2024年8月9日(金)、最初に訪れたのはSan Vito dei Normanni、Chiesa rupestre di San Biagioです。
ここは、12世紀のフレスコ画が興味深いです。
2024年、岩窟教会はガイドツアーで見学できました。有料(€3)でした。私はコムーネ(基礎自治体)のウェブサイトを通じてEmailで予約しました。
目次
1. San Vito dei Normanni へ .
2. 概要 .
3. 内観 .
4. フレスコ画(南) .
5. フレスコ画(西) .
6. フレスコ画(北) .
7. フレスコ画(天井) .
1. San Vito dei Normanni へ
サン・ヴィート・デイ・ノルマンニ(San Vito dei Normanni)は、プーリア州ブリンディジ県にある町で、県都ブリンディジの約12km北西、州都バーリ(Bari)の約92km南東にあります。

サン・ビアジオ岩窟教会(Chiesa rupestre di San Biagio)は、農場の中にあります。
2. 概要
ガイドから聞いた話です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この場所は、アッピア街道とトラヤナ街道が交差する場所に近く、巡礼者たちがブリンディジに到着する前の最後の宿場であった。
12世紀には、おそらくギリシャ正教の修道士たちがこの地に定住し、それ以前から使われていたと思われる洞窟を利用していた。
教会を彩る保存状態の良い絵画群の存在があり、この地域の主要な岩窟集落のひとつとなっている。
この後も、ガイドから聞いた話を引用する時に太字で書きます。
3. 内観
教会の中に入ります。
教会の中は、空調が効いていました。
長いファサードに二つの入口がある。今でも使われている第1の入口は直接内陣に通じている。第2の入口は、19世紀に窓に改造されたが、もともとは信徒用のエリアに通じていた。
西側の壁と天井に絵画があります。
12世紀後半のフレスコ画である。

4. フレスコ画(南)
南壁をみます。

聖ステファノと聖シルウェステル(San Silvestro)が描かれている。
聖ステファノは、左手に福音書を持ち、右手で香炉を振っています。白髪白髭の聖シルウェステル(San Silvestro)は、右手で祝福を与え、左手には福音書を持っています。

入口の反対側の壁には、東方三博士、ご生誕、羊飼いたちへのお告げが描かれています。
馬に乗っているのは、東方三博士だと思います。
東方三博士の右側には座るヨセフがいて、ヨセフの上には牛とロバが祭壇のような形をした飼い葉桶を見守っています。
洞窟の中で横たわる聖母マリアは、頭を傾けながら、右手で布を女性たちに差し出しているようです。聖母マリアの右手の先には2人の女性がいます。幼子に産湯を使った女性たち(おそらく産婆のゼロミとサロメ)だと思います。この女性たちについては『原ヤコブ福音書』19章と『偽マタイ福音書』13章に書かれています。
洞窟の上には天使がいます。羊飼いたちが天使のお告げを聞いています。

5. フレスコ画(西)
西壁を見ます

聖ゲオルギウス、聖デメトリウス、聖ニコラウスが描かれている。
聖ゲオルギウスと聖デメトリウスは、着飾った馬にまたがって足元のドラゴンに槍を突き刺そうとしています。
聖ニコラウスは左手に書物を持ち、右手で祝福しています。
聖ニコラウスのニンブスの左右には、片方はギリシャ語、もう一方はラテン語で聖ニコラウスと書いてあります。二つの言語で書いてある理由は、聖ニコラウスがギリシャ正教とカトリックの両方で大人気の聖人だからかな、と思います。

その隣には、聖ブラシウス(San Biagio)が描かれている。
この教会は聖ブラシウス(San Biagio)に捧げられています。左手に本を持ち、右手で下にいる動物たちを祝福しているようです。

6. フレスコ画(北)
北壁をみます。西側のよく残っている方をみます。

聖ヨハネと聖アンデレが描かれている。
聖ヨハネは若々しく、無髭で短髪、福音書を両手で持っています。聖アンデレは白い髭を生やし、右手の親指と薬指を合わせてギリシャ正教式に祝福しています。
足元には、両手を広げている小柄な人物の姿があり、おそらくこの教会を依頼した人物であろう。

7. フレスコ画(天井)
天井をみます。
絵画は五つに分かれていて、反時計回りに物語が展開します。最も広い部分には、2人の6枚翼の天使、四福音書記者の象徴、預言者ダニエルとエゼキエルが描かれています。その後、受胎告知、エジプトへの逃避、神殿奉献、エルサレム入城が続きます。
最も広い部分の中央では、右手の親指と薬指を合わせてギリシャ正教式に祝福しています。

円の外側には、有翼の人(聖マタイ)と有翼のライオン(聖マルコ)、6枚の翼を持つ天使、そして、髭のない若い顔の預言者ダニエルが描かれている。
円のもう一方の外側には、鷲(聖ヨハネ)と有翼の牛(聖ルカ)、6枚の翼を持つ天使、そして、聖書の文言が書かれた巻物を手に持つ預言者エゼキエルがいる。
「受胎告知」(『ルカによる福音書』1章)
二つのメダイヨンには、預言者ダビデと預言者イザヤが巻物を持っている。
大天使ガブリエルの薬指が短いですが、これは人差し指、中指と小指を立て、薬指を曲げて親指に触れさせるギリシャ式の祝福をしているのだと思います。

「エジプトへの逃避」
聖ヤコブが聖家族を率いて逃避しているようです。
聖書では『マタイによる福音書』2章が「エジプトへの逃避」を述べますが、そこに聖ヤコブは登場しません。外典をもとにした図像かなと思います。

「神殿奉献」(『ルカによる福音書』2章)
聖ヨセフは2羽の鳩を入れた籠を持っています。これは捧げものです。聖母マリアは、幼子を抱くシメオンの方を向いています。シメオンの背後には預言者アンナがいて、右手の親指と薬指を合わせてギリシャ正教式に祝福し、左手には巻物を持っています。

「エルサレム入城」(『マタイによる福音書』21章、『マルコによる福音書』11章、『ヨハネによる福音書』12章)

聖ブラシウス(San Biagio)、聖ニコラウス、聖アンデレといったギリシャ正教で強く信仰されている聖人や、聖ゲオルギオス、聖ヤコブ、聖ヨハネといった十字軍に関わりのある聖人たちが描かれています。
文字は主にギリシャ語だけが書かれる中、聖ニコラウスの名前だけはラテン語とギリシャ語の二つの言語で書いてあります。
こうした特徴は、プーリアならでは、と思います。
Chiesa rupestre di San Biagio。12世紀のフレスコ画が興味深いです。
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