Museo de los Fueros)です。
ここは、外観では後陣、内観では身廊や後陣の装飾が素晴らしいです。
2024年、教会は博物館(Museo de los Fueros)として運営されていました。開館日程については、観光局(Oficina de Turismo de Sepulveda)に問い合わせることとなっていました。有料(€3)でした。
Sepúlveda では、3か所に行きました。以下のように3回に分けて書きます。
<1> Iglesia de los Santos Justo y Pastor (Museo de los Fueros)
<2> Santuario de Nuestra Señora de la Peña
<3> Iglesia de El Salvador
目次
1. Sepúlveda へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(後陣) .
5. 内観(地下聖堂) .
6. 内観(身廊) .
7. 内観(後陣) .
1. Sepúlveda へ
セプルベダ(Sepúlveda)は、カスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県にある村で、県都セゴビアの約50km北東にあります。
教会は、村の中心にあります。

私は、8月23日から26日にかけてセゴビア県のロマネスクを巡りました。
本当は、セゴビア県にあるセプルベダ(Sepúlveda)にも8月23日から26日の間に行きたかったのです。
でも、事前に観光局に問い合わせたところ「博物館(Museo de los Fueros)は、2024年は8月21日から地元の祭りのために閉館し、8月30日に再開予定です」とのことでした。
このため、私はこの頃すでにソリア県のロマネスクを巡っていましたが、セゴビア県のセプルベダ(Sepúlveda)に戻ってきた次第です。
2. 概要
Románico Digital による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この教会は、アルフォンソ6世による寄進の文書で既に言及されている。また、1120年頃の文書、1247年の文書にも記述が見られる。
アルフォンソ6世(1040年頃〜1109年)はレオン王国およびカスティーリャ王国の王でした。カスティーリャ王としてはアルフォンソ1世とも呼ばれます。
この複雑な建物は、少なくとも2段階のロマネスク時代の建築と、中世後期と近世の顕著な改築の結果生まれたもので、現在のやや味気ない外観は、その内部に秘蔵されている芸術的な富を反映していない。実際、15世紀から16世紀、そして18世紀にかけての相次ぐ改革によって、軒、窓、扉口など、身廊の外観全体が失われてしまった。
この後も、Románico Digital を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
Románico Digital による平面図です。東が右です。
<上部教会>

<地下聖堂>

4. 外観(後陣)
東に行きます。

主後陣と北小後陣が残っています。

軒下、窓などに豊かな彫刻があります。

5. 内観(地下聖堂)
教会の中に入ります。

内陣の下に地下聖堂があります。

天井は樽型ヴォールトです。

床の四つ角に4本の柱が立てられ、柱頭なしで天井へと伸びて交差アーチになっています。一見すると、天井の重さに対する補強と思いましたが、なんだか違いそうです。
不思議なことに、この交差アーチは樽型ヴォールトの石組みから明らかに離れている部分があります。もしかすると、その機能は単なる装飾的なもので、親方がその建築の腕を自慢したかったのかもしれません。

6. 内観(身廊)
身廊の柱頭彫刻をみます。
二つご紹介します。
身廊の柱頭1:角笛を奏でる人魚、とげを抜く男性と、しゃがみ込む男性が描かれていると思います。

人魚が角笛を奏でている図像は、あまり見ない気がします。

身廊の柱頭2:植物の間に、しゃがみ込む男性が彫られています。男性は豊かな髭をたくわえています。

7. 内観(後陣)
北小後陣、主後陣、南小後陣の順に、後陣の柱頭彫刻をみます。
北小後陣
北小後陣の柱頭1:巻き毛のたてがみを持つ2頭のライオンが、頭を下げたまま、葉に絡まるように向かい合っています。

北小後陣の柱頭2:3人の悪魔だと思います。悪魔たちは、舌を異常に伸ばしています。

主後陣
主後陣の柱頭1:この教会が捧げられている聖ユストゥスとパストール(Santos Justo y Pastor)の殉教の場面が描かれています。
この柱頭は、4世紀初頭、ディオクレティアヌス帝による迫害の中、コンプルートゥムにおいて長官ダキアヌスの手によって幼くして殉教した兄弟ユストゥスとパストールに捧げられている。
祭壇に向かって左から右へと読み進められるが、そこではダキアヌスが槍で武装した衛兵の前に座り、権力の象徴として冠をかぶり、自身も槍を持ち、手のしぐさで兄弟たちの処刑を指示している。
隅には、彼を示す断片的な銘文 [DAC]IANVS が刻まれている。

手前には、ローマ人の斬首命令に従う処刑人が、聖ユストゥスの髪を掴んでいる。
聖ユストゥスの上には、彼を識別する銘文「IVSTVS」がある。

聖パストールは隅に置かれ、同じく銘文(PAST/OR)を持ち、「IN DO/MINO : / CON/FIDO」すなわち「主に信頼」と刻まれた旗のようなものを持つ侍者の手を携えている。

主後陣の柱頭2:「東方三博士の礼拝」(『マタイによる福音書』2章)が描かれています。
戴冠した3人の王が贈り物を携えて聖家族に向かって進み、後ろの2人は立ち、聖母に最も近い1人は拝礼しています。ベツレヘムの星が見える半円アーチの下には、聖母とイエスが描かれています。祭壇に面した側には、聖ヨセフがいます。
上部には、美しい文字で「MELChION : ET : CASPAR [A?]PVD IS…R : (T?)RES : [¿Æ?]TERNA : 」と刻まれ、マリアの近くには「[O]FE/RE(N)/TES」とある。
三博士の表情がきりりとして、良いです。

南小後陣
南小後陣の柱頭1:巻き毛のたてがみを持つ2頭のライオンが、頭を下げたまま、葉に絡まるように向かい合っています。

南小後陣の柱頭2:背中合わせに並ぶ2体のハルピュイアが、葉に絡まるように立っています。

Iglesia de los Santos Justo y Pastor (Museo de los Fueros)。外観では後陣、内観では身廊や後陣の装飾が素晴らしいです。
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