2018年9月の旅行八日目、五番目の目的地はAnzy-le-Duc。ボジ(Baugy)から北東に約5km、車でわずか約7分の道のりです。
ここでの目的はノートル=ダム=ドゥ=ラソンプシオン教会(Notre-Dame-de-l’Assomption)。
車を停めて歩き出すと、見えてきました。
façade。
西扉口のティンパヌムは荘厳のキリスト。両脇には二人の天使がいて、
まぐさには使徒たちがいます。
まぐさ石の下のアトラス、北側
まぐさ石の下のアトラス、南側
北西側です。鐘楼が超きれい。
中に入り、façadeを背にして東を見ます。
ヴォールトの感じが、ヴェズレーの大聖堂に似てます。
北側廊
南側廊
素晴らしい柱頭彫刻については、後ほど。
リーフレットが置いてありました。
ロマネスク教会の建築は11世紀半ばに始まり、12世紀初めに終わりました。ブリヨネ地域における最も美しい教会であり、その調和のとれた構造と質の高い彫刻によりブルゴーニュ地方のロマネスク様式を代表する教会の一つとされています。
この場所に修道院が創設されたのはカロリング期に遡ります。10世紀に亡くなった修道士 Hugues de Poitiers が聖別されて、その墓が巡礼者の崇敬の対象となり、増え続ける巡礼者に対応するため、11世紀に大きな教会の建設が始められたのです。
近年の調査で再発見された地下聖堂は10世紀に遡る部分であり、Hugues de Poitiersの聖遺物が保管されていました。
現地にあった、案内掲示。
フロアプランを拡大。
10世紀に遡る、地下聖堂に行きます。
階段をおりると
狭いのかと思ったけど、右を向くと
思ったより広い。
ここに聖遺物が保管されて、巡礼者が押しかけてたんですねえ、1000年以上前に。
上に戻って、柱頭彫刻を見ます。
現地にこんなのが置いてありました。さっすが、たくさん見学者が訪れるとこは、違いますねえ。案内が充実してます。
上の案内に書いてある代表的な柱頭彫刻を含め、教会内部には全部で40もありますが、私が気になったものだけを厳選してご紹介。
むっつり顔の人を挟んでる大きな鼻穴の動物の笑顔が好き。
スキアポデス発見。プリニウスの『博物誌』やイシドルスの『語源』で紹介されている生き物です。足の影で日差しから身を守ります。実は機敏に移動可能なんだそう。
同じ彫刻の別の角度。世俗の欲望。
やっぱり、大きい鼻穴の動物がの笑顔が好きです。
楽園の川
争う老人たち
別の角度。三頭身のこの人、どうしちゃったんだろう?
さらに別の角度。
この二人、何しちゃってるんだ?
アクロバット
くるくるしてるのは、蛇かも。そう見えないけど。
大天使ミカエルと悪魔かな
獅子の穴の中のダニエル(『ダニエル書』6章)と思いますが、猫にじゃれつかれる飼い主に見えちゃうのは、私だけ?
獅子を裂くサムソン(『士師記』14章)。「主の霊が激しく彼に降ったので、彼は手に何も持たなくても、子山羊を裂くように獅子を裂いた。」この大きい獅子を裂いちゃうんですよ。すご〜い。
かわいい動物。
案内がとても充実していて場所を示す用語もありました
absidesやabsidioleといった後陣の部分にはフレスコ画がたっぷりです。
さて、外に出てみます。
南西側。実に、美しい姿。
持ち送りが素晴らしいんです。
どーも、どーも
この向こうに、お目当てがあるので
ずんずん進みます。
子供たちが遊んでいました。
この、向こうにでて、教会を振り返ると
小修道院の南扉口があります。
ティンパヌムには聖母子と三博士の礼拝、アダムとエバ。まぐさには最後の審判。
誰も見に来る人もなく、独り占めでした。
Anzy-le-Ducの素晴らしいロマネスク様式の扉口は、三つ現存しています。一つ目が最初にご紹介した教会の西扉口。二つ目がこの小修道院の南扉口。そして三つ目は小修道院の西側の囲いの扉口にあったもの。
その三つ目の扉口は、現在、パライユ=ル=モニアル(Paray-le-Monial)のイエロン美術館(Musée du Hiéron)に展示されています。この旅行の最後に見に行きましたので、後ほどご紹介します。
ノートル=ダム=ドゥ=ラソンプシオン教会(Notre-Dame-de-l’Assomption)、ブルゴーニュ・ロマネスクの至宝です。
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