サンタ・レパラータ大聖堂の地下聖堂(Crypt of Santa Reparata)の見学を終えて、次はサン・ミニアート・アル・モンテ修道院(Abbazia di San Miniato al Monte)へ。
タバッキでバスの乗車券を買い(一回分の乗車券がひとり€1.5)、歩いてアルノ川を渡ってからバスに乗りました。満員の乗客を乗せた12番線バスは、坂道をかなりのスピードで登ります。
ゆれること、ゆれること。
みなさん降りるときには「ペルメッソ」と言いながら(すみませんという意味で、通して欲しい場面で使います)人をかき分け、早めに降車扉の近くに移動しています。自分の降りるバス停に着いてから移動したんじゃ間に合わないくらい、満員でした。
おーっと、っと、なんて必死で手すりにしがみつきながら、15分ほど乗っていると、その名も「サン・ミニアート・アル・モンテ」というバス停につきます。
さらに階段をのぼって、たどり着きます。
中に入ります。
案内掲示がありました。
案内掲示を私が訳した言葉は太字で書いています。
古くから教会のあった場所に1018年に着工され、1207年に完成した教会で、トスカーナ地方のロマネスク様式の傑作のひとつ。古典派生の基本的な構造と典型的なロマネスク様式の要素を兼ね備えています。
3世紀にこの地で殉教したとされる聖ミニアートに捧げられています。聖ミニアートはアルメニアの王子でしたが、帝政ローマの支配下にあったこの地に福音をもたらし、ローマ皇帝の迫害にあって首を切り落とされました。そして、そのあと自分の首を持って瞑想していた洞窟まで丘を登って戻ったとかなんとか、きいたことがあります。
フロアプランを拡大します。
クリプト(8)がこの教会で一番ふるい部分。ここに入ろうとすると、スタッフっぽい人が「いったん閉めます」と言って立ち入り禁止のロープを立てるところでした。なんだなんだ?と思っていると、身廊の中央部分で司会者っぽい人がイベントの開会を宣言。
あ、イベントが始まっちゃったよ。
façadeの扉口に置いてあったパンフレットによると、
2018年は、1018年(ロマネスク様式の教会建設着工)から千年の節目の年にあたるので、今も大きなイベントが続々と行われているそう。
私が訪れた4月25日の16:30からは「現代世界における祈りのテーマと考察」って感じの宗教祭だそうな。(もっと長~~~いタイトルだったけど、すみませんが、はしょって訳しました)
長くても1時間だろうと考え、外で待っていると、予想通り40分ほど経つと人がわらわらと出てきたので、中に入ってみました。
ああ、あの説教壇に近づきたいのに、通らせてくれない。
反対側から望遠レンズで撮ってみます。
さらにズーム。
細かい細工が素晴らしくて、その上、威厳があるはずの彫刻たちが何だか愛らしい。
そして、これ!
床の大理石の象嵌細工がすばらしい。繊細なレースみたいです。
じっくり見たいのに、イベントの参加者達は、余韻たっぷりに象嵌細工の上で立ち話に夢中。ああ、みづらい。
ようやく、すこし人がはけてきました。
細部を拡大。
さらに人が少なくなったので、façadeの近くまで言って振り返ります。
うわっ!と思わず声をあげてしまいました。驚嘆です。なんて美しい。
大理石の象嵌細工のパネルは全部で六つあります。
ちょっと待て。
かわいいぞ。
これも、すばらしい。
ご存知の通り、十二宮は以下のとおり
おひつじ座、
おうし座、
ふたご座、
かに座、
しし座、
おとめ座、
てんびん座、
さそり座、
いて座、
やぎ座、
みずがめ座、
うお座
上の写真をよくみていただくと、かに座(身廊の中央)のシンボルだけが、円で囲んであることがわかります。
たしか、夏至の太陽が、このシンボルを照らすときいたことがあります。夏至の日に聖堂内の扉を閉めると、真っ暗な中で窓から入った一筋の光が、円の中の蟹を指し示すんだとか。
建築と天文学とのつながりは深くて、とくにロマネスク建築くらいまでの古い聖堂は、しばしば窓の位置や方角を計算して造られています(ゴシック以降は、聖堂は窓も含めて高く大きくなっちゃいます)。これを計算して設計した可能性は十分あると思います。
シンボルの図に目をこらすと、どれも良いんですが、私が特に気に入ったのは、
牛。つぶらな瞳と、やわらかい体に細い手足が魅力的。
双子。この二人も、現代のイラストレーターがデザインしたかと思うくらいの、たおやかさ。そして(さっきせっかく神秘的な話をご紹介したのに)そのお隣の蟹、めっちゃ愛嬌よし。
四隅には、こんなのが居ます。
あと、これも、大好きなパネルです。
Abbazia di San Miniato al Monte は、「山の上の聖ミニアート修道院」という意味。名前の通り山の上にあり、フィレンツェ市内が一望できます。
動画に撮りました。みてみて。
良いでしょ?
フィレンツェにお越しの際は、ぜひ。
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