リウ(Rioux)

2024年4月30日(火)、最初に訪れたのはRioux、Église Notre-Dame de Riouxです。

ここは、外観、内観ともに後陣が素晴らしいです。ファサードにもロマネスク様式が残っています。

私は事前に役場(mairie)に4月30日に教会が開いているかを尋ねました。返信があり「教会はその日に開いているし、役場(mairie)の隣だから大丈夫」とのことでした。

目次

1. Rioux へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(後陣) .
5. 外観(南壁の落書き) .
6. 外観(ファサード) .
7. 内観 .

1. Rioux へ

リウ(Rioux)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏シャラント=マリティーム県の村です。同県のあたりはサントンジュ(Saintonge)地方と呼ばれます。この村は、同地方の最大都市サント(Saintes)の約14km南西にあります。

北東側外観

教会は、村の中心の役場広場(Pl. de la Mairie)にあります。

2. 概要

教会の中に小冊子が売られていました(€4)。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の支線の一つ、トゥールからタルモンポワティエオルネーサントを経由)にかけての道沿いに位置する現在の教会(ロマネスク様式の部分)は、1160年頃、それ以前(11世紀頃か)の小さな教会の基礎の上に建てられた。

人口は多かった。交易と巡礼によって、多くの旅人がこの地方を往来した。修道院(abbayes )や小修道院(prieurés)は、その収入と影響力によって地方の教会建築の拡大に貢献した。

クリュニーの修道士たちによって建設され、1096年に教皇ウルバヌス2世によって献堂されたサントの Saint Eutrope 教会は、身廊に対するクワイヤの大きさ、後陣の建て方など、リウ(Rioux)の建築家たちの模範となった。

ロマネスク様式の終焉とされるこの時期(1160年)は、サントンジュのロマネスク芸術の絶頂期でもあった。リウ(Rioux)の教会と双璧をなすレトー(Rétaud)の教会は、外観装飾の豊かさという点で、これを完璧に示している。テナック(Thénac)の石切り場から採れる石という素材が、彫刻家たちのあらゆる自由を可能にしたのである。

レトー(Rétaud)の教会は、この教会からわずか5kmの距離にあり、後陣が似ています。

平面図をご覧になればお分かりのように、この教会はその後数世紀にわたって、重要な変更が数多く加えられた。13世紀初頭には南側に礼拝室が追加され、15世紀には北側にゴシック様式のリブ・ヴォールトを持つ礼拝室が建てられ、身廊の第1柱間の上にはゴシック様式の鐘楼が追加された。その基部はファサードの扉口の東に玄関間を形成している。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

案内板による平面図です(小冊子にも同じ図が使われていました)。東が右です。

案内板より

黒色の部分が、ロマネスク様式のオリジナルのプランです。

三つの柱間を持つ単身廊に、交差部、クワイヤと後陣が続きます。交差部の柱は身廊の柱よりも負荷に耐える造りですから、当初は交差部の上に鐘楼があったのかもしれません。

4. 外観(後陣)

東に行きます。

後陣が美しい。

東側外観

下段には鱗模様や杉あや模様。

中段には五つの窓があり、その装飾は、さらに手が込んでいます。

上段にはアーケードがあり、28個の盲アーチに繊細な装飾があります。

南東側外観
北側外観

軒下には、持ち送り、柱頭やメトープ(浮彫石板)が存在感を与えています。

いくつかご紹介します。

弓を持つケンタウロス、だと思います。

その隣の持ち送りは、同様の持ち送りの組み合わせがレトー(Rétaud)にあるので、矢を射られた牡鹿かもしれません。

弓矢を持つケンタウロス

顔、顔、顔。

顔、顔、顔。

向かい合う四足獣たち、だと思います。

向かい合う四足獣たち

歯がいっぱい並んでいて、かわいい。

5. 外観(南壁の落書き)

南に行きます。

ファサード近くの南壁にある落書きをみます。

15世紀の控え壁の解体により、この騎馬像とその周囲の幾何学的な線描が発見された。誰が作ったのであろうか?ひとつの可能性は、巡礼者たちである。

南壁の落書き

15世紀の控え壁が隠していたということは、それ以前に描かれたものでしょう。馬に乗る人物や幾何学模様が確認できます。

6. 外観(ファサード)

西に行きます。

ファサードをみます。

西側外観

アーケードの中央に聖母子像があります。

聖母子像

この聖母子像(12世紀後半)は、ビザンチン起源で、ホデゲトリア型であるが、非常に西洋的なロマネスクの考え方に従って再解釈されている。

「ホデゲトリア型」は、正面をむく聖母立像の斜め横(通常は左腕)に嬰児イエスを配した全身像の聖母子表現です。

7. 内観

教会の中に入ります。

交差部の柱は、身廊の柱に比べ、負荷に耐える造りです。もし、当初は交差部の上に鐘楼があったのなら、レトー(Rétaud)のように美しい八角形の鐘楼だったかもしれません。

身廊にて東を向く

後陣が美しい。

交差部にて東を向く

五つのアーチを支える6本の柱のうち、中央の4本がジグザグです。

もしかすると、エデンから流れ出る四つの川(旧約聖書『創世記』2章)を表しているのかな、と思いました。

Église Notre-Dame de Rioux。外観、内観ともに後陣が素晴らしいです。ファサードにもロマネスク様式が残っています。

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