2023年9月24日(日)、五番目に訪れたのはSaint-Donat-sur-l’Herbasse、Collégiale Saint-Pierre & Saint-Paul です。
ここは、回廊の西ギャラリーに残る彫刻がいいです。
回廊には、鐘楼のポーチを通って行くことができます。
Saint-Donat-sur-l’Herbasse では、2か所に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Chapelle Saint-Michel
<2> Collégiale Saint-Pierre & Saint-Paul
目次
1. Saint-Donat-sur-l’Herbasse へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 回廊と鐘楼 .
1. Saint-Donat-sur-l’Herbasse へ
サン=ドナ=シュル=レルバッス(Saint-Donat-sur-l’Herbasse)は、フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ドローム県にある町で、リヨンの約74km南、ヴァランス(Valence、ドローム県の県庁所在地)の約25km北東にあります。
Collégiale Saint-Pierre & Saint-Paul は Chapelle Saint-Michel の南隣にあります。
そして、鐘楼のポーチから回廊に行くことができます。
鐘楼のポーチからは、回廊だけでなく、教会にも行くことができます。教会は夏期は毎日9:30〜18:30、冬期は毎日9:30〜16:30に開いています。
2. 概要
教会の外に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
894年に書かれた文献には、Sainte Marie または Saint Donat に捧げられた教会が Vicus Jovinziacus にあったという記述がある。この教会には、リュール(Lure)山地の隠修士であった Saint Donat の聖遺物が納められていた。
グルノーブル司教は、ここに律修司祭たち(chanoines)と小修道院長(prieur)からなる共同修道会(chapitre communauté collégial)を設立し、司教の名において宗教的奉仕、施し、司牧の責任を負わせた。1106年、律修司祭たちは聖アウグスティヌスの規則に従い、ピエモンテ(イタリア)のウルクス(Oulx)管区の下に置かれた。
もともとはロマネスク様式の教会で、砂岩で建てられている。堂々とした鐘楼とポーチがあり、その第一層は13世紀に建てられた。14世紀末から15世紀初頭にかけて、クワイヤがゴシック様式に改築され、二つの祭室が増築された。1562年の宗教戦争の際、教会は略奪され、聖人の遺品や貴族の墓が荒らされた。
1771年に小教区教会(église paroissiale)となり、フランス革命の最中の1793年に町に買い取られた。1865年、教会は聖ペトロと聖パウロの庇護下に置かれ、説教壇は1860年に、クワイヤは1880年頃に改修された。1939年から1940年にかけて、手狭になり老朽化の進んでいた身廊は取り壊されて完全に再建され、オリジナルの北扉口も撤去された。1962年にバッハ音楽祭を主催したジャン=セバスチャン・バッハ国際音楽センターは、1968年から1971年にかけて現在のバロック・オルガンを建設させた。教会は1906年から、鐘楼は1956年から歴史的建造物に指定されている。
回廊と鐘楼にロマネスク様式が残っています。
3. 平面図
ゾディアック(Zodiaque) la nuit des temps の『Dauphiné Roman』による平面図です。東が上です。
黒色部分が12世紀、斜線部分が14世紀〜15世紀、白色部分が新しいもの。
教会にはロマネスク様式は残っていません。回廊と鐘楼をご紹介します。
4. 回廊と鐘楼
鐘楼のポーチを抜けると、回廊の西ギャラリーがあります。
四つのアーチの下には角柱があり、一部の大きな角柱には丸彫りの彫像があります。
主な遺構は、ここ西ギャラリー。
その他の遺構は、東ギャラリーの建物側の壁の一部と、鐘楼の下層の一部です。
鐘楼の上の層や、回廊の西ギャラリーの上の階は、ロマネスク期より後の時代のものだと思います。
西ギャラリーを詳しくみます。
こちらのコーニス(軒と壁の頂部における帯状装飾)には、獲物のウサギをつかんで飛ぶ鷲が描かれているようです。
そして、その下に円形の彫刻があり、ハンマーとトングを持つ人物が描かれているようです。鍛冶屋でしょうか。
こちらの円形の彫刻は、二匹の蛇に食われる裸の女性が描かれているようです。
おおきな角柱には、禿頭に裸足で聖句を持つ人物が彫られています。まるで聖パウロですが、頭の後ろには植物があるばかりで、光背がありません。いったい何者?
謎の人物の隣には、音楽家が描かれています。
足でリズムをとっているのでしょうか。彫刻の保存状態は良くありませんが、楽しそうに演奏している様子が伝わります。
音楽家は、北西の角柱だけでなく、南西の角柱にも描かれています。
ガニ股は、椅子に座っているからかも。左手に弓を持ち腕を大きく動かしながら演奏しているようです。
ガニ股の音楽家の左隣には、アダムとエバ。
ガニ股の音楽家の右隣には、聖人。
聖人が左手に持つ本に書かれた文字は「….ロメウス(LOMEVS)」と読めます。聖バルトロマイかもしれません。
回廊には、ロマネスク様式ならではのテーマ(悪徳、日々の労働、旧約聖書の場面、聖人など)が描かれていると思います。
そんな中で、音楽家たちが大きく、いきいきと描かれていることに驚きました。
Collégiale Saint-Pierre & Saint-Paul。回廊の西ギャラリーに残る彫刻がいいです。
・
・
・