2022年8月12日(金)、四番目に訪れたのは Besse-et-Saint-Anastaise。Église Saint-Andréです。
ここは、外観が後代の姿なので期待しないで教会に入ったら、中はすごいロマネスク様式でした。柱頭がいいです。
Besse-et-Saint-Anastaise へ
私はシャンボン=シュル=ラック(Chambon-sur-Lac)から南に16分ほど車を運転して、にぎやかな町に着きました。14時頃のことです。
教会の南には商店が軒をつらねていて、
たいそうなにぎわいです。
オーヴェルニュの特産物とか売ってるし。
なんか買っちゃおうかと思いましたもん。
西扉口をみます。
Église Saint-André の外観:西扉口
12世紀の建築部分。装飾は限定的です。
教会の外に案内板がありました。
Église Saint-André の概要
教会の外にあった案内板の文章は、すごく短いので全文を太字で和訳します。
この教会は、ベスで最も古い建物として知られている。12世紀にロマネスク様式で建てられた。その後、大規模な改築が行われ、他の建築様式も含まれるようになった。町作りの主要な材料となった溶岩流(西側)の上に建てられている。内部では、歴史的建造物である柱頭と間仕切り席が目を引く。
フロアプラン
教会の外の案内板にフロアプランがありました。東が上です。
身廊を中心とした、レモン色の部分が12世紀の建築部分。
教会の中に入ります。
Église Saint-André の内観:全体
これは、すごい!
ロマネスク様式の素晴らしい柱頭がずらっと並んでします。
側廊の柱頭彫刻
側廊から四つご紹介。
ワシたち
天使たち
羊を運ぶ人たち
牛と男の両脇に2人の男たちがいます。
別角度から見ると、男は斧を持っており、その背後には剣を持つ兵士がいます。
もしかして、中央の牛と男を犠牲にするために両脇の男たちが運んでいる図かも。
交差部の柱頭彫刻
クワイヤに近い柱頭彫刻から三つご紹介。
つながれた猿
ミノタウロスたち。頭から生えてるのは、牛の耳と角と思います。
首と顔だけ白っぽくて、彫りも違います。ここは、たぶん後代のつけ足し。
聖アンデレ(この教会の守護聖人)の磔刑。
こちらも一部(特に首と顔)だけ白っぽくて、彫りも違います。たぶん後代のつけ足し。
十字架がラテン十字形です。
聖アンデレといえば、「『イエス様と同じでは恐れ多いので、斜めにしてください』と言ってX字形の十字架にかけられた」という伝承があります。
例えば、ソルセ(Saulcet)のゴシック様式の壁画には、アトリビュートとしてX字型の十字架を持つ聖アンデレが描かれていました。
でも、こちらのロマネスク様式の柱頭彫刻ではラテン十字形の十字架です。そして、手足をしばる三つの縄がX字型なのが印象的。
身廊の柱頭彫刻
最後にご紹介する身廊にも、素晴らしい柱頭彫刻がずらり、なんですが、、、
ただ、欲を言うと、このケーブルが別の位置だったら良いなあ。残念。
「金持ちとラザロ」(『ルカによる福音書』16章)の柱頭彫刻について、順を追って各面をみます。
19節 ある金持ちがいた。いつも紫の衣や柔らかい麻布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。
20節 この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの貧しい人が横たわり、
21節 その食卓から落ちる物で腹を満たしたいものだと思っていた。犬もやって来ては、そのできものをなめた。
22節 やがて、この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。
天使たちに連れて行かれるラザロの魂。赤ちゃんのようですが、魂です。
悪魔たちに連れて行かれる金持ちの魂。
23節 そして、金持ちは陰府でさいなまれながら目を上げると、宴席でアブラハムとそのすぐそばにいるラザロとが、はるかかなたに見えた。
「陰府(よみ)があって、生前ぜいたくすると炎で苦しみもだえちゃう」とか、「生前悪いものを受けると、アブラハムの所で慰められる」とか、教えてくれます。
Église Saint-André。柱頭彫刻がいいです。
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