バルセナ・デ・ピエンサ(Bárcena de Pienza)

2023年5月11日(木)の最後、五番目の訪問地は Bárcena de Pienza。Cementerio (antigua iglesia de Nuestra Señora de la Asunción) です。

ここは、廃墟となった教会です。現在は墓所として使われています。内陣と後陣に素晴らしいロマネスク彫刻が残ります。

目次

Bárcena de Pienza へ .
概要 .
平面図 . .
東側外観(窓、持ち送り) . .
内観(内陣、後陣) . .

Bárcena de Pienza へ

私はベルセド(Bercedo)から南に約12km、13分ほど運転して、農地の中で停車しました。15:00頃のことです。

この辺りのはずだけど???

私はスマホでGoogleマップの航空写真を見て、ここから行けるに違いない、と思いました。

砂利道(Pob. Bárcena de Pienza)から東に伸びる道があります。

東に伸びる道を進むと、120メートルくらい先に、アーチのある建物が見えました。

西側遠景

私は、細い川を越え、どんどん進みました。

到着です。

南西側外観

西側には灰色のコンクリートで墓が増築してあり、身廊の屋根は崩落しています。

ロマネスク様式の装飾が残るのは内陣と後陣だけのようです。

概要

現地には案内板は見当たりませんでした。Románico Digital による概要です。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。

旧教区教会は、Bárcena の町の北東300メートルにあり、平地の中の小島のように建っていた。その遠さ、廃墟のような状態、冬の洪水による浸水のため、1791年、村人たちは大司教座の訪問者に、この建物を取り壊し、村の中心部に新しい建物を建てる許可を求めた。許可は下りたが、19世紀半ばにはまだ教区教会だったようだ。

(中略)どちらの職人も、12世紀末に Las Merindades、特に Losa Mena で、これまで述べてきたような最も重要な建築物が建てられていたのと同じ環境で働いていた。
Bárcena の場合、少なくとも装飾的な資料という点では、Siones が最も近いと思われるが、両作品に同じ人物が関わっていたとは思えない。

12世紀末に建てられたロマネスク建築で、19世紀半ばまでは教区教会だった建物のようです。

平面図

現地には平面図が見当たりませんでした。Románico Digital による平面図です。東が右です。

Románico Digital による平面図

さっそく、見学です。

東側外観(窓、持ち送り)

東側に行きます。

南東側外観

後陣には三つ、内陣には二つの窓があります。

また、後陣や内陣の軒下には、持ち送りや柱頭に彫刻があります。

東側外観

私が注目したのは、軒下の柱頭彫刻です。合計四つあります。

柱頭1: 兵士と馬、だと思います。内陣南にあります。

柱頭1(内陣南)

柱頭2: 動物たちが、X字の間に描かれています。後陣南にあります。

柱頭2(後陣南)

柱頭3: カイト・シールドを持つ6人の兵士。後陣北にあります。

柱頭3(後陣北)
柱頭3(後陣北、別角度)

不思議なことに、隣には、似ているけれど少し違う彫刻があります。

柱頭4: 円形の盾を持つ5人の兵士。内陣北にあります。

柱頭4(内陣北)

カイト・シールドを持っているのはキリスト教徒で、円形の盾を持っているのはイスラム教徒かもしれません。

内観(内陣、後陣)

南扉口から、旧教会の中に入ります。

身廊にて北東を向く

身廊部分は、屋根が失われ、墓地として使われています。

身廊にて南東を向く

内陣と後陣は、保存されています。

内陣にて北を向く
内陣にて東を向く
内陣にて南を向く

窓について、私が気づいたのは、後陣中央の窓の柱頭です。この柱頭は、その特徴的なデザインがシオネス(Siones)エスカランテ(Escalante)の柱頭を思い出します。

後陣中央の窓の柱頭
Siones
Escalante

でも、彫刻は、バレヨ(Bareyo)エスカランテ(Escalante)で見たものに似ていません。人物や動物の描き方が異なります。

窓以外の場所の柱頭をみます。

勝利アーチの北側は、2頭の一角獣を抱く男性、2頭の四足獣、それらの間に、男性と小さなネコ科の動物が描かれています。

勝利アーチの南側は、主に植物が描かれています。

勝利アーチ北
勝利アーチ南

後陣北には、右手で剣を振り上げる騎士ともう1人の人物が描かれています。

後陣南には、6人の男性の顔が並んでいます。

後陣北
後陣南

四つの柱頭は、それらの上のアバクス(柱頭の上に置かれてアーチを支える部分)を含めて、繊細で立派な彫刻が施されています。

Cementerio (antigua iglesia de Nuestra Señora de la Asunción) 。廃墟となった教会です。現在は墓所として使われています。内陣と後陣に素晴らしいロマネスク彫刻が残ります。

“バルセナ・デ・ピエンサ(Bárcena de Pienza)” への2件の返信

  1. こちらに初めて書き込みします。6月にこの旧教会を見てきました。写真とずいぶん違たい回りの草木の成長がすごくて立ち入る事が大変でした。後陣まわりは草茫々で、それと扉に鍵をかかっており中に入る事が出来ず、残念でした。彫刻はよろしいかと思いましたが、行くのなら時期を選ばないといけませんね。掲載の写真はとても良く撮れています。

    1. コメントありがとうございます。

      6月の草ぼうぼうには敵わないかもしれませんが、5月も写真の印象より茂っていました。けがや虫刺されを防ぐため、私のロマネスク巡りにはゴム長靴が役に立っています。

      鍵がかかっていたとは。。。私が行ったとき(一年前)は、施錠されていない古びた木扉があるだけでした。新しい情報ありがとうございます。

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