2023年5月3日(水)、三番目の訪問地は San Martín de Elines。Colegiata de San Martin de Elines です。
ここは、外観では身廊、内陣、後陣とランタン、内観では回廊、交差部、内陣と後陣が素晴らしいです。
2023年現在、訪問はガイドツアーでのみ可能です。通常、ガイドツアーは土曜、日曜、祝日の12:00と17:00に行われます。でも、私は事前にGoogleマップに掲載されている電話番号にWhatsAppして5月3日(水)に予約しました。夏は、火曜を除く毎日、11:00〜14:00と、17:00〜20:00に開館します。一年を通して、訪問は有料(€2)です。
Colegiata de San Martin de Elines については、以下のように2回に分けて書きます。
<1> 外観
<2> 内観
目次
San Martín de Elines へ .
概要 .
平面図 . .
南側外観(全体) .
持ち送り1〜27(身廊の南)
持ち送り28〜34(内陣の南) .
持ち送り35〜52(後陣) .
持ち送り53〜70(ランタンの東) .
持ち送り71〜74(内陣の北) .
持ち送り75〜86(ランタンの北) .
東側外観(後陣の窓) ..
San Martín de Elines へ
私はビジャヌエバ・デ・ラ・ニア(Villanueva de la Nía)から東に約22km、24分ほど運転して、山間の村に着きました。15:20頃のことです。
牧歌的な景色が広がります。
ガイドと約束した16時まで時間があるので、ゆっくりと外観を見学しながら待ちます。
概要
ガイドから聞いた話について、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
教会は、カンタブリア南部のValderredible渓谷、Ebro川沿いにある。
当初は修道院の一部であった教会は、後にブルゴス教区の管轄下にある参事会教会(colegiata)となった。現存する教会は、12世紀初頭にロマネスク様式で建てられた。回廊の北側の壁には、モサラべ様式のアーチや窓が残っており、おそらく9~10世紀頃に建てられたものと思われる。
この後も、ガイドから聞いた話を引用するときは太字で書きます。
平面図
現地には平面図が見当たりませんでした。Románico Digital による平面図です。東が右です。
さっそく、見学です。
南側外観(全体)
身廊の南に27、内陣の南に7、後陣に18、ランタンの東に18、内陣の北に4、ランタンの北に12、、、合計86の持ち送りがあります。
分かりやすくなると思うので、通し番号をつけます。
持ち送り1〜27(身廊の南)、
持ち送り28〜34(内陣の南)、
持ち送り35〜52(後陣)、
持ち送り53〜70(ランタンの東)、
持ち送り71〜74(内陣の北)、
持ち送り75〜86(ランタンの北)
身廊の南から順に86全部をみます。
持ち送り1〜27(身廊の南)
身廊の南壁の軒下に持ち送りが並びます。
1:クマ、3:右手で祝福し左手に十字架を持つ天使。
天使の表情が優しそうです。
7:魚、9:ヒツジ、10:女性、11:ヤギだと思います。
13:足の間に人を抱えるワシ、14:シカ、15:サル。
ワシの表情が愛らしすぎ。
私は、3の天使と、13のワシが好きです。かわいいから。
持ち送り28〜34(内陣の南)
28〜34をみます。
31:動物、32:東を向く動物、33: 人を食う動物、34:2人の人物
34は、何をしているんでしょう?
2人は足を交差させ、向かって右の人は向かって左の人の右腕を持っています。向かって左の人は、左手で、向かって右の人の背中を触っています。
もしかして、素手で戦ってる?
素手で戦ってると思った理由は、教会の中の後陣で見た柱頭彫刻に似た構図があったからです。次回に教会の中を見学しますから、詳しく書きます。
持ち送り35〜52(後陣)
35〜52をみます。
後陣:35〜52の中で、私が気になったのは、40:荷物を背負う男性と、44:豚。
荷物を背負う男性が舌を出しているのが面白いです。
豚は、尻尾や両脚などの細部が丁寧に仕上げられていることがわかります。
持ち送り53〜70(ランタンの東)
53〜70をみます。
ああ、この持ち送りは、ここにあったのね。。。
58: 髭の男性です。
写真で何度も見たことがありました。
持ち送り71〜74(内陣の北)
71〜74をみます。
内陣の北:71〜74で気になったのは、74: 動物と男性。
男性が歯を出して笑っているように見えます。
持ち送り75〜86(ランタンの北)
北側には、木立があります。
ランタンの北:75〜86は、はっきり見ることが難しかったです。
持ち送り全86個を眺めました。
持ち送りには、建築的な役割もあるが、それ以上に重要なのは、教えを説く役割である。その象徴学を通して、持ち送りの彫刻は当時の宗教的価値観を教えてくれる。当時の社会は神と宗教を中心にすべてが成り立っていた。村では読み書きができず、「学ぶ」ことは図像を通して行われた。教会には86の持ち送りがあり、すべてに多様な意味が込められている。シカ、ワシ、ライオン等は神性を表す。一方、ヤギは悪魔を象徴する。中世には、教会は「大罪」を裁く裁判を行う裁判所の役割も果たしていた。
持ち送りは重要な役割をになっていたようです。
東側外観(後陣の窓)
後陣の窓の装飾も、見逃せません。
私は、特に、中央の窓の彫刻が好きです。
アバクス(abacus、柱頭の上に置かれてアーチを支える部分)の繊細さ、柱頭の何とも言えない愛らしさ。
外観の見学は終了です。
次回、内観を見学します。
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