2023年8月19日(土)の最後、四番目に訪れたのは Cemmo。サン・シーロ教会(Pieve di San Siro)です。
ここは、川岸の崖にそびえる後ろ姿に目を奪われます。主扉口と地下聖堂も素晴らしいです。
2023年は、4月〜10月の土曜と日曜、15:00〜18:00に開いていました。
目次
1. Cemmo へ .
2. 概要 .
3. 縦断面図 .
4. 南側外観 .
5. 内観 .
6. 東側外観 .
1. Cemmo へ
私はテリオ(Teglio)から南東に約60km、70分ほど運転して、墓地の駐車場(Parcheggio cimitero)に車を停めました。
教会まで、南東に約350メートル、5分くらい歩きます。
教会に着きました。
16:00頃のことです。
2. 概要
教会の外には案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
ロマネスク様式の建物内部には、ローマ時代の断片が保存されており、異教の礼拝所が存在していたことを示唆している。
教区教会へと続く階段のふもとには6~7世紀のキリスト教の碑文が刻まれている。また、地下聖堂には7世紀の遺構が残っており、ロンゴバルド支配の時代と関連している。ロンゴバルド人は、この教会をパヴィアの初代司教でありロンバルディアにおけるキリスト教信仰の伝道者であった聖シーロに捧げることを決めたのである。
現在の建物は11世紀末にコモ出身の熟練工によって建てられた。三つの身廊と三つの後陣を持つバシリカ式で、地下聖堂の上に内陣がある。建っている場所の地形的な凹凸が、不規則な外周と、南側に正面入口がある配置を決定づけた。
この後も、案内板を引用するときに太字で書きます。
3. 縦断面図
現地には平面図が見当たりませんでした。ジャカ・ブック(Jaca Book)PATRIMONIO ARTISTICO ITALIANO『LOMBARDIA ROMANICA VOL II』による縦断面図です。
東が右です。
4. 南側外観
教会の東は崖になっています。オリオ(Oglio)川とカーポ・ディ・ポンテ(Capo di Ponte)の町を望みます。
教会の南壁には扉口が二つあります。
向かって右の小さな扉口は、聖職者用でした。
主扉口は南側廊に通じています。信者用でした。
ルネッタの両側には翼のあるドラゴンのような生き物が2匹と鷲が1羽描かれていて、中央には天使が1人います。
6枚の翼は熾天使(Seraph)の特徴です(『イザヤ書』6章2節)。
でも、智天使(Cherub)の特徴も持っています。翼の下にある人の手と、たくさんの目です(『エゼキエル書』1章8節と18節)。
(ところで、1人の天使なので単数形(Seraph、Cherub)で書きましたが、複数形は(Seraphim、Cherubim)です。)
ラテン語の碑文は「hinc ds intrantes ad te benedic properantes」と読めます。ds は Deus かもしれません。Google 翻訳によると「From here God bless those who enter and hasten to you(ここから入りあなたのもとへ急ぐ人たちに神のご加護がありますように)」と書いてあるようです。
門番は智天使(Cherubim)の特徴です。
『創世記』3章24節
神は人を追放し、命の木に至る道を守るため、エデンの園の東にケルビムときらめく剣の炎を置かれた。
なんにせよ、天使の手は祝福するような仕草ですし、最上位級の天使に見守られて天上に行きたい信者たちを応援している印象です。
がんばれ、信者たち。
柱頭に目をやると、オリオ(Oglio)川の向こうにある Chiesa del Monastero di San Salvatore で見た、プクプクと丸っこい二股人魚たちが、ここにも。
かわいい。
同じ石工が手がけたものかもしれません。
5. 内観
教会の中に入ります。
北側廊には大きな洗礼盤があります。
柱頭彫刻には、幻想的な生き物や植物が描かれています。
南側廊から、地下聖堂に行きます。
崖に造られているので外光がたっぷり入って明るい。
静謐な中、簡素な柱頭彫刻が素晴らしいです。
6. 東側外観
私は教会の中の見学を終えてホッとしたところで、教会の東側を見ようと、オリオ(Oglio)川にかかる橋に来ました。
主後陣は、アーチを持つ窪みが並んで、冠のようです。
重量を軽くする工夫ですが、こうしてみると、とても美しい。
チェンモ(Cemmo)のサン・シーロ教会(Pieve di San Siro)。川岸の崖にそびえる後ろ姿に目を奪われます。主扉口と地下聖堂も素晴らしいです。
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