2019年GWの旅行五日目、四番目の目的地はCedda。チェッロレ(Cellole)から東に約23km、車で約30分の道のりです。
ここでの目的はチェッダのサン・ピエトロ教会(Chiesa di San Pietro)。基本的に閉まっているので、中を見るには鍵を管理している人に開けてもらいます。以前にここを訪ねた人が「素晴らしい案内をしてもらえた」とブログに書いていたので、お願いして鍵を管理している人の連絡先を教えてもらいました。
鍵を管理している人の名はステファノ(Stefano)。事前に連絡して訪問日程を打ち合わせました。Stefanoはフェイスブック等で「Pieve Romaniche della Toscana e oltre」というサイトを管理しています。このサイトは魅力あふれるロマネスク教会をたくさん紹介していて、サイトを見た私は、本人に会う前から「ぜったい良い人に違いない」と期待してました。そして会ってみたら、そりゃあもう、予想してた以上に素晴らしい人で。
話が前後しますが、会った時、こちらの本をもらったんです。Stefanoがこの教会の案内を書いてます。
その本には、素敵なものが挟んでありました。ヴィコピサーノ(Vicopisano)という町にある、私が好きな彫刻の写真が使ってあって、彫刻部分が浮き出し加工してあるんです。これ、良い!
本によると、13世紀の文書に、ここに修道士のコミュニティがあったことが記録されています。北にフィレンツェ、南にシエナという大都市の間に位置し、ヴィア・フランチジェーナ(Via Francigena)や古代ローマ時代からの街道に挟まれているので、多くの巡礼者にとっての休息の場所だったようです。
この本や現地で聞いて得た情報は太字で書きます。
前置きが長くなりましたが、見学の話を始めます。見学にはStefanoだけでなくタティアナ(Tatiana)も加わってくれて、彼女のおかげでさらに実り多い見学になりました。
14:45頃に教会に着き、教会の真ん前のスペースに車を停めました。教会の前は生活感いっぱい。
西扉口の前に鶏ですよ、鶏。笑顔になるってもんでしょ。
こんな素晴らしい浮き彫り装飾の西扉口の前に、鶏が元気よく歩き回ります。
本に載っていたプランです。
教会の南側に鐘楼があって、その扉にも装飾があります。
東側に行き、外から後陣を見ました。
後陣は第二次世界大戦のドイツ軍の爆撃で一部が破壊されました。痛々しい部分もありますが、残された装飾だけをみても見ごたえ十分。
そして、モノフォラ(monofora)にも細かい彫刻が。
教会の中が楽しみになってくるでしょ。
行きましょう、見ましょう。
西扉口から入ると、めいっぱい灯りを点けてくれました。
わお。
教会内は大きく二つの部分に分かれています。一つは西側の信者席部分で、もう一つは東側の聖職者席部分。そして聖職者席部分には、柱頭や後陣に実に細かい彫刻がたっぷり。
柱頭を見ます。南側から。
熱心に写真を撮ってると、Stefanoが「電球の灯りが邪魔じゃない?消そうか?」などときいてくれて、細やかな配慮がうれしかったです。
柱頭彫刻も良いんですが、
南側の柱頭の右(信者席側)にある、小さい彫刻に目を奪われました。小さいけど、立派な存在感。両手を挙げて祈りを捧げている人が彫られてます。
これはペルグラ(pergula)という張り出しで、昔はここに十字架や灯りを置いたんだそう。
次に、北側の柱頭。
こちらのpergulaは残念ながら壊れちゃっています。
春分の日には、側壁の窓から差す光が、この北側の柱頭を照らすそうです。復活祭の頃ですよね、キリスト教にとって大切な日であることとつながりがありそうです。
いよいよ、後陣。
十字架の上の方に、なんかありますよね。
ということは、フレスコ画(恐らく13世紀に遡るもの)の上にもある。
いよいよ、後陣です。
モノフォラ(monofora)の上にも、びっしりと彫刻。
拡大します。
後陣のmonoforaから差す光は、冬至の夜明けに、教会の中央を一直線に西扉口まで照らすそうです。冬至の朝にStefanoが撮った写真を見せてもらいました。
冬至を迎えると、その後は日に日に太陽の力が増します。だから再生の日として古代から大切に考えられて来ました。聖誕祭は冬至に近い12月25日ですし、この教会の構造とつながりがありそうです。
この教会で行われる聖ミサは年に4回だけ。その日ばかりはきっと多くの人が集まって祈りを捧げることでしょう。
Stefanoに頼んで、教会全体が写せる場所に案内してもらいました。道の真ん中に行って夢中でシャッターを押す私に「車が来るよ」などと教えてくれる優しい二人に感謝しつつ。
サン・ピエトロ教会(Chiesa di San Pietro)、愛らしい彫刻が迎えてくれるヴァルダルノの宝石です。
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