2024年8月6日（火）の最後、三番目に訪れたのはBari、Basilica San Nicolaです。

ここは、11世紀から聖ニコラウスの聖遺物を持つ有名なバシリカです。獅子の扉口（Portale dei Leoni）と地下聖堂の柱頭の彫刻が素晴らしいです。ファサードの中央扉口とチボリウムも良いです。

2024年、バシリカは毎日6:30〜20:30に開いていました。

Bari では、3か所に行きました。以下のように3回に分けて書きます。
＜1＞ Basilica Cattedrale Metropolitana Primaziale San Sabino (Cattedrale di S. Maria)
＜2＞ Museo Diocesano & Museo della Cattedrale
＜3＞ Basilica San Nicola

目次

1. Bari へ　.
2. 概要　.
3. 平面図　.
4. 外観（北側）　.
5. 外観（西側）　.
6. 内観（上部教会）　.
7. 内観（地下聖堂）　.

1. Bari へ

バーリ（Bari）は、プーリア州バーリ県の県都であり州都です。アドリア海に面した港湾都市で、首都ローマの約374km南東にあります。

バシリカは、半島のようにアドリア海に突き出た場所にあります。

2. 概要

公式ウェブサイトによる歴史です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

カテパノ邸からニコラウス聖堂へ

イタリアのバーリにある壮麗で荘厳なロマネスク様式のバシリカは、ほとんどの教会建築のような宗教的起源を持たない。それはビザンチン帝国のカテパノが住んでいた市民の建物であった。カテパノは、ビザンチン帝国のイタリア総督と軍司令官の中間的な存在であった。968年以降、皇帝ニケフォロス1世の改革の一環として、バーリは南イタリアの首都として皇帝の代理人の居住地に指定された。これは1071年、3年間の包囲の後にノルマン人の征服者ロベール・ギスカールに開城するまで続いた。

ノルマン人がサレルノとパレルモの間を行き来するようになると、バーリは首都としての役割を失い、それに伴って多くの貿易も失った。イスラム教徒が小アジアを占領すると、バーリはますます危機的状況に陥った。1085年、主要な交易相手であったアンティオキアもイスラム教徒の手に落ちると、バーリの人々は聖ニコラウスの聖遺物（それは彼らの通常の交易ルート、つまり現在のトルコの南海岸にあった）を奪取した。

1087年5月9日に聖ニコラウスの聖遺物がバーリに到着したというニュースは、驚くべき速さでヨーロッパ中に広まった。このニュースが急速に広まった要因は、今日で言うところのノルマン・コモンウェルスである。900年頃にノルウェーから移動してきた古代のヴァイキングの一派は、当時すでにロシア、フランス、そしてイングランド（1066年のヘイスティングスの戦い）と南イタリア（1071年のバーリの占領）に、しっかりと根を下ろしていた。

聖ニコラウスの聖遺物が1087年にバーリに到着したことを記録していない当時の年代記を見つけるのは難しい（数年の誤差がある場合もある）。聖ニコラウスは、聖ヨハネ、聖ゲオルギオスとともに、東西両国で最も崇拝されていた聖人だったからである。

第1回十字軍とバーリ公会議

中世騎士道の華は、バーリを経て、コンスタンチノープルとエルサレムを目指して旅立った。

1098年、教皇ウルバヌス2世が招集し、後の教皇パスカリス2世らも出席したバーリ公会議には、当時最大の思想家であったアオスタのアンセルムがこの地を訪れた。当時のバーリの主役はエリア（Elia）であり、1098年10月、教皇ウルバヌス2世が望んだ公会議の祝賀のためにバーリに集まった185人もの司教たちのホスト役を務めた。

エリア大修道院長

エリア修道院長ほどバーリに大きな影響を与えた人物はいない。実際、当局不在の中、3人の隊長たちが聖ニコラウスの聖遺物をどうすればいいのか、誰に引き渡せばいいのかわからなかったときに、聖ニコラウスの聖遺物を引き受けたのは彼であった。聖遺物の行方（大聖堂に保管するか、新しい教会に移すか）について、異なる考えを持っていたウルソーネ大司教と人々を一致させたのも彼であった。両者は、旧ギリシャ総督の宮殿（カテパノ）の建造物を利用した聖ニコラウス聖堂の建設を彼に託した。1095年の市議会では、何事にも疑問なく彼に従うことが決定されたほどである。

1030年頃に生まれた彼は、おそらくカーヴァ（Cava）で学び、戻るとサンタ・マリア教会の院長（修道院長）となった。1071年、聖ベネディクト修道院の修道院長であった老レウシオは、修道士たちの熱狂的な支持を得て、彼を後継者に選んだ。1087年5月9日、アルベルト、ジャンノッカロ、スミッシモ（1087年遠征の3人の隊長）は聖ニコラウスの聖遺物を彼に引き渡し、彼はバシリカの建設を任された。ウルソーネの死後（1089年2月14日）、満場一致でバーリの大司教に選出された。9月30日、教皇ウルバヌス2世をバーリに迎え、翌日、地下祭壇の下に聖ニコラウスの遺骨を納めた。10月2日、大司教に任命された。1090年末、バーリ大聖堂の祭壇の下でカノーザの聖サビヌス（San Sabino）の遺体が発見された。1096年、エルサレム再征服に出発した十字軍の騎士たちを祝福した。1098年、バーリ公会議に際しては、自分の名を冠した美しい椅子を彫刻させた。

ジャカ・ブック（Jaca Book）PATRIMONIO ARTISTICO ITALIANO『PUGLIA ROMANICA』による写真です。

1105年5月23日、彼は主の御許で目を閉じた。地下聖堂に入る手前、右側の階段の踊り場に埋葬された。

アンジュー家のシャルルとバシリカの黄金時代

アンジュー家の支配が始まると（1266年）、バシリカは黄金時代を迎える。バシリカの威信と富を誰よりも高めたのは、アンジュー朝のシャルル2世（1285-1309）であった。シチリア島で捕らえられ、死刑を宣告されたとき、夜中に聖ニコラウスに祈り、夜明けに判決が覆ったことを知ったときの彼の寛大さは、とりわけ鮮烈だった。ナポリに戻ると、彼は贈り物を送り始めた。バシリカに三つの領地を与え、パリの儀式に従った祝典のための典礼写本23冊（うち8冊が現存）と数多くの聖遺物を寄贈した。

ブルボン家からサヴォワ家へ、そして共和国へ

1861年、バシリカはイタリア国王の管轄下に入り、聖座との間に緊張関係が生まれた。最も深刻だったのは1890年で、大司教を重視する傾向にある教皇の変更を阻止するため、国王ウンベルト1世が直接介入した。そして、国がバシリカの資産を売りに出す一方で、内部の管理を委員会に委ねた。

1929年、国家は委員会を通じてバシリカの資産を完全に収集・管理し、バシリカの聖職者の管轄権を教皇に返上した。1951年にドミニコ会の神父たちにバシリカが託され、彼らは今日に至るまでバシリカを大切にし、目覚ましい発展を遂げている。

この後も、公式ウェブサイトを引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

ジャカ・ブック（Jaca Book）PATRIMONIO ARTISTICO ITALIANO『PUGLIA ROMANICA』による平面図です。東が上です。

4. 外観（北側）

中世騎士道の歴史的瞬間の痕跡は、獅子の扉口（Portale dei Leoni）のアーチに見ることができる。

中央の上部には、兵士たちによって守られ閉ざされた門を持つ城がある。その両側には、武装した戦士たちが馬に乗って突撃し、槍を構えているのが見える。これは、サラセン人の長い占領からシチリアを奪い取ったノルマン人の新しい征服精神、あるいはより直接的には、ボエモン1世によるアンティオキア征服（1098年）を表現しているのかもしれない。

騎士たちの上には、幻想的な生き物たちが彫られています。

ハルピュイア。

5. 外観（西側）

西に行きます。

エリア（Elia）が取り組んでいた上部教会の建築は、バーリから数キロ離れたオニッサンティ・ディ・ヴァレンツァノ修道院（monastero di Ognissanti di Valenzano）を創設したエウスタツィオ修道院長（abate Eustazio）によって続けられた。

ボエモン1世が教皇パスカリス2世に取り次いだおかげで、バーリの大司教から免除を得ると、エウスタツィオはすぐに仕事に取りかかり、12世紀の最初の20年間で、中央扉口の彫刻装飾と上部教会の主祭壇のチボリウムを制作した。

通常、柱を背負うのはライオンですが、こちらでは牛が活躍しています。

アーチの中央には、戦車に乗る勝者が彫られているようです。

6. 内観（上部教会）

教会の中に入ります。

三つの横アーチは、1456年の大地震の後、構造を強化するために作られたもので、アラゴン時代のものである。17世紀にはバロックの季節が到来し、バシリカは新しい芸術的嗜好に完全に従った。17世紀の主な作品は、身廊と交差部のヴォールトである。

内陣には、12世紀の最初の20年間に制作された主祭壇のチボリウムがあります。

7. 内観（地下聖堂）

地下聖堂に行きます。

聖遺物を聖人に捧げられた教会に望む人々と、聖遺物を大聖堂に求める大司教との劇的な対立の後、ようやく平和が訪れ、両者は新しいバシリカの建設をベネディクト会修道院長エリア（Elia）に委ねた。1089年9月には地下聖堂、すなわち聖遺物が保管される地下教会の準備が整った。修道院長エリア（ウルソーネの後任としてバーリの大司教に選出されていた）とボエモン公は教皇ウルバヌス2世を招待した。そして、1089年10月1日、教皇ウルバヌス2世はバーリを訪れ、現在も聖遺物が安置されている祭壇の下に聖遺物を安置した。

柱頭彫刻をひとつご紹介します。

南面の鳥たちだけが、くちばしを寄せ合っています。

Basilica San Nicola。11世紀から聖ニコラウスの聖遺物を持つ有名なバシリカです。獅子の扉口（Portale dei Leoni）と地下聖堂の柱頭の彫刻が素晴らしいです。ファサードの中央扉口とチボリウムも良いです。

・

・

・