ドゥーロ(Durro)<2>

Ermita de Sant Quirc de Durro の見学を終え、La Nativitat de Durro に向かいます。東に約2㎞、車で6分の距離。教会の北西の駐車場に車を停めて歩くと

La Nativitat de Durro に到着です。

ここは、さっき行った二つの教会(Assumpció de Cóll や Ermita de Sant Quirc de Durro)と違って、内部見学の環境が整っています。

内部見学が可能な時間は16時から19時まで。

階段の上の扉口を入ると、受付があります。

英語が堪能な受付の女性が、パンフレットを示して分かりやすく教えてくれました。

ボイ谷のロマネスク教会のうち、内部見学にチケットが必要な五か所を「○」で示してくれました。(なお「×」は大きく描いてあるけど内部見学できない場所( 2019年9月現在)です。)

教会五つとロマネスク・センターを見学できるチケットは、一人€10。

買いました。€10のチケット。

早速、教会の内部を見学です。

受付のある場所を背にして内陣を向く
内陣を背にして受付のある場所を向く

階段を使うとロフトの上に行けます。

ロフトの上から内陣を向く

人が立っている所に、教会の案内があります。それによると、

最初に細長い一身廊の教会が建築されたのは12世紀。その後、13世紀にかけ、南側にポルティコが加えられ、翼廊と小後陣が二つずつ加えられ、そして、北側の翼廊は鐘楼に改築されました。

16世紀から17世紀にかけて北側に二つの礼拝堂が加えられました。

18世紀には、拡張のためにポルティコの一部を取り壊し、大きい祭壇画を内陣に設置するために主後陣と南小後陣を取り壊して聖具室を加えました。(← 個人的には、なんてことするんだ!と感じる改築です😢)

2000年頃に行われた修復工事の際、バロック様式のしっくいの下から南小後陣の遺構と主後陣の基礎を戻し、ポルティコをもとの形に戻しました。

南小後陣

これだけ改築が重ねられたわけだから、人の関心と資金が集まる教会なんだと思います。

さて、ロフトには上記の案内の他に、家具や祭壇画(の一部)などが置いてありますが、ロマネスク美術に関係するのは、二つ。

一つ目は、信者席。

全体としてはルネサンス様式(16世紀)なのですが、一部にロマネスク様式(12世紀)のパネルが再利用されています。

向かって左の背もたれ部分の2枚のパネルが、それ。

図案化された簡素な装飾ですが、美しいものです。

二つ目は、こちら。

「十字架降架」(新約聖書の『マルコによる福音書』15章、『ルカによる福音書』23章、『ヨハネによる福音書』19章) の彫刻群の一部です。

十字架降架は、ゴルゴタの丘で磔刑を受け、息を引き取ったイエスの遺体を、十字架から降ろす場面。

彫刻群(12世紀)は7人で構成されていました。

現地の案内掲示(を撮影した画像に私が名前をつけました)

中央が死んだイエスで、その右隣で釘を抜くのがニコデモ、左隣で遺体を抱きかかえようとしているのがアリマタヤのヨセフ。ニコデモの右が使徒ヨハネ、アリマタヤのヨセフの左が聖母マリア。両端がイエスと一緒に死刑にされた二人の犯罪人。

このうち、20世紀初めの段階でこの教会に大切に保管されていたのは、聖母マリアとイエスだけ。聖母マリアは教会の角に、イエスは18世紀の大祭壇の中央に置かれていました、そしてニコデモは、その大祭壇を支える構造の一部として使われていたところを、2001年に再発見されたんです。

現在、聖母マリアはカタロニア国立美術館に移設されています。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona で、2019年9月5日に撮った写真がこちら。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されている聖母マリア(12世紀)

そして、イエスは、スペイン内戦の時に行方不明になりました。

この教会に残されたのは、ニコデモだけ。18世紀に「あんまり重要じゃないから」と大祭壇の支え構造の一部に使われたおかげで生き残った、ニコデモだけです。

少し寂しい感じになってきたので、ここでひとつ、面白いのを。

16~17世紀に北側に加えられた部分。ここにかわいいのがあるんです。

透明な板で保護してあります

近寄ってみると

壁に埋め込まれている石に、落書き

拡大

鳥がいっぱい

人もいるんです

面白い。

さて、教会の外も見てみましょう。

北壁と鐘楼
東側と鐘楼
西側

ポルティコに行きます。

南壁の上にロンバルディア帯があり、美しいんです。

南壁

石の色と市松模様が好印象

上のロンバルディア帯と、その上の市松模様が良い
南扉口(主扉口)

市松模様のアーチの上に、クリスモン(キリストのモノグラム)の浮彫。コーイ(Cóll)の Assumpció de Cóll の主扉口によく似ています。

さらに目を下にやると、錠前に細かい細工があり、なんと、落書きみたいのがあるんです。私は写真を撮り忘れたので「 La Nativitat de Durro lock 」で画像検索してみてください。面白い人や動物たちがいます。

La Nativitat de Durro 、主扉口や十字架降架の彫刻の一部などから、ロマネスクが華やかだった頃をしのぶことができます。

これにて、この日の見学は終了。宿に向かいます。

北西に約3㎞、車で約7分の距離にある、バルエラ(Barruera)へ。

Apartamentos L´Era de Baix
Carrer Major, 24 Bloque D, Barruera, 25527

寝室二つ、風呂トイレ、食堂居間台所、駐車場がついて二泊総額€180。洗濯機や台所用品がそろってて居心地が良いし、とても良い宿でした。

歩いてすぐの範囲にロマネスク教会(Sant Feliu de Barruera)も商店も飲食店もあって便利な立地。だけど、かなりのどか🐓なんです。

宿の近所で🐔が散歩

旅行五日目の9月8日(日)に見学したのは、五箇所。
10. コルサ(Corçà)
11. コルモルテル(Collmorter)
12. コーイ(Cóll)
13. – 14. ドゥーロ(Durro)

毎日まいにち長距離を移動し続けてきましたが、このへんからは近距離を移動しながら珠玉のロマネスク教会を巡ります。

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