コルツォネゾ(Corzoneso)

2023年8月10日(木)、最初に訪れたのは Corzoneso、Chiesa di San Remigio です。

ここは、美しい風景の中に佇む姿がまるで絵画のように素敵です。中にはフレスコ画と漆喰細工の祭壇があります。

基本的に閉まっています。近所の鍵守りのお宅、または、cancelleria Comunale di Dongioで鍵を借りられます。両方の電話番号が教会の近くの案内板に書いてあります。

目次

1. Corzoneso へ .
2. 概要 .
3. 平面図
4. 内観 
5. 外観 . 
脚注(1) 聖クリストポルス ..

1. Corzoneso へ

私は Vacation Home から北に約43km、37分ほど運転して、のどかな村にある大きな木が目印の家に着きました。10:15頃のことです。

鍵守りのシニョーラの家から、190メートルほど南に歩くと、教会があります。

北側遠景

小川(Riale di Casserio)のせせらぎの向こうに、花と緑に囲まれたロマネスク教会が佇んでいます。

私は、素晴らしい光景を見て、すっかりうれしくなりました。

2. 概要

教会の内外に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

二つの後陣を持つロマネスク様式の教会は、1249年に記録されているが、11世紀中頃のもので、13世紀中頃に増築され、17世紀に改築された。

13世紀の後期ロマネスク様式のフレスコ画が、主後陣と身廊の右壁に残されている。
最後の修復(1943年~1946年)まで、16世紀後半から17世紀初頭にかけて描かれた壁画によって隠されていたが、現在は修復されている。

11~12世紀のロマネスク様式の漆喰の使徒像が2体ある祭壇は、1940年代に再建された。

この後も、案内掲示を引用するときは太字で書きます。

3. 平面図

教会の中にあった案内掲示による平面図です。

教会の中にあった案内掲示による平面図

黒色が11世紀、赤色が12世紀の構造。
青色が16世紀、緑色が17世紀、灰色が18世紀の改築。

では、見学しましょう。

4. 内観

教会の中に入ります。

身廊にて東を向く
身廊にて南東を向く

主後陣と南壁に13世紀のフレスコ画があります。

主後陣の中央には「Majestas Domini」、その両側には四福音書記者の象徴が描かれています。

主後陣

主後陣の下段には、十二使徒が丁寧に描かれています。

十二使徒
十二使徒
十二使徒
十二使徒

内陣には、祭壇があります。

11~12世紀のロマネスク様式の漆喰の使徒像が2体ある祭壇は、1940年代に再建された。

祭壇

南壁には「聖クリストポルス」(1)

甘く、優しい顔をしています。

「聖クリストポルス」.

私は足元に魚がたくさん描かれているところが好きです。

5. 外観

外に出ます。

北東側外観

絵に描いたような、美しい世界が広がっていました。

南東側外観

私は見学を終え、鍵守りのシニョーラのお宅に鍵を返しに行きました。

シニョーラは、笑顔で「美しかったかしら?」と私に尋ねました。

Chiesa di San Remigio。美しい風景の中に佇む姿がまるで絵画のように素敵です。中にはフレスコ画と漆喰細工の祭壇があります。

脚注(1) 聖クリストポルス. ↩️

13世紀にヤコブス・デ・ウォラギネが書いた『黄金伝説』(前田敬作・西井武訳)の記述によれば:

クリストポルスは、洗礼を受けるまではレプロブスという名であったが、受洗後クリストポルス(Christophorus)とよばれるようになった。<キリストをになう者>という意味である。

訳註によると、452年9月22日カルケドンである教会が彼にささげられたことが碑文からわかっているので、実在の殉教者であることは、ほぼ確実なのだそう。

カナアンの庶民の出で、巨大な体驅といかつい面貌の持ち主で、身の丈は十二キュビトもあった。

訳註によると、1キュビトは45センチメートル。クリストポルスの身長は540cmです。

彼は、この世でいちばん強い王を見つけ出して、その王に仕えようと思いたった。

クリストポルスは、世にならぶものがないほど強いととり沙汰されているある偉大な王に仕えますが、王が悪魔をこわがっているため、悪魔に仕えることにします。しかし、悪魔がキリストを怖れているため、キリストをさがしに出かけます。ある隠修士が、彼に、むこう岸へ渡ろうとして多くの人たちが命を落とす川で、人びとを渡してあげるよう言います。川守りとしてキリストに仕えていた彼は、ある日、ひとりの子供を肩にのせて川に入ります。その子供は、鉛のように重くなります。川を渡りきったとき、子供が言います。

「おどろくことはありません、クリストポルス。あなたは、世界はもとより、この世界を創造した者をも肩にのせたのです。」

たいてい、子供の姿のキリストを肩にのせた姿で描かれます。

いわゆる「十四救護聖人」(危急のさいその名を呼んで代願をもとめる聖人)のひとりです。信者たちは、急死のさいや臨終の秘蹟(悔悛、聖体拝領、終油の三つ)を受けられないようなときに聖クリストポルスの名を呼びます。このため、たびたびペストが大流行した中世の時代にさかんに崇敬されました。

旅人の守護聖人。いまでも交通安全祈願などで人気の高い聖人です。

ところで、訳註によると:

伝承のいちばん原初的な形は、レプロブス(Reprobus)という犬頭人身の人食い族がキリスト教の洗礼を受けてクリストポルスとよばれ、同時に人間の言葉を解するようになるという説話であったという。この犬頭のレプロブスがカナアン生まれの巨人とされるようになったのは、西欧の伝承においてであって、犬(canis)をcanaanに置きかえたのであろう。犬もカナアンも、下賤なもの、野蛮なものの代名詞であり、侮蔑の意味がこめられている。レプロブス(Reprobus)という名前も、reprobare(なじる、拒斥する)という動詞から来ている。

私は犬頭の聖クリストポルスはなじみがありませんが、いつかどこかで見かけるかもしれません。

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