2022年8月16日(火)、最初に訪れたのは Saignes。Église Sainte-Croixです。
ここは、持ち送り、柱頭、柱のベースに、魅力的で謎めいた彫刻が残ります。
Saignes へ
夫と私は宿から西に38分ほど車を運転して、活気ある村に着きました。10時半頃のことです。

教会の西にある広場では、市場に人が集まっていて、

教会の南にあるブラスリーでは、大人数の予約の準備をしていました。

教会の中に入ります。
Église Sainte-Croix の概要
教会の中に本がありました。

一部を抜粋・編集して太字で和訳します。
建築
教会は、かつて聖アンデレに捧げられ、現在は聖十字架の名の下にある。12世紀に建てられ、当初は、三つの柱間からなる単一の身廊と、それに続くクワイヤ、半円形の後陣で構成されていた。
17世紀、最初の柱間に二つの翼廊が追加された。北側のものは1624年、第二のものはおそらく1637年に追加されたと思われる。19世紀にかけて、鐘楼と天井の修復などの改築が行われたが、ロマネスク様式の部分はほぼそのまま残されている。
彫刻
豊富で顕著な彫刻装飾は、オート=オーヴェルニュでよく見られるように、柱頭、後陣の持ち送り(身廊の持ち送りはすべて近代的)、柱のベースに見られるものである。すべての柱頭に彫刻が施されているが、身廊の四つの柱頭は1900年頃の修復の際につくられたものの可能性がある。
どの彫刻が12世紀のものであるかについては、諸説あるようです。
フロアプラン
教会の中の本にフロアプランがありました。東が上です。

さっそく、教会の中をみます。
Église Sainte-Croix の内観:全体
教会の中の、全体の様子。

柱頭や柱のベースに彫刻がたっぷりです。
柱のベース
クワイヤの柱のベース。端正。

身廊の柱のベース。口をかみあっています。

よく似た彫刻。

同じく、身廊の柱のベース

ベースは目立たない部分なのに、手をかけるのがすごい。
身廊の柱頭彫刻
教会に置いてあった本の著者が、1900年頃の修復の際につくられたと考えている四つです。

向かい合う動物たち

蛇と女

十字架と羊たち

たしかに、これらの四つはクワイヤの柱頭彫刻とは随分ちがいます。
クワイヤの柱頭をみます。
クワイヤの柱頭
水の上にいるんでしょうかね、この動物たち。

アバクス(abacus、柱頭の上に置かれてアーチを支える部分)にも、凝った装飾があります。

単純化されているのに、不思議と生き生きしてみえます。

教会の中に置いてあった本に、これらのクワイヤの柱頭が、近くの村(Champagnac)の教会の柱頭によく似てるって書いてありました。いつの日にか、行ってみようと思います。
外をみます。
Église Sainte-Croix の外観
西扉口には、柱頭彫刻が残っています。身廊の持ち送りは新しいもの。

鐘楼(北西側)に磔刑図が埋め込まれています。顔に伸ばした腕が、ぐにゃり。

おたのしみの、後陣。
南側。



東側。




最後に北側。

いちばん注目されて、「キス(baiser)」と呼ばれている持ち送り。
でも、謎が多いんです。

向かって右の人の両脚の間に、短髪でチュニックを着てベルトをしている人がいます。男性っぽいです。
男性は、両手で、向かって右の人を抱き寄せています。

向かって右の人は、右手を回して、男性の右肩を抱き寄せています。ここまではオッケー。
まず、分からないのは、向かって右の人の性別です。
顔を一周するような頭髪+髭を持つのかもしれません。その場合は、2人は男性同士のカップルってことになるかも。でも、私には、何かを頭に装着した女性のように見えます。女性ってことで話を続けます。
次に、分からないのは、彼女の左手が何を持っているのか。
向かって左の人の膝のあたりで、丸いものを持っているんです。女性は、自身の左脚を上げて、その下から左手を伸ばしています。

もしかすると、子宝を授かることを暗示しているのかも。
Église Sainte-Croix。持ち送り、柱頭、柱のベースに、魅力的で謎めいた彫刻が残ります。
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